北陵だより第20号/昭和53年3月10日発行


[北陵だより第20号 1ページ]



学校づくり 6年間を顧みて
後援会長

 本校が開校してから、早くも6年目を迎え、当時の学校の様子のひとつひとつの事柄が頭に浮かび、懐かしく想い出されてなりません。仮校舎とはいえ老朽化の進んだ木造の建物、天井の低い体育館、グランドもなく、教材教具等も不足、この状態で勉強している生徒の姿を見るにつけ、なんとか他の高校並みの環境にしてほしく、道教育庁に行き数度に亘って、関係者と話し合いました。またこれと並行して新校舎の早期実現に取り組み、「1期生が新校舎で卒業式を迎えること」を合言葉に、学校当局はもちろん父兄も一団となって道及び道教育庁に対して陳情を繰り返すも、我々だけの力では不足であると判断し、北区の有志の方々にも協力を要請することにし、校長先生、事務長、PTA会長の3氏と私で4日間をかえて挨拶をしました。おかげで我々の気持ちが通じ、促進期成会が発足し、より強力な運動を各方面に亘って行い成果をあげることができました。
 学校用地も決まり杭打も始まり、いよいよ躯体工事に入ったが、当時は狂乱物価といわれた年で粗末な建物になっては大変と思い建設会社本社を訪問、また、お母さん達が自発的に現場慰問班を作り、後援会の副会長川田、池田両氏が中心になって行われ、工事の終わるまで続けられました。
 また、後援会もこれらの運動の他に、内部の設備の充実に力を入れ現在の状態になっており、これで終わらず、道路・通学バス問題等もあり、これまた大変大きな事で誠に苦労を重ねたが、新校舎に移転するまでには解決することが出来て、関係者一同が喜んだしだいです。次に新校舎の落成と開校5周年の記念事業に関しても様々な催しが計画され実行に移されたが、特に教育工学室の設備に関しては、多くの方々から寄せられたご好意によりアナライザー一式を寄贈し、また前庭に巨大な老木を植えたのは、子供達が将来この木の如く巨大な人物になり社会を歩むようにとの願いが込められています。最後に関係者各位の並々ならぬ御苦労で完成された本校です。生徒諸君、この事を良く理解され何時までも大切に扱っていただくよう心から願って私の回想文を終わります。

ゆりの木
保護者

▼“受験戦争”“入試地獄”何とも胸の苦しくなるような思いのする言葉である。無論、現在のような入学試験のあり方については、多くの人が入試制度の改善をいろいろな形で議論されている。
▼しかし今、入試に直面している受験生にとっては、毎日が苦しい試練の時、受験はその日一日のものであるだけに、そのチャンスに自分の全力量を十分発揮できるかどうかと考えると、やりきれぬ思いにかられる気持ちもよくわかる。
▼人間は誰でも他の人よりすぐれた長所があるものです。
 自分の勝れている点を存分に生かし育てようという意識で、自分の進むべき道を考える時、ある者にとっては大学入試、又ある者にとっては入社試験の場合もある。自分をより向上させる為、又将来の為に大学くらい出なければと言われる人も多い。
▼何の為に進学をするのか、大学では何を学び、社会の一員としてそれをどのように生かし、自分の人生を豊かで潤いのあるものに出来るのかを考えてみたい。
▼教育の専門家である先生、あるいは先輩、そして父母に相談をし、参考にする事もあると思います。そのような時には暖かく厳しい助言をもって見守りたい。
▼しかし決めたなら自分なりに最大限の努力をしてほしい。結果はともあれ、悔いは無いだろう。
▼人は、その人生の中で様々な試練を乗り越え、大きく成長して行くのではないでしょうか。


[北陵だより第20号 2ページ]

卒業を前に
―屯田平野・冬景色―
校長

☆昨年4月本校に着任してからどうやら学校にも慣れ、そろそろ冬さしかかるころ、「屯田ふぶきはものすごいですよ。ふぶきで学校が臨休になったことさえあるんですから。」とおどかされてむかえた冬、なるほど聞きしにまさるふぶきに何度か尻ごみしながらも節分の季節も過ぎて、けさも屯田平野、冬景色を眺めながめ、「津軽海峡、冬景色」を口ずさみつつ出勤するのでした。
☆2月に入ってまず世間の話題になるのが、市内各高校の志願状況でしょう。例年500数十名の志願者をかかえて大忙ししていたが、今年は石狩高校の新設のせいもあってか当初446名と定員になお4名足りないという、本校創立以来の珍現象が生じいささか心配しましたが、志願変更の結果最終的には476名がきたる3月7日8日の学力検査にのぞむということになりました。新設校から、ようやく衣がえをする時期にさしかかった、一つのあらわれなのかもしれません。
☆暦の上では、節分そして立春ということで春を待ちながらも、建国記念日を過ぎる頃から例年チラホラと梅ならぬ、私大合格者の発表が新聞紙上をにぎわす季節でもあります。この発表に一喜一憂する季節が、3月16・17日ごろをピークにひと月以上つづきますが、このために胃の具合が良くなったり悪くなったりするのもこのころ、正に明暗こもごもの冬景色の一点景といえましょう。
☆さて、いよいよ卒業式の季節になりました。卒業という、この旅立ち(コメンスメント)にあたって、生徒諸君には「松柏之心」の4字を銭げのことばとして選びました。卒業式の日が独立ちを祝福するにふさわしい、晴れた屯田平野、冬景色になることを祈っています。

第4回生の諸君へ
3学年主任

 第4回生の諸君、卒業おめでとう。3年間は本当に早いものである。諸君は新校舎で入学式を行った初めての生徒であり、恵まれた環境の中で伸び伸びと高校生活を送れました。旧校舎で大変苦労した先輩方にくらべ幸福であったと思います。入学以来の宿泊研修、臨海学校、林間学校、見学旅行等の行事には、先生方、生徒一体となってとりくみそれぞれ有意義で貴重な体験を得ました。これらの行事で身につけたものは今後の人生においてかならず役立つ事と信じ、また忘れ得ない思い出となるでしょう。
 さて卒業に当たってはなむけの言葉を送ります。
1.青春に悔いを残すな
 諸君は今青春のまっただ中にあり今後も続くわけですが、この希望に満ちた楽しい時代もあっという間に終ります。この時期に失敗したり、つまずいたりすると一生後悔し、とり返しがつきません。慎重に考え、行動し、悔いのない青春を送ってください。
2.常に謙虚で知性的であれ
 自信過剰でなく、自分はまだまだという気持ちで何事にも努力する謙虚な人間であってほしい。つまり“未完成の自覚”をもって社会人になっても良書に親しみ、英知を磨いてもらいたい。
3.情熱と信念を持て
 何事にも情熱を持てない人は生ける屍である。自分の信念に向かってひたすら情熱をかたむける事によって生き甲斐を感じ充実した生涯を送れるものです。毎日をただ惰性で送る“しらけ”の人生ではいけない。最後に諸君がそれぞれの分野でたくましく活躍される事を信じ健康と発展を祈ります。

卒業生の皆様へ
学年委員長

 卒業生の皆様おめでとう。ご卒業を心から祝福いたします。皆様は人生のうちで一番多感な時期を高校生として過ごされました。この3年間に楽しかったこと、苦しかったこと、悲しかったこと、いろいろと貴重な体験を積まれたことと思います。この体験は各人各様で、その評価は様々と思いますが、北陵高校に学ばれたことだけは誇りにしてください。人間は自分を育ててくれたものを誇ることができなければ、その時点で人生の敗残者になってしまいます。
 卒業後、皆様はそれぞれの道に進まれるでしょう。それぞれの道は貴方がた一人一人にとって、貴方自身が選んだ道であってほしいのです。選ばせられた道だなどと泣き言をいってはいけません。若人らしく元気よく、力一杯貴方が選んだ道を歩き続けてください。立ち止まってはいけません。障害があれば乗り越えることです。
 私は51歳です。50を過ぎると墓場に近づくほど、息子や娘の成長に生きがいを感ずるといわれています。私は息子にお前が私の生きがいだといったことはありません。照れくさいからいわないだけです。息子がえらくなることに越したことはありません。金持ちになるに越したことはありません。ただ少なくとも、息子が人間の道を誠実に歩んでくれたら私は満足です。皆様のご両親は私と同年代の方が多いと思いますし、私と考え方の同じ方が多いと思います。ご両親は皆様が立派に成長されることを期待しています。ご両親の期待に応えるよう努力してください。
 皆様の前途にご多幸あれとお祈りいたします。

生徒会の思い出
3年生男子

 私は高校生活で、青春をかけるものとして生徒会を選んだ。自分にとって生徒会とは、よき師でありよき友であった。3年間とその思い出は、生徒会と共に歩んできたことといっても過言ではないだろう。生徒会本部の一員として、数多くの行事を企画し、生徒会をより充実させ、発展させるためにいろいろなことを実践した。
 その一つ一つが言葉では言い尽くせない苦労と思い出がある。
 本部として、先生と生徒の板挟みになる苦しさと、一つのものを創り上げるよろこびと……。
 私は生徒会を通して授業では得られないものを学ぶことができた。

屯田っ子
3年生女子

 雨にも負けず風にも負けず、冬の屯田ブリザードにも強くめげなかった我々“屯田一期生”の卒業式ももう目の前。きまり文句の“光陰矢の如し”もまともに実感としてくる今日この頃です。
 まったく人間とは不思議な動物です。この3年間をふり返っても、今思い出せるのは楽しい事だけ。(一応は)シリアスな悩みの中に過ごした日々もあったはずなのに…。とにかく、豊かな自然とユニークな先生方の暖かな眼差しの中、おおらかにたくましく?育った我々“屯田っ子”としてもこれからが本当の頑張り時なのです。
 まぁ先生、見ていて下さいね!!

田舎道
3年生女子

 羽球部のトレーニングでランニングをすると、コースは学校周辺、つまり田んぼの中になります。防風林を突っ切って、右手に麦の穂、左手は稲穂。時には牛の一声を聞きながら、なんとものどかな雰囲気。辛くて苦手なマラソンも“田舎道の散歩”と言い聞かせて走った。実に北陵は環境の優れている、稀少価値的存在であると思います。通学には少しばかり時間がかかりますが、まともにシベリアからやってきたような屯田ブリザードと、そんな日の帰りのバスのあのすさまじさに、生きることの過酷さを教えられました。なんとも有意義な3年間でした。

想い出
3年生女子

 あと卒業式を残すのみとなった。まだまだ高校生でいたい気分である。一口に想い出といっても、たくさんありすぎて書けない。楽しかったことやうれしかったことよりもつらかった事の方が多かったかもしれない。私の場合は遠距離通学だったのでやはり、よく3年間通ったものだなあと思う。冬になるとまだ星の見える頃に家を出て、星の見える頃家路についた。だがそれも今は思い出となってしまった。無意味だなと思ったこと、後悔したこととあったが、その中から得たこともまたそれ以上に多かったと思っている。人と人とのつながりを大切にしてやわらかな弾力性をもって生きていきたい。

共鳴
3年生男子

 「さよならだけが人生さ。」と呟いたのは誰だっただろうか?これからみんなが、離れ離れになることを思うと、妙に深い哀愁を覚える。もっとも、僕達は長い人生のほんの一瞬間を共有した仲間に過ぎないのだ。個性豊かな仲間ばかりなのに、日頃は平穏すぎるほどの雰囲気だったのも、みんな本当はそのことに気付いていたからなのだろう。とはいえ、クラブ、学校祭、修学旅行等は楽しく、みんなでよくはしゃぎ回ったものだった。楽しい思い出に浸ってばかりいるのもいけないが、いつかこんな時代の事が胸の中を去来することも必ずあるだろう。

進路決定の視点(6)
進路指導部長

 今回は就職の問題を取り上げてみたいと思います。
 今年度の就職戦線は、全道的に見た場合、経済界の低迷の影響から深刻な状態でした。1月末現在で、就職希望生徒の4分の1がまだ内定していないといいます。
 幸いなことに、本校では末現在で45名の生徒が全員内定しました。これは勿論生徒自身が企業の評価に耐えうる素質を持ち、それぞれが努力した結果でありますが、昨年よりも希望者が増加したこともあって担当者を先頭にした全校的な労苦もありました。
 昨年12月に発表された文部省の調査報告によりますと、高まる一方だった大学進学率が11年ぶりにダウンし(全国平均37.3%)、それに反して就職率は8年ぶりに上昇した(全国平均41.9%)とあります。又、景気回復の遅れは求人数の減少(石狩管内求人数は49年度に比して52%減)となって表れておりますし、来年度は今年よりもさらに6%から9%位求人数が減るという予想も出ております。
 本校生徒の就職志望状況(昨年11月調査)は、1年生35名、2年生46名となっており、昨年度同期に比して1年生19名、2年生23名の増加を示しています。この数字は本校に於いても、就職志望者が今度漸増していくことを物語っておりましょう。
 こうした状況を踏まえた上で困難を切り抜けていきたいものです。そのために考えていただきたい点を述べますと、
(ア)勉強が嫌いだから就職するという安易な態度を捨てる。
 現在はかつての好況時代と違って、いわば「買い手市場」な訳ですから、企業側の要求水準が高まってきております。高校生の本務をおろそかにするようでは困るという訳です。
(イ)早く志望を決定する。
 今年度も途中から就職志望に変わったり、何か態度がどっちつかずであったりする例がありました。準備不足は不利な結果を招きやすいですし、担当者としても気持ちのあやふやな場合は責任をもった仕事ができません。できるだけ早く1年の時から態度を決めるよう心がけ、それなりの心構えや準備に取りかかって欲しいものです。
(ウ)自己本位の高望みは捨てる。
 大学短大の就職難については新聞やテレビなどで報道されているとおり、高卒以上にひどい状況のようです。大学生、短大生が希望ランクを下げて、高卒の求人市場に流れ込んできているともいわれております。大企業、安定企業、事務系、高収入、楽な仕事をのぞむのは判りますが、事態はぜいたくな希望を許さないことを知ってほしいと思います。
(エ)日常の努力を惜しまない。
 毎日の学業に打ち込むことは勿論のことですが、特技(珠算、タイプ、簿記など)習得や、人格や人間性の高まり、礼儀、ことばづかいなど、付け焼き刃では処理できないのですから、常日頃の努力が肝要です。
 面接でその人の総合的な面が試されることを常に念頭に於いて生活して欲しいのです。

ご卒業おめでとう 第4期生を送る詩
教頭

天翔くる青春

嗚呼渺々の大廣野
 先人ここに斧打ちて
 築きし礎いや高く
 ここ開拓の北都(みやこ)にぞ
 希望の光 新なり

身は青春の血に燃えて
 芸文の花をかざしつつ
 真理の教えに憧憬れて
 集い来たりし若人は
 十五の春を謳歌せん

陽炎ゆらぐ春の日に
 落葉しぐる秋の夜に
 青春の賦を吟ずれば
 胸に血潮の湧き躍り
 眠れる山河甦える

同じ甍の起き付しに
 三年の春秋流れゆく
 やがて別るる時は来む
 わけ行く道は異なれど
 心は一つ北陵われら

親しき友よ吾が朋よ
 去りゆく時を偲びつつ
 ひとつ灯(ともし)に影寄せて
 今宵も語り明かさんか


スクールライフ


予餞会

 去る2月10日に行われた予餞会は、一部しらけたところがあったが、一応成功したと思う。去年の11月に予餞委員会が発足してから内容についていろいろ悩んだ。なぜなら去年に比べると時間も短くなったうえ、3年生も参加できる内容にするためだ。去年を例にとると、3年生はただあの寒い体育館にいるだけで、1・2年生がフォーク、ロックなどで楽しんでいるといった状態だった。委員会としては、参考にする資料もないままどんどん時間がたってしまい本当にあせってしまったが、ゲーム大会の司会者の福岡君のアイディアで、どうにか時間的にはぎりぎりだったが、10日に無事行うことができた。しかし、ぼくは「予餞会」を担当していろいろなことを感じた。特に、くだらないからやめろということ、時間の関係や生徒が1000人近くいる中でそれぞれ好みを聞いていたらきりがない。ある程度決めてしまう面もあるんですよ。
 とにかくいろいろな問題をどう処理するか、今後の課題です。
(生徒会副会長)

バスの乗車整理で思うこと
 1日の拘束を解かれた直後であり、年中、風や雨や雪に遊ばれる環境というせいもあろうが、それがほんとの理由なのだろうか。
 下校時。バスが来たとみるやドドッとバスに群がる。そして乗車口に向かって力いっぱい押す。だれが押しているのか分からない。みんな迷惑そうな顔をしてはいるが、足がだんだんバスに近づくのだ。
 乗車整理を一度でも経験し、この中でもみくちゃにされた風紀委員は、あまりの仲間の愚かさにあきれ嘆く。自分達だけの校内生活の中でなら、ある程度の行動は許されるかもしれない。しかし、一度校内を出て、一般社会との接点であるバス停でこの醜態が許されるのか。一時期、事故でもおきれば…と思ったことがあった。その直後、みごとに現実となったが、何か変わったことがあったか。生徒の整理には見向きもしないのに、先生が出てくると手を裏返したように100m2列縦隊になる。なぜだろう。
 北陵生ってこんなものなのか。
(風紀委員長)


編集後記
▼本年度最終号をお届けいたします。
▼例年にない豪雪と寒波にみまわれ先生始め生徒の皆さんには、登下校が大変だったことと思います。
▼私共もこの号の編集の日に、猛吹雪にあい、やっとの思いで学校にたどりつきましたが、部員一同よりよきものをの熱意で最後まで頑張ってまいりました。
▼この1年「北陵だより」の編集を通し、いかに人々の「和」と「協力」が大切であるかを痛切に感じました。
▼御協力・御指導下さいました皆様に心よりお礼申し上げます。
▼来年度はもっとすばらしい「北陵だより」でありますよう期待しております。