北陵だより第5号/昭和48年7月20日発行


[北陵だより第5号 1ページ]

こどもから敬愛される父母に
PTA会長

 今回、はからずも会員諸氏のご推挙により会長の職を再任されまして、その責任の重大さに身も心も引き締まる思いですが、再任された以上会員諸氏の絶大なご支援とご指導により、PTAの活動が円滑に運営されその効が上がるよう努力致すつもりですので、よろしくお願い申し上げます。
 総会において皆様に申し述べましたように、昨年は学校新築促進に腐心のあまり本来の活動方針からそれた感もありましたが、今年は本来の目的である会員相互がこの会を母体として親睦を厚くし教養を高め、教育に対する共通理解を深めて生徒から尊敬される父母となるよう大いに努力し活動致したいと存ずる次第です。
 その為には種々の会合等もより多く持ちたいと存じますが、そこで会員諸氏にお願い申し上げますが、いままで小中時代は教育に関しては非常に情熱を燃やしていた父母も、高校入学と同時に自分の子供を手放すと言いましょうか、学校に預けきりにするような傾向がなきにしもあらずで、丁度一番感受性に富み大人でないのに大人になったような<さっかく>に陥り易い時ですので、前記の間違った考えを捨て、子供を中心とした人間形成に努力してこそ尊敬される父母となるのではないでしょうか。
 その意味においても運営委員会で企画された行事には、万難を排しご出席頂きまして会員相互でよく話し合い、お子さんを理解して頂きたいと存じます。
 北陵高校の伝統は、生徒達のみでつくられるものではなく、生徒を中心として教師と父母と三者が一丸になってこそ良い伝統と良い吾等の次代をになう人間がつくられると思います。
 最後に、昨年1年は頭初に申し述べましたように学校新築推進のため全力投球を致し、Pの活動に徹しきれなかったことを深くお詫び申し上げます。
 北陵の伝統は今つくられつつあることを自覚して、三者一体となって努力しようではありませんか。

PTAの動き
 PTAの今年度の活動は入学式当日から始まったが、その活動内容をかいつまんでお知らせします。
1.入会説明会
 入学式に集った父母に対し、会長から昨年1年間の経過説明があり、さらに今年は広報活動・PT相互の交流を深めたい旨の抱負が話され、是非入会するよう強い要請があった。

2.学級委員の選出難航
 4月20日に紙上投票を実施した結果をもとに委員の委嘱をお願いする段になって難渋をきわめ、全クラスの委員が出揃うまでに1ヵ月を要しました。高校は地域が広いことお互いに顔見知りが少ないなどの選出困難な要因もありますが、今後は方法等にさらに改善を加えたいと思います。

3.定期総会
 4月20日の運営委員会を経て4月27日に定期総会が開催されました。出席者32名と少人数でしたが、熱心に審議された結果、昭和47年度事業報告・決算、昭和48年度事業計画・予算案は原案通りに承認されました。このあと役員改選にうつり、みなさんとも非常に忙しい方ですが、創設期の本校のために一臂をかしていただき、本紙掲載の通りに決定しました。

昭和48年度 PTA・後援会役員決まる
 この項目は掲載いたしません。


[北陵だより第5号 2ページ]

現代高校生の生活意識とは(高P連第1分科会)
教職員
 第1分科会は生徒指導についての会で、この会で記録を担当してとくに深い感銘をうけたことなどを取り上げてみたいと思います。

<しつけ>は自我意識を育てる中で
 しつけによって、新たな性格をつくりだすことは高校生段階で可能であろうか。可能だとしたらならば、どのような点に留意すべきであろうか。道内高校2年生4325名に対してのアンケート結果では、現代の高校生は自己中心的になりすぎて社会性や公共性を軽視する傾向がつよい。社会慣習や規則だけではくて、法律でさえも、守らなければならないものだという考えは必ずしも当たらない。守るかどうかは、自分で判断して決めるという生徒が多い、権利意識はつよいが他人の立場になって考えることができないのである。このことは、社会の存続にかかわる重大問題である。このような自己中心的な考え方や行動の仕方を直すことができるであろうか。後片付けもできないで迷惑をかけたり、不潔な頭で登校する高校生をどのように指導したらよいのであろうか。江別高校校長の言葉を引用すると、『しつけを勉強、みだしなみ、整理整頓などに限定すると、しつけは幼児期にできあがる。青年期では「・・・しなさい」と強制するのではなくて、社会生活における意義づけから触れていった方がよい。たとえば、みだしなみは個人の問題としてではなくて、他人とのかかわりあいの中から取り上げて考えさせるべきである。具体的にいうと、髪の長い生徒には、心を傷つけない遠まわし的な気づかせる指導があるのではないか。「切ってしまえ」は幼児段階ではよいが・・・』。換言すると、しつけは生徒の自我意識を育てる中で行っていく必要がある。生徒が消化できる形で、繰り返し行うことによって、自我意識を育てなければならない。したがって、よくいわれることであるが、生徒が良いことをしたら、すぐほめる。悪いところはすぐしかることも必要になるのではなかろうか。また、しつけが効果的になるための条件として、個々ばらばらの指導ではいけない。ここに、教師間の指導体制の確立だけでなくて、父母と学校の連けいも必要となってくるのである。

脱無気力をめざすには
 また、アンケート結果によると無気力な生徒が多い。眼がトロンとして意欲がなく、授業でも生徒会活動や学校行事の参加にしても、やるのでもなければ、ならぬでもない。このような生徒に生きがいを感じ幸福感に満ちた生徒に育てるためには、確かに、政治の力による社会環境の改造も不可欠である。しかし、学校としては社会が改造されるのを手をこまねいて待っていることはできない。学校としてのなすべきことは多い。参加された父母や教師から様々な体験談や意見が出された。私はここに、司会をなされていた本校の校長のまとめを引用したい。『生徒が一日一日を充実した気持ちで送れるかどうかの鍵は、生徒に個性的目標をあたえることができるかどうかにかかっている。その個性的な目標をあたえるためには、日常の教育実践の中から、観察等にもとづいて、ひとりひとりの生徒の特性をとらえることが必要になる。個性的な目標をもたせると、生徒は必ず変わってくる。』

望ましい両親像
 最後に、親子間の断絶が叫ばれている折りから、望ましい親の条件を取り上げてみたい。本校PTA学級委員の一人は、子供との対話が最重要であるとして、次のように発言されている。『私はあなたにとってお母さんであるし、お姉さんであり、またお友だちでもある。何でも相談しなさい・・・』。その他、円満な家庭をつくること。父親はき然とした態度が必要である。など、様々な意見が出されました。

その他
 その他、医師による講演「異性間の交際」とか、高校生の友人関係などを取り上げたかったのですが、割愛することにします。とにかく、稔りの多い高P連第1分科会でありました。

非行防止は家庭と学校の協力で
学年副委員長

 5月29日、小樽市公会堂に石狩・後志管内の高校の先生と父母約140名が集まり、生徒指導連絡協議会が開催されました。
 全体会の中で道教委学校教育課から最近の非行傾向として集団化、広域化、複合化がみられること、道教委では「愛情と信頼に根ざした生徒指導の強化」につとめる方針であること、完璧な生徒指導をめざすならば学校と家庭と社会の協力が絶対不可欠であること、本当の愛情とはそれぞれの発達段階で鍛えるべきことを鍛え、身につけるべきものを身につけさせることである等の説明がありました。
 午後の部会協議では「高校生にみられる非行(家出、窃盗、喫煙など)の現状をどのように把握し指導したらよいか」と「学校と家庭が協力して指導の効果を高めるために、どのような指導方法が考えられるか」の2点について研究発表と討議が熱心に行われました。たとえ高校生になっても、学校にあずけっぱなしではいけない。親としての責任分担を果たすべきだということを痛感しました。

話のひろば
私と息子

保護者

 息子が、ヘアスタイルのこと、服装のこと、弁当のことなど話しかける。私は朝食の仕度をしながら、いちいち返答する。こんな単純な会話から、わが家の一日が始まる。社宅の狭い部屋に家族4人、一人ひとりの行動が手にとるように分かる。小4の妹と机を並べて、衝突もするが、学習のアドバイスをしてやる息子。独立した部屋でのんびり考え事でもしてみたいだろうに。
 「肩がこる、頭が痛い」と独り言を云う私に「今やってやるよ」と声がかかる。肩をたたきながらよも山話が始まる。ペンフレンド、友人関係、学校生活のことなど、何でも話してくれる。また、主婦と職場の二本立てで多忙な私に、新聞の社会面や政治問題なども伝えてくれる。それらをきっかけに話し合いをする。私は母として、先輩として、友人としての立場になって考えてやる。そんな時の私は、益々親密感を覚え、幸せを感じる。
 自分の時間をつくって、本や新聞を見て教養を高め、認識を深めるよう、心配してくれる息子に負担をかけないために、常日頃から尊敬されるよう、誠意ある行動で身をもって反映させるべきだが、それが出来ないのが人の常である。
 “己に克て”、“転ばぬ先の杖”、この諺を心のかてとして、家族共々心身の健康を養いながら学力向上と共に人間味のある社会人に成長することを願って、努力しなければならないと思う。
 高校合格の瞬間、私と手を取り合い泣いて喜んだあの一ときの感激―そんな感激の中で入学した北陵高に、今日もまた誇りをもって通学する息子のブレザー姿が、グーンと大人っぽく見える。
 そんな息子に、大きな期待をかけている親馬鹿である。


[北陵だより第5号 3ページ]

PT・学級懇談会
学級委員

 6月27日、総数230余名の父母が出席して、1時からPT懇談、2時30分より学級懇談会が開かれた。
 PT懇談では、学級の現況について校長をはじめ教務部や指導部から説明がなされ、学校と父母の連絡が大切であることが確認された。
 次いで学級懇談にはいり父母と父母、また学級担任との間で率直な意見交換が行われた。親と子の対話は?家庭学習は?進路の決定は?成績の不振は?悪い仲間には?など真剣に話し合われていた。

先生と父母の熱意を
 先日は初めての学級懇談会でしたが、御熱心な41名の出席者によって和気あいあいの中で行われました。
 いくつかの話題の中で特に印象の深かったものは、第一に勉学とクラブ活動との両立について。第二に頭髪の問題。第三にアルバイトの是非の問題などでした。何れにしても高校1年生として精神と肉体のアンバランスな時期でもあり、よく学校と家庭と連絡をとり合って充分な教育効果をあげていただきたいものと思います。
 とくに新設の学校ゆえ施設・設備など不満な面もありましょうが、先生・父兄の熱意と努力によって生徒達の期待に応えてやりたいものです。

中学・高校懇談会
 中学校教育・高等学校教育の一貫性連続性の必要は今までもしばしば云われてきたところですが、本道においても中学校卒業者の82%が高校へ進学している現在、中高の連係はより一層重要なことといえましょう。
 そこで本校ではその具体的な試みとして、昨年から中学校との懇談会を設けて学習指導・生活指導・進路指導等の問題を話し合ってきました。今年は去る6月14日市内31校の中学校の先生方37名と本校の職員とで、本校教育の現況や個々の生徒についていろいろ情報や意見の交換が行われました。また、北陵高校生はマリンブルーのブレザーに誇りをもっているとの声をあり意を強くしました。

いよいよ9月実施
必修クラブ活動

 本年度から正規授業の一環として、クラブ活動が実施される。
 ややもすると知育偏重に陥りがちな現状と、従来の部活動が選手養成的傾向が強いことなどを考え、このたびの改訂になった本校における指導の観点としては、
(1)その種目について、かなりの程度まで上達し技術を身につけることができるようにする。
(2)クラブ活動を通じて校風の樹立をはかる。
(3)将来にそなえて積極的な余暇利用の習慣を身につける。
ことであり、その意味から種目は3系にしぼり将来の趣味の足がかりにしたいと思う。種目は
 イ、体育系 空手
 ロ、文化系 囲碁・将棋
 ハ、生産系 工芸
で、毎週2時間の連続授業で実施される。せまい現在の施設設備から創意工夫をして、他校には見られないユニークなクラブ活動を目ざし、教師と生徒および生徒相互が尊敬と信頼で結ばれた好ましい人間関係の確立をはかりたい。

2学期のおもな行事
7月28日〜30日 臨海学校
8月15日 北陵おどり
8月20日 始業式、実力テスト
9月13日 YG検査
9月18日 読書会
9月21日〜23日 学校祭
10月2日〜4日 中間考査
10月7日 旺文社高1・2テスト
10月9日 遠足
10月17日 生徒会役員改選
10月21日〜26日 見学旅行(2年)
10月27日 振替休業(2年)
11月7日 英弁大会
12月5日〜7日 期末考査
12月22日 終業式

【家庭教育シリーズ2】子どもには虚心な態度で
校長

 「うちの子どもは、勉強しなくて困る。どうしたらよいだろう」父母の集まる所必ず話題になることであり、それだけ親にとっては大変なことに違いない。この際注意しなければならないのは、親は子どもの実態を本当に知っているのかどうかということである。
 そこで、何が困るのかを確かめる必要がある。例えば、勉強の時間が少ない・時間はかけているようだが成果があがらず本人が悩んでいる・(机には坐って)いるが放心状態である・勉強の方法がわからなくて困っている・教科により好ききらいがある・何時の頃から勉強しなくなったか、など観察したり、子どもと話し合ったりして親としてその中味を知ることが大事である。唯むやみに勉強しろといっても効果はない。
 ともかく、気になることが出てきたら、遠慮しないで学級担任か教科担任に相談することである。親子間で話し合いをすることは必要なのだが、その際叱ることが先になったり、感情的になったり、一方的情報で教師のあり方や友人を批判したりすることは避けなければならない。親が他人への不信感を助長しては救いようがないからである。親のみた目、理解していることを腹蔵なく話して教師の意見をきくことが大事である。この場合、直ちに名案が出てくることを期待してはいけない。どんな名医でも確実な診断を下すためには予診に時間をかけるものである。
 一般に子どもが勉強しないのには、(1)生活の基本ができていない(例えば我がまま・継続する力に乏しい・集中力がない・生活がルーズで節度がない・学習の習慣化ができていない)、(2)要求されるものが能力に対し、高いか低すぎる、(3)教科の学習方法がつかめていない、(4)教師と感情的にしっくりしない、(5)自分のつまずいている所に気づかない、(6)関心が他にあって勉強が手につかない(それが異性であったり、家庭内のゴタゴタであったりする)などいくつかの原因が考えられる。
 今の子どもは天才は努力によって生まれることを知ろうとせず、最も苦労のいらない近道はないかと求めている。苦労の伴わない成果はないことを日常生活全体を通じて知らしめなければ、真の学習の意味はない。このことが教科の学習の基本になることを銘記しなければならない。また、周囲の気づかい、心配、不安がそのまま本人に投影され悩みになることも忘れてはいけない。子どものことに親はあくまでも冷静に、すなおになって接し、聞くべき他の意見をきき、親がその気になって教師・生徒と一体になって悩むからこそ、道は生まれると思うのだが、どうだろうか。


[北陵だより第5号 4ページ]

生徒総会不承認に終る〜風紀委員会、議事運営に問題残す


 第1回生徒総会は5月23日午後、体育館において全校生が出席して行われた。総会にいたるまで生徒会執行部は、1年生に対するオリエンテーションをはじめ、各種委員会を精力的に開き、総会に万全を期していた。
 しかし、風紀委員会が提出していた活動方針のうち、持ち物検査・ロッカー検査などが問題となり、また議事運営において質問の一方的打ち切りなどが反発をかい、結果的に案件は不承認となった。
 その経緯をたどると・・・


 生徒総会にいたるまで4月23日6校時、「生徒会設立のあゆみ」の資料をもとに、1年生4人に対して2年生2人という小グループに分かれオリエンテーションを行い趣旨の徹底を行った。これは本校独自のアイデアに基づくもので、互いの親睦を図るとともに協調精神の涵養に大いに役立った。
 次いで、総会の案件について各ホームルームにおいて各委員会提出の活動方針・活動内容・予算等について検討を行い、更に代議員会にて審議、議決を行った。

 5月23日5・6校時、全校生徒が体育館に集会し案件の質問に入った。しかし1年生が総会は承認機関であることの理解不足とあいまって、風紀委員会提案の生徒個人の持ち物・ロッカー検査等を不服とし、また議事運営委員が、時間切れを理由として質問を打ち切ったことなどが多くの生徒の反発をかい、各種委員長が承認されただけで、予算などの重要案件は不承認に終った。


 生徒会執行部にとっては厳しい現実に直面することとなったが、これを貴重な足掛りとして民主主義のルールを学んでほしいと思う。なお、次期総会は7月13日に予定されている。

善戦及ばず―高体連―


2年生ダブルス、全道大会へ
 6月12日、円山コートにて高体連硬庭全道大会に出場。1回戦は滝川高を6―2で降し、2回戦は強豪札幌南高と対戦、惜しくも6―3で敗れた。2人はともに2年生であり、今後の活躍が期待される。

サッカー部健闘する
 6月9日から開成高にて開催。1回戦は東海第四高と対戦し2―0で一蹴。2回戦は開成高と相まみえ、1対1のまま延長戦に入り北陵優勢のまま試合を進めたが、くじ運拙く抽選負けをした。新人戦に期待がもてそうである。

バスケットボール

 1回戦 北陵 70―62 東商
 2回戦 北陵 23―112 千歳

 1回戦 北陵 9―82 三愛

ハンドボール

 1回戦 北陵 5―6 月寒

柔道
団体ブロック
 北陵 0―5 北海
 北陵 0―4 札工
 北陵 3―2 経済

バレーボール

 予選
 北陵 0―2 恵南
 北陵 2―0 札北
 決勝
 北陵 0―2 第一

 予選
 北陵 0―2 北星
 北陵 0―2 大谷

軟式庭球

 1回戦 北陵 2―1 聖心
 2回戦 北陵 0―3 大谷

第1回読書会開かれる
 6月19日、図書委員会と生物部との共催で行われた。テキストに畑正憲著の「われら動物みな兄弟」を用い、2名の生徒が読書感をレポートし、その後参加者30余名が活発な意見の交換を行った。
 最後に担当の先生がまとめの話をされ、終了後「ダーウィンの進化論とガラパゴスの生物」を鑑賞し閉会した。なお、次回は9月に予定されている。

宿泊研修終わる


 4月17日、新入生359名、教員17名の一行は、まだ深い残雪につつまれている「国立大雪青年の家」を訪れた。
 今年度「青年の家」を利用した高校の第一号はわが北陵高校だったが、入学式の一週間後という早い時期にこの宿泊研修を実施したので、生徒達は大きな期待に胸をふくらませながら、反面かなりの不安も感じていたようだ。
 しかし、極めて計画的で規則正しく、時間的に無駄のない集団生活を送るうちに、その不安はすぐ一掃された。
 寝具の整頓、広い場所の清掃、朝夕の集い、セルフサービスの食事、活発な討論、楽しいスポーツや自由時間の語らい、肝銘深い講話、そして生徒教員全員の手にもたれたキャンドルの灯の中での交歓等々を通して、北陵高生徒としての自覚が高められ、心のつながりが確実に深められていった。
 2泊3日の研修を終わって、多くの思い出を秘めながら全員無事に帰校したが、以後の生徒達の言動には「宿泊研修」の成果がはっきりと現れていた。

編集後記
 涼しさを我宿にしてねむる也
 ばせを

▼大暑の時候を迎えましたが、父母の皆様にはいかがお過ごしでしょうか。お見舞い申し上げます。
 私どもには、<静かさは筧の清水音たてて>という優雅な風流は、とても望めそうにありません。だからと言って、<心頭を滅却すれば火も亦涼し>といった高邁な超越は凡人の及ぶところではないようです。句のように、たとえ狭い陋屋でもじだらくにくつろぐのを消夏法と決めこむのが一番なのでしょうか。
▼「北陵だより」も号を重ねて参りましたが、新しい企画として<話のひろば>を設けました。この欄は父母の方々のご寄稿により、皆様の声を反映する場にしたいと考えています。ご子弟の生活や学習についてのご意見、P活動の問題、その他提言・随想などなんでも結構です。今回は木村さんにご無理を願いました。趣旨をお汲みとりいただいて、編集子宛どしどしご投稿下さるようお待ちしています。