巻頭言〜「北陵の5年」発刊に寄せて

「北陵の5年」発刊に寄せて
校長

 開校以来5年目にして、漸く校舎・格技場・グラウンド・テニスコートが完成しました。生徒・父母・教職員の待望久しかったものでした。これを機会に、校舎建築促進期成会・PTA・後援会・卒業生父母・同窓会が一体となって協賛会が組織され、落成並びに5周年の記念事業が行われ、記念式典を挙行することになりました。誠に慶しく感謝にたえないことであります。

 顧みますと、昭和40年代初頭は、世界的な教育の爆発時代であり、高度経済成長の波にのり、札幌市の人口は急激に伸び、市民の高校進学の志望がいやが上にも高まり、高校紛争を経て、高校新設運動が激しく展開されました。道当局は、市と数度の接渉の結果、旧一条中学校校舎を使用して47年度に高校を新設することに決断したのでありました。札幌啓成高校開校以来6年ぶりのことでした。

 新しい時代に即応する新しい高校をということで、校名は一般公募の結果「北海道の最高峰を志向して生々発展してほしい」という願いをこめて「北海道札幌北陵高等学校」と命名され、24学級を目途に、4学級(180名)募集、教職員17名で発足したのであります。一条中学校は市内でも由緒ある学校でありましたが、屋外運動場がなかっただけに体育運動には本当に苦労しました。しかし、岡村教育長は「モデル校に」という熱の入れ方でありましたし、「ひとりひとりを大切にし、バランスのとれた人間形成、体力・気力・意欲の養成」をモットーに「楽しく、明るく、生き生きとした学級」を目指して新校舎への一日も早い移転を夢みて、生徒・教職員ともども汗を流したものでした。

 入学式当日、PTA・後援会が組織され、教職員と180人の父母が一体となって可能な限り生徒の不便をなくしようと、無からの望ましい学校づくりを目指して精力的に取り組みました。校地が屯田に決まるや、新琴似・屯田・篠路の有志の方々による校舎建築促進期成会ができ、三者一体となって、地元在住議員の方々のご支援を得ながら校舎の早期完成、施設設備の充実、交通機関の確保、道路の整備等に陳情請願をくり返したり、工事現場の慰問に出かけたり、筆舌に尽くせない御苦労をいただきました。お陰で立派な校舎・環境ができました。学校としましては、皆様のご熱意にこたえるため、全員一丸となって教育指導に情熱を傾け、生徒も苦労にたえて創業の大業に取り組みました。現在は学級増もあって30学級、1,360余名の生徒、69人の教職員が新生の熱意高く、研さんにつとめております。

 今、5年目を迎え、落成式を挙行するに当たり、数多くの方々の善意と温情、ご協力により今日あることを思い深く感謝すると共に、血と汗の創業の経過を明らかにし、ご苦労を永く校史にとどめ、本校の一層の発展を願ってこの「北陵の5年」を刊行することにいたしました。

 最後に、編集のためご多忙中献身的にご尽力賜りました父母の方々と先生方に深く感謝申し上げたいと思います。