北陵だより第3号/昭和48年1月1日発行


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校地「屯田三番通り」に決定
校舎は四十九年秋完成を―自然豊かな教育環境―


 北陵高校の校舎建設用地は、種々の事情から正式決定が遅れていたが、道教委において粘り強く努力の末、関係地主の方々と最終的に合意に達し、去る11月7日売買契約に調印、代金も道から支払われ、学校設置が決定して1年ぶりで確定をみたわけである。
 候補地としては数か所あげられ、そのうち新川地区が有力とみられていたが、南に寄り過ぎていること、所有者が譲渡しないことが明らかになり、その他については面積不足、不整形であることなどから、屯田地区が有力とされ、道教委としてはかねてからここに内定、財政当局との折衝に当たっていたが、地盤軟弱で補強費に多額の費用を必要とする点から難航、その間他に物色してはとの意見も出て長期化の様相がみられた。
 道教委としては、屯田以外に候補地を見出すことは困難として根強く説得に努め、一方地主側は新琴似農協を中心に非常な努力が続けられたが、道側の態度決定が遅れたことから地価の上積要望も出て、その調整に苦慮されたようである。
 地耐力確認のためボーリングの結果、4階建構想は断念のやむなきに至り、3階建に変更して折衝の結果、9月道議会に買収費予算の提案が決定し、関係者間で更に努力が重ねられた。
 また、取付道路の問題など種々の経緯はあったが、前述の通り最終的に決定をみ、校舎建築の基礎が固まったことは、誠に喜ばしい限りで、地主の方々のご理解と関係者のご尽力に対し、衷心から謝意を表するものである。
 決定された用地の位置等は、別記見取図の通りで、屯田3番通りから建築地までは、市道用地として札幌市に寄附される見込みである。また、校地面積としては、買収地を全部学校用地に充てられるとすれば、まずまずの広さであろうと思われる。
 なお地盤の関係から、校舎建築に際して費用の増嵩をきたすこと、また通学路となる道路の改善など、北陵高校の前途には幾多の問題があり、軌道に乗せていただくため関係当局の理解あるご支援が強く望まれるところである。

新校舎への歩み
3〜4 関係資料収集
4・24 旭川西高校視察
5・2 校舎建築を議題に職員会議。建築委員会発足し検討開始、連日深夜まで討議
5・5 構想案まとまる
5・6 教育庁との第1回打合会議、試案の説明を受ける
5・9 本校第1次案まとまる
5・10 校舎建築につき意見をきく会開催。10名出席
5・11〜 修正案連日討議
5・16 計画案印刷、本庁説明
6・16 札幌女子高校視察
6・23 教育大工学センター視察
6・29 3階建構想案検討開始
7・7 古賀係長来校打合せ
7・19 3階建案の提示受ける
7・29 本庁案一部修正了承
8・29 工営課技師来校、同課試案の提示受け打合会議開催
9・3 配置計画案印刷完了
9・4 対工営課第2回打合会
9・7 砂川北高校視察
9・16 対工営課第3回打合せ。設計事務所も出席、具体案協議
10・12 道研訪問、指導受ける
10・17 本間技師等3名来校。電気、視聴覚部門につき打合せ
10・23 工学室等工営課打合せ
10・27 工営課、管理課打合せ
11・6 問題点につき三者協議
11・15 杭打工事等工営課訪問


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校舎の建築計画ほぼ固まる〜鉄筋3階建・ホールなどに斬新な構想
 札幌北陵高校の校舎建築計画は、今春来検討されてきたが、その概要がほぼ固まった。そこでその主な内容をお知らせする。
 校舎の建築構想を考えるに当たって、学校としてふまえたことは、基本的な問題として
1.モデル的な校舎として計画すること。
2.校地の条件を十分考えること。
3.将来への展望に立って、教育方法の近代化等を考慮すること。
4.配置を合理化し、必要な室とそのスペースを確保すること。
5.体育施設を一本化し、有効な活用を図ること。また社会教育の場に開放できるように。
6.ボイラー室は体育館地下に。
などを骨子に、必要施設として
(1)食堂
(2)講堂
(3)教育工学室
(4)ホームルーム活動のための必要なスペース
(5)体育館を二層に
などで、その実現のため計画案をもとに道教委と折衝したが、道教委としては標準的なものを予想しており、
1.体育館の二層は、地盤軟弱、構造強化を要し、予算面で困難。
2.校舎は基準面積の枠内でということから、まず講堂は今後のこととして除外、食堂も定時制の予定がないことから断念、その他の室とスペースの確保に重点をおき、検討することになった。
 その間、教育庁試案の提示もあり、現実的な検討を迫られた。校舎と体育館を直結する本校案は、構造の違いから廊下式になった。
 また、当初の4階建構想は、地盤の関係から3階建に変更された。
 以上の経過を経て、教育庁段階での平面計画は、7月末ほぼ固まり、その後は具体的な設備内容や電気関係など細部についての検討に入ったわけである。

工営課移行後の検討
 平面計画の内定により、設計事務は教育庁から工営課に移った。8月末、一部修正した原案が提示された。教育庁案との違いは、生徒玄関を本館の中に入れ、両棟を分けて廊下で結ぶ方式にすることが主な点である。
 学校としては、これにより種々検討の結果、強度の点と生徒の流れを配慮した修正として原則的に了承し、一部配置を変更したほか、電気その他附帯設備を含めて具体案を練り、9月初め図面の作成も終え、以来設計事務所も参加して数度にわたる打合せを重ねて原案はほぼ固まってきた。

新校舎の概要
 新校舎のあらましは次の通り。
1.3階建の逆L字型の校舎、その後ろが体育館で、コンパクトにまとめられていること。
2.中廊下式で、普通教室は南棟の南面1階に4、2〜3階に各10、計24教室が置かれる。
3.特別教室は、理科部門を東棟1階にまとめ、2階に音楽、南棟2階に家庭科、3階に美術、書道の各教室を置くこと。
4.東棟の3階は、図書・視聴覚・教育工学・放送・社会科室等をまとめ、メディアセンターとしての機能を果たせるようにした。
5.生徒玄関からホール・売店、それに近く各階に便所と主階段を設けて流れをよくし、副階段は両端と東中央に設ける。
6.管理部門は主に1階に、教員室、教育相談室は2階に置く。なお、正面中央から廊下で体育館につながるが、その細部はまだ固まっていない。

建築の年次計画
 今年度から杭打工事に着手、本格的工事は明年度から2か年で完成させ、昭和49年暮頃に移転できるようにというのが、道教委としての目標とされている。従って、これに要する予算の確保が、今後の大きな課題である。

校地全体の配置計画案
 校舎は校地の東南方に建て、その北側はテニスコートと水泳プールを予定、グランド部分にはサッカー場・野球場・陸上トラックを予定しようというのが大まかな構想である。
 また、校舎周辺には自転車置場、駐車場のほか、庭園として必要な植樹をし、一帯は緑地にするという考えであるが、グランド造成と環境整備事業は、別途年次計画により進められることになるものと考えられる。

予想される学習環境は
 校舎内各室の配置はほぼ落ち着いても、その設備内容は予算の関係で流動的である。しかし、予想される北陵の校舎の青写真から、どのようなことが考えられるだろうか。
(1)校舎は、鉄筋コンクリート造り、アルミサッシの二重窓、スチーム暖房、水洗便所の近代的校舎になるという見込みはつく。
(2)二重戸の玄関を入って、片側に売店のあるホール、快適な学校生活ができるであろう。
(3)教員室は2階にあって、各教室とのつながりも便利、向かい側は3つの相談室をもつ教育相談室なので、進路、悩みごとなど自由に相談でき、また生徒会室も広く、活発な活動ができる。
(4)3階は、本校の特長となる各室がまとまり、特に放送室では学校放送、その他の自主番組が製作でき、全校に送られ能率的な教育活動ができるようにしたい構想である。
(5)教育工学室も特色の一つであるが、折角このような室が設けられることになったので、それにふさわしい設備も入れていただき、その機能を発揮できるようにしたいと考えている。
(6)各特別教室は、それぞれの教科の教育指導が十分行えるよう、準備室を含めて設備をして貰える見込みである。
(7)家庭科関係では、作法室も一体にできなかったのは残念に思う。面積は十分でないが、家庭経営室もあり、全体的にはまずまずといえよう。
(8)保健室は広さは十分、グランドでの負傷などの場合には、好都合である。
(9)体育館関係は、現に他の学校で建てられている標準規模のものが格技場を含めて造られることは間違いないが、本校の希望には遠いものである。新しい道を開くということは困難なことではあろうが、その希望を入れる方向で建築してほしいと強く望まれる。しかし一方タイムリミットも迫っているので、決断を要する点でもあろう。
(10)グランドなど屋外体育施設の造成は、移転後の大きな課題となる。他校の例によれば数年を要する。従って環境整備とともに、年次計画により段階的に実施されることになろう。