教育活動の歩み〜進路指導

めざすもの
 本校における進路指導は、創立当初より一貫して個々の生徒の能力・適性の発見と開発を前提としながら、人間として望ましい生き方を自覚させ、生徒が自ら自己理解を深め、望ましい職業観のもとに自主的に進路の選択をし、将来の生活における社会的・職業的自己実現に必要な能力や態度を育成することを基本的な目標とし、その目標実現に向けて学年の発達段階に応じた具体的な指導計画を立て、組織的、継続的に指導を進めているところである。しかしながら、近年の爆発的とも思える受験人口の増加のより、卒業期における進路状況は必ずしもおぞましいものとは言えないものとなってきており、さらには厳しい受験状況を生徒が先取りしてか、目標も小さく、従って目標達成のための努力を惜しむ生徒が増加の傾向にあり、前述の如き指導がひとりひとりの生徒に定着しづらくなっていることを厳しく見直す時期に来ている。


年間計画の概要
 本校における進路指導は、前述の趣旨に沿い第1・2学年においては特に自己理解を深めることに重点を置き、それにもとづく進路計画、さらに計画実現のための努力を期待している。第3学年においては、二年間の指導の上に立って受験に関する適切な情報の提供、ならびにより密度の高い学習計画のもとに卒業期を控えての具体的な事象について指導助言できる体制をとっている。
 具体的には次の日程となるが、「進路に関する」LHRと学年集会をセットとし、この時期に父母懇談会が行われており、進路希望調査も実施している。昨年度まではこれらは全て本校作成の「進路のしおり(1)」を順次計画的に使用していたが、生徒の実態と合わない部分も出てきており、今年度より三年計画で実際に活用できるものとなるよう内容の検討に着手した。

[年間計画]
 4月
  (3年) 進路LHR、進路希望調査
 5月
  学年別進路集会
 6月
  (1・2年) 進路LHR、進路希望調査
  (2年) 進路適性検査
 9月
  進路LHR
  (3年) 進路希望調査
 10月
  (3年) 学年進路集会
 11月
  (1・2年) 学年別進路集会、進路LHR、進路希望調査
 2月
  (1年) 進路LHR
 3月
  (2年) 学習集会

 他に第1・2学年では毎学期一回の、第3学年では進路希望先に応じて年間最低六回以上の校外模擬試験を実施し、学力面での自己理解を助けると共に、努力目標の設定に役立てている。


今後に向けて
 進路設計と学力は、不即不離のものであり、ひとりひとりの生徒の進路実現のためには「学力」の向上により強く意を用いることが必要であるが、今年度の入学生よりその面でも教育課程が改善され、授業への生徒のこれまで以上の真剣な取り組みが期待される。また学力向上のためにこれまでも実施してきた進学講習を授業と関連づけて、より有効なものとするための工夫を全校的に考えてみる時期でもある。
 入学当初から、卒業期を見通しての指導が意図され計画実施されてきたが、第1・2学年で春・秋の集中的に進路を考える期間の設定も、生徒にとっては「与えられる」だけのものとなり「3年になったら予備校が塾に行って勉強すればどこかの大学に入れるだろう(高校入試の勉強の経験より)」とか「(就職はまだしたくないので)無試験で入れる専門学校にでも行こう」といった生徒の意識改革をするまでには至らないで3年を迎える者も少なくない。こういった安易な進路選択が増える傾向にある中で「必要は発明の母」と言われるように「大きな希望」が、そして「成就感」がさらなる意欲を喚起することを考えるとき、本校の進路指導の基本理念である望ましい人生観・職業観をふまえ、密接な家庭との連携の中でひとりひとりの生徒への教師側からのアプローチを日常的に、より強力に行うことが大切である。