巻頭言・祝辞

[巻頭言] 30年史の発刊に寄せて
校長

 本校の創立30周年という節目の年にあたり、父母と先生の会、後援会、同窓会などのご協力のもとに協賛会が発足し、記念式典、記念事業を行うことができますことは誠に喜ばしいことであります。
 また、その一環として、最近の10年間に重点を置いて、30年間の本校の発展の足跡を記念誌にまとめることが出来ましたことも誠に意義深いものと思っております。
 顧みますと、昭和47年は冬季オリンピック札幌大会が開催され、世界の人々が札幌に注目した年でもありました。その札幌市の人口が年々増加の一途をたどり、札幌圏における高校への進学難が一段と深刻なものになってきておりました。
 そのような状況のもとで本校が開校され、以来、仮校舎、新校舎への移転、増築、間口増など幾多の試練や苦難を余儀なくされてきましたが、それらをひとつ一つクリアしながら、この春までに11,646名の卒業生が巣立ち、今や道内外において広く活躍し、有為な人材として社会の発展に寄与されていることは誠に本校の誇りであります。
 これもひとえに、歴代の校長先生や教職員をはじめ関係各位の方々の御指導・御尽力によるものと心から敬意と感謝を申し上げます。
 また、創立10周年目には、全校生徒、教職員の総意に基づき、個人としての「自立」、自他とのかかわりにおいての指針「敬愛」、そして未来を志向し、将来を切り開いていく「進取」が校訓として制定されました。
 その後、草創期の意志を継承し、地域に根ざした個性豊かな学校づくりを目指して、時代を先取りし全道の先駆的な役割を果たした公開講座、アメリカ・リンカーン高校との国際交流、学年別登山など他校よりいち早い活動を実践し関係各位より高い評価をいただきました。
 このような教育活動の中から根付いたよき伝統や校風を尊重し、現在はいち早く二期制を取り入れ、半期毎の単位認定を実施し、特色ある教育活動を実践しているところであります。
 今後は、創立30周年を一つの節目として、新しい特色ある学校づくりを目指し、さらに一層発展させるよう、教職員・生徒一同、心を新たにして努力を続けてまいります。
 これまで本校に寄せられた暖かい御支援と御協力を、今後も賜りますよう心からお願い申し上げます。
 最後になりましたが、記念事業の一環として記念誌をまとめるためにお骨折りくださいました関係各位の方々に、心から感謝とお礼を申し上げます。


[祝辞] 地域に親しまれる学校として
創立30周年記念事業協賛会会長

 北海道札幌北陵高等学校創立30周年の記念式典並びに祝賀会の実施にあたり、記念事業協賛会を代表してご挨拶申し上げます。
 思い起こしますと、1972年の春、札幌の街は閉幕したばかりの冬季オリンピック大会の興奮がまだ冷めておらず、また当時としては最先端の技術で開通した地下鉄、雪国の生活様式を一変させた大通地下街のオープンということもあり、それまでただの田舎都市でしかなかった札幌の世界へのデビューに沸き立っている頃でありました。
 本校の創立は、そのような時代背景の中、市内では久しぶりの新設校として教職員10人、生徒数は4クラス180人でスタートしました。生徒会を作ることから始まり、体育系、文化系クラブの設立に至るまで何をするにも全員が初めてであり、試行錯誤の連続、毎日帰りが遅かったことを今でも覚えています。
 30年前と言ってもつい昨日のことのように感じておりましたが、「少子高齢化」「IT革命」などといった言葉を耳にするとき、また我々の子どもたちが高校生になっている現実を思うと、やはり長い時間が経過したものだと実感させられてしまいます。少なくとも我々の高校時代には、少子化どころか子どもの数はどんどん増えている時代であり、コンピュータというのも業界の専門的分野の話でしかなく、将来自宅や職場の机の上に置くなんて想像もできないことでした。
 さて、人間の成人式は20歳で例外なく迎えることとなりますが、本校の卒業生をみてもまだまだ学生であることが多く、本当の意味での大人とは言えないのが現実です。社会人となり、公私ともに少し落ち着いてくるのは30歳くらいなのかもしれません。
 地域の中で核となるべく宿命を持った学校施設においても、創立期から成長期を経てようやく地域の中で認識されてまいります。
 本校は、創立から30年の間、屯田という地域の中で育てていただきました。これから将来に向かってこの地域の核となるべく、住民のみなさんに親しまれ、ますます発展していくことを願ってやみません。
 最後になりますが、創立30周年の記念事業を挙行するにあたり、たくさんの方々のご協力等をいただきました。紙面を借りて感謝の意を表するとともに、皆さまの今後のご発展、ご多幸を祈念申し上げてご挨拶とさせていただきます。
(第2代同窓会会長)


[祝辞] 開校30周年に思うこと
PTA会長

合掌
 北海道教育委員会が初めて道民に校名を公募し、“北海道の最高峰の高校であれ”との期待をもって命名された“北海道札幌北陵高等学校”。開校30周年本当におめでとうございます。
 これまで11,646名の卒業生が輩出し、それぞれ社会で活躍しています。
 転勤してこられる先生型は、異口同音に“素晴らしい学校”との評判に、期待をもって着任され、生徒の指導に情熱を傾けて下さっています。
 子供を育てて戴き、何がしかのお役立ちをしようとしている者にとってこんなに嬉しいことはありません。
 高度経済成長による物質的豊かさによって、我慢することを知らない人間、欲望のためには盗み・強奪・殺人までも平然とする者が増加し、他人の生命を危うくするほど個人の自由がほとんど無制限に許され、被害者やその家族の痛み・悲しみ・時には生活苦よりも、犯人やその親族の人権が尊重されている不可解な日本の現状。
 これらの憂うべき危機的な事実を未来的な視点から真剣に考え、その抜本的な修正を断固として行わなければならない状態にあると痛感しています。
 家庭における躾・学校における教育・社会における倫理や規範、それらが有機的に一体となって作用しなければなりません。
 昨今、青少年の社会問題が多発するにあたって、社会教育の見直しがさけばれ、PTAの果たすべき役割を見直さなければならないと言われております。
 しかし本校のPTAは、会費を払っているというより取られているだけになっているのではないかと思うほど、大半の保護者が無関心と言っても過言ではないように思えてなりません。PTAの存在意義や活動のあり方について、その存続の必要性まで踏み込んだ真剣な議論をすべき時であると思うのです。
 21世紀は少子高齢化の時代。低経済成長・高失業率の時代。
 高校を卒業した・大学を卒業したといって、漫然としていては存在価値を求められず、一生生業を得ることが出来ない者が珍しくない社会になることも予測されます。
 そんな実力主義の時代に、本校の卒業生が“おー!君はあの北陵の卒業生か!”と社会に迎えて戴けるような学校にするために、教職員・生徒・PTA・地域の人々が心を合わせて邁進されることを願ってやみません。
 “北陵生よ!北海道の最高峰の高校生であることを目指して、真摯たれ!”
 ありがとうございました。
合掌


[祝辞] 祝辞
同窓会会長

 同窓会を代表し、母校北陵高校の創立30周年を心からお喜び申し上げます。
 私が昭和48年に2期生として北陵高校に入学したときは、旧一条中学校(前代「市民ギャラリー」)を仮校舎としており、北陵高校が開校した昭和47年に政令都市に指定された札幌市の都心とはいえ、想像を絶する校舎でありました。胸をときめかせ、友人と出かけた合格発表の火、仮校舎のすぐ側を通りながら気付かず、豊平川沿いを歩きながら「この近くに北陵高校という高校はありませんか」と道を尋ね、「ここですよ」と言われたときに、友人と一緒に絶句したことが懐かしく思い出されます。
 仮校舎の体育館は梁の低い旧式の建築で、バレーボール・バスケットボールなどの球技は天井がつかえて思うようにできず、グラウンドもなく、三角形の中庭でかろうじてテニスやバレーボールができる程度でした。また、校舎全体が鳩の巣状態で、毎日鳩の糞や羽毛に悩まされていました。
 私が1年生のときに野球部が創立され、野球部に籍を置くこととなりましたが、グラウンドがないため、練習は豊平川の河川敷で行い、草や石が点在する自然豊かな練習場でボールがどちらに転がるか判らないようなところで、結構楽しくクラブ活動をしたことが記憶に残っております。
 現在の校舎へ移転したのは、私が2年生のときに12月中旬だったと記憶しております。それまでの都心から一転して周りに家があまりなく、広大な畑が目につく屯田の地へ、引越しが冬に行われたこともあり、突然の環境の変化としばらく味わったことのなかった冬の厳しさが重なり、通学にはひどく苦労した思いがあります。しかしながら、前述したような旧校舎の状況からやっと解放され、きれいな教室、きれいな廊下さらには深呼吸ができるほどきれいでアンモニア臭のしないトイレ、ちょっと遅れてできた立派な体育館、何をとっても新しいものばかりで、子供の頃に欲しくて欲しくてたまらなかった物を買ってもらったときのように、大きな喜びを感じたことを憶えております。以来、27年の歳月が過ぎようとしており、校舎の周りが賑やかになってきた一方、あの頃は新しかったこの校舎も、旧校舎と呼ばれるときが近づいてきているのだと、校舎改築の必要性を聞くにあたり実感させられております。
 開校から30年、この間私を含めた多くの生徒をご指導・ご支援いただいた多くの教員及び事務員の方々、多くのPTAならびに後援会の方々、さまざまな方々の御苦労、御協力により現在の我が母校が存在しているのだということを痛感するとともに、心から敬意と感謝の意を表する次第であります。
 また、皆様方のさらなる御尽力、御協力を得まして、母校のさらなる発展のため同窓会としても微力ではありますが協力を惜しまないつもりであります。
 最後に母校の一層の発展を祈念いたしまして、私からの祝辞とさせていただきます。


[祝辞] 30周年にあたって
生徒会長

 昨年の10月の役員選挙の時、自分が30周年という節目の年の生徒会長になるとは気付いていませんでした。しかし今思えばこの時に北陵高校の生徒会長として、それ以上に北陵生でいられることにうれしさを感じるとともに大きな責任を感じています。生徒会長として先輩達が30年間築き上げてきた歴史と伝統を汚さず、より発展させていかなければならないと意識して活動している今日この頃です。
 北陵高校は札幌市が政令指定都市に指定され、第11回冬季オリンピックが札幌で開催された昭和47年の4月10日に開校し、現在まで多くの変化があったように思われます。そして昨年度卒業した先輩達は、国公立大学現役合格が100人を突破という北陵高校の新記録を打ち立てました。これは新たな歴史を刻む第一歩だと感じています。
 生徒会活動では30周年記念の活動として生徒全員で壁画の制作を行います。また北陵祭をはじめとする学校行事や、生徒会機関誌の「北陵」を一人でも多くの生徒のみなさんの印象に残り、喜んでもらえるように企画段階から工夫をしています。より充実した活動になるように生徒会役員、補佐が団結して頑張っていきますので今後とも今まで以上のみなさんのご協力をお願いします。
 部活動では体育系、文化系を問わず日々練習を重ね、活発で活気ある活動が続けられています。今年度は高体連や高文連などの大会で例年以上に多くの部活動が全道大会に進みました。
 北陵高校は「校則や勉強が厳しい」といったイメージがあると思います。他校の友人によく尋ねられます。そのように感じている生徒のみなさんも多いと思います。しかし卒業した先輩達は、厳しいけれど北陵での3年間は有意義で、その後の生活にとても生かされていると言います。これからもそのよい意味での「厳しさ」を守っていき、この北陵の歴史と伝統を後輩達に伝え、後輩達がよりよい北陵高校へと前進させてくれることを願っています。