北陵だより第22号/昭和53年12月20日発行


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北陵祭〜想像から創造へ〜
第6回北陵祭を顧みて
北陵祭実行委員長

 今年の北陵祭も無事に、9月1日から3日間実施されました。
 幸いにも好天に恵まれた仮装行列では、各学級共趣向を凝らしたものであって沿道で見ていた方に楽しんでいただけたと思います。また前夜祭においては、フォークダンス、花火等、例年にない盛り上がりをみせて、北陵祭になくてはならない存在になったと確信しています。
 なかでも特記していいのは、花火です。夜空に大きくくっきりと開いた花の傘、さらに真赤な「北陵祭」の花火文字は圧巻でした。
 展示、ステージ発表では、各学級それぞれに工夫されていて、見る者に笑いや興味を与えるものもあった反面、一般にマンネリ化となっていることが残念に思われました。しかし北陵生全員が、短い準備期間に他の行事と重なりながらも準備をして、実行をしたということはたいへん意義のあることだと思います。
 実行委員会についても、今まで経験したことがないものばかりで反省しなければならないことがたくさんありましたが、どの実行委員もそれなりに一生懸命努力をしたと信じています。
 最後になりましたが、この北陵祭にたずさわれた諸先生、各委員、全校生徒の皆さんにお礼を申し上げます。

仮装行列で優勝
3年生男子

 我クラスは、優勝なんて思いもよらなかったことで、ただ高校生活最後の学校祭にできる限り全力を尽くしてやるだけのことはやろうという意志で臨んだのでした。
 当初、ルーツの登場人物、大道具、小道具づくりや役割の分担など最初からつまずき、「仮装なんてできるのかなァ」と思っていたんですが、そこは我クラスの団結力のカバーで順調に事がはかどったわけでした。
 さて、仮装の日、朝から準備で忙しく、不足している小道具を作り上げ、メイキャップも完了。黒人20、白人7、工藤先生総勢28人がルーツのテーマソングにのって学校を出発。屯田、新琴似の町をねり歩きました。
 我クラスの仮装のメインエベントは、やはり檻の中の「クンタキンテ」で、ほかにも死んだ黒人が観衆に大変うけていました。それに、いたるところで笑いがこぼれ、店先のやじ馬にもここが一番と太鼓判をおされ、ファイトがわいたほどでした。
 そのようなことが功を奏したのかみごと「北陵祭賞!」。我クラスは感激の念でいっぱいです。

ゆりの木
▼木枯らしが冷たく根雪近しを思わせる頃となると、再び春の訪れる時は入試結果の哀歓を受けとる運命にあることをいやでも感じさせられる。
▼受験だけが人生ではなく、進学は手段の一歩に過ぎないといわれるが、新しく実施される国立大学共通一次試験は頭痛の種を更に増やしているといわれる。確かにそれでなくとも受験準備の学習に追われている時に更に負担をかける様なことになるのだから腹立たしい思いにかられるのは実感である。しかし、ここでよく考えてみたい。
▼準備のための負荷の増大も、本来受験準備は手一杯にすることが要求され、いくらやっても完了した感が得られずやりきれなさを味わった記憶は消え去らない。それは一つには競争試験であることによるもので、制度の変化によってもこの点は変わらない筈である。
▼既に何回かの試行を経て実施が決定された今、批判はあっても何とかこなさなければならないのも現実である。準備のための学習も出来る限り将来の本人の実になるものとしたいし、何よりも来春のよい結果を期待したい。
▼努力の結果を得るには若さとエネルギーは強力な武器であり、その中から健康なものの考えも生まれ出るであろうし、紆余曲折の場にも耐えて人格形成を積み上げてゆくであろう。ともあれ卒業あるいは進級への厳しい季節を健康に、そして苦楽をともども併せ充実した生活を送ることをお互いに念じたい。


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高P連石狩支部研修会
「青少年の健全な育成をめざして」―高校生の非行の実態と家庭教育―

PTA役員

 去る11月16日、札幌市教育文化会館で昭和53年度の高P連支部研修会が開催され、約150名程が集まり熱心に討論がもたれました。はじめに4人の提言がありその後全体討論という形で進められました。第1の提言は札幌少年鑑別所長の十河一氏で、具体的に生々しい非行件数をあげ、特にシンナー非行は高校生で307人(うち女子74人)、死亡事例は高校生6人(男子4人、女子2人)で好奇心と友人関係がシンナー非行につながる事を強調され、しかる時にはきちんとしかれる親であること、家庭の中に安定感があることが必要であると話されました。
 第2の提言は元小樽潮陵高校の校長先生であった神柾之助氏が、PTAは学校、家庭、社会のパイプ役を果たさなければならないと提言し、家庭教育の中で父母は社会の変化についていく親であること、父母がひたむきに何かに熱中していることが子供に教えることになること、子供に対してやさしさと厳しさの調和が大事であると話されました。
 第3の提言は札幌東高校PTA副会長の黒崎守一氏で、高校生の健全な育成をめざすには、父母と先生との話し合いの場をもうけ沢山の父母が出席できる状態をつくることである。また地域にもどって、地域ぐるみで青少年の育成委員会をつくり、2ヵ月に1回会合をもっていると実践活動を通しての提言がなされた。
 最後の提言は道立精神衛生センターの相談部長奥村昌子氏で、平素の臨床の中から豊富な体験を通して子供を親が信じて見守っていくことが、親子関係で一番大事なことであり、非行を起こしかけている時には筋を通すことが必要であると力説された。
 いずれの提言もそれぞれ身近な内容で実感があり、納得のいく話でした。あと1つアンケートか何らかの方法で子供の側の生の声に近いものが加われば、現在の子供の立場を知る上でも参考になり「家の子に限り」等というせまい視点もさけることができるのではと素人っぽいことも考えました。また全体討論では発言を自由にということで学校名や名前を抜きに質問や意見をのべるという司会者のスマートなさばきに加えて、タテマエ論よりもホンネで話を進められたように思いました。親子の会話というが親は自分の都合に合わせて子供と話をし、タイミングをはずしていないだろうかとか、部屋に錠をかけてこまるという質問に対して子供の自己主張を親が犯してはいないだろうか等の回答があり、私としてはその内容から大変得るものがありました。「親の後姿」という言葉に責任の重さと恐れを感じ、子供の将来の目標については親子で何回も話し合いをする努力をしようと示唆され、研修会への参加は初めてでしたが仲間に加えて頂いてよかったと思っています。

公開講座開かれる

「地理巡検」
 地理巡検は2回目です。コースと先生の魅力でいつも新鮮な感銘を受けています。この講座は地域の人にも大好評で今回は定員オーバーで参加出来なかった人がたくさんいたそうです。地理には全然興味がなかった私も札幌をぐっと身近に感じられ、いかにも私の街になりました。街の名のいわれを知り、河、道路の成り立ちを聞く。屯田兵屋にいにしえを思い、厚別副都心に未来を思う。こんな1日を多くの人に経験して貰いたいと思いました。また来年もよろしく。

「体育」
 体育的な講座をとの要請にいろいろと考えバドミントンを開設することになりました。
 予想を越える申込みがあり、心配された怪我も無く無事終了することができました。後藤信子さんが記録して下さった日誌の中から講座の様子を紹介します。「3回目、参加者の熱気で体育館がムンムンしている。本当に楽しい、大変な進歩に驚いている。5回で終わるのが残念なので週1回ずつでも続けられたらという声が出ています」。短い期間でしたが、日頃の運動不足の解消に少しはお役に立てたと思っています。出来ましたらどの様な形ででも運動を続けていただきたいものと思います。又来年御一緒に楽しみましょう。

「音楽」
 とても、とても楽しかった……。毎回腹式呼吸から早口言葉、柔軟体操、発声練習そしてコーラス、少ない回数なのに素晴らしい充実した時を過ごしました。最後の日の先生方や生徒さんを前にしてのささやかな発表会ではすっかり上ってしまって、もう少し上手な筈だったのに……。中辻先生に申し訳なかったと汗ダクの思いでした。

「書道入門」
 この度、公開講座の書道入門を受けてまず感心した事は、この講座が先生方の奉仕によって成り立っている事です。現在の教育現場では種々雑多な問題をかかえ暇等ないはずの先生方が、PTA地域住民の研修活動にこれ程の熱意を示して下さる事に一住民として大変うれしく誇りに思います。古典を中心とした勉強は、その書のもつ特色、筆使い等わかりやすく解説して下さり良かったと思います。これからも是非、色々な古典と言われる書について幅広く教えていただきたいものです。只この公開講座のPRの方法について、一人でも多くの人に参加出来る機会をと思います。もちろん先生方の負担にならない程度にですが、来年も是非お友達を誘ってと思ってます。

「生物」
 この地に住んで以来植物に関心を持っていましたので、野草の観察という講座は絶好の機会に思われ、小雨模様の天候でしたが、国兼・薬師両先生、係の方々の熱意で予想以上の充実した時をすごすことが出来ました。唯欲をいえば少なくとも、春、夏、秋の3度にわたって、植物、生物とのかかわりにまで発展させ観察が出来たらと思いました。

「家庭と学校のかかわり」
 非行問題等が低年齢化している昨今、「家庭と学校のかかわり」方についての認識や、その重要性が強く問われてきている所、公開講座の機会を得、今後の子供の教育に参考になりました。諸先生方から非行、自殺に関する具体例、家庭生活における子供、親の実態調査等が話され、学校と家庭が手を取り合って進めて行く上には、共通の目的を持ち、人生の先輩という立場で子供が人生に向かっていくための最小限度の知識とルール、そしてエチケットを身につけさせることが大切だと思います。今の社会変動を適切にみきわめ今後親としてなすべき事は、学校、家庭、地域が一体化となる事によって非行その他の問題を解決する事が出来るのではないでしょうか。これからも、この様な研修の場を大切に学んで参りたいと思います。

「染色」
 北陵高校が開校になり若さ一杯の地域となって喜んでおります。此度PTA並びに地域住民共々の文化活動とユニークな催しに大層興味をもって参加しました。なごやかに実技に入りましたが、スーベルカッター等は思い通りに動かず汗を流し乍ら染色仕上げと世界に一つの作品を作るのに過ごした幾日かを感謝しております。

 近距離の学校での公開に昔を懐かしんで出席しました。教室の雰囲気がとてもよく、明るく、気さくに何でも質問出来ました。
 物を習う場として、珍しくガツガツしてなく、割合のんびり学べて嬉しく思いましたが、技術的な話等、あいた時間に教えて欲しいと思いました。

「明治維新」
 ジーガシャン、総て自動化でテレビ、スライドを使っての講義は真に面白く話の中の和宮替玉説の一例に左手の不自由な事があげられていたが、スライドには左手の書かれていない肖像画が映り、映像と文字と先生方の含蓄に富んだお話とで、3時間が物足りなく感じ、この次にはもっとつっ込んだお話をと思った程でした。

話のひろば〜地理巡検に思う
公開講座参加者

 初秋を思わせる9月4日、約50名の受講者の皆様とルートアップのコースで札幌市内全域を辿りました。
 扇状地に左右されている札幌、一番上である南の真駒内は冬季オリンピックの際に一度は断念した住宅改良事業を、今度は土地区画整理事業との合併施行で長所を生かし、北区東区西区の住宅街にはない緑豊かな真駒内団地であった。
 私共の住宅街には見られない草木が美しい、扇央の石山通り中央には、山の手新興高級住宅街が位置していました。
 私は高級住宅街というものは勾配が急な所に出来ると聞いていたが、平地の札幌でもやはり勾配のある土地に出来ていたのは驚いたと同時に、山の手住宅という言い方も自ら納得がいった。
 扇端にあたる白石神社及び道知事公宅に、湧き水があるというのには感心した。
 石狩川下流辺りに位置する屯田団地、不思議に感じたのは、団地内に銀行があったという事で、普段私達が中心街にあるべきものと思っていた。
 しかし経済人の考える処に我々と違う発想があって新しい団地の顔ではないだろうか。
 前住地に比較して札幌の街並は画一的な様相をし、それを前面に押し出し将来と現在とを見比べ、開発の途を進めて居る事に心を動かされた。
 札幌市内を一巡して特に感じた事は、東京以北の都市の感があり、生活、文化、産業、交通、教育、各分野に今一歩望むのである。
 開道110年先人の偉業を受け継ぎ我々の北海道を、そして札幌を育てていきたいと思う心を人一倍持っている私です。

「うちの子に限って」(2)―心のカギ―
生徒指導部長

 期末考査も終わり、もう冬休みに入るという一週間ほど前のある日、クラスの生徒全員に「1日の生活を基本にした休み中の生活の計画表を作って提出しなさい」と言った。2、3日して、1本1本の線も丁寧に見事に1枚の表に仕上げたもの、色とりどりに描きこんだ芸術品、手書きの線で曲がりくねった雑なものなど、それでもつぎつぎと提出されてくる。ただ1人だけ期限ぎりぎりになっても出さないのがいた。提出するのはいやだと言う。相談室へつれてきて話を聞くと、「計画表を先生に見せるのはプライバシーの侵害である」と言う。担任教師に臆面もなく言うほどであるから、家庭ではもっとはっきりと親に拒否の態度をとっているだろうことは容易に想像できる。
 このような子どもに共通していることは、勉強部屋として独立した部屋を持っていて、その部屋には必ずカギがかかるようになっていることです。子どもはそこに自分だけの世界を作っていて、食事のとき以外(ときにはその食事の時間まで家族とずらしたりする)は部屋から一歩も出ません。親は何とかしてコミュニケーションを回復しようと子どもの部屋を覗きますがそのつど“プライバシーの侵害”といって拒否されてしまう。小さいとき子どもを甘やかしたそのツケを、いま親は解消しなければならないのですが、すごすごと部屋から引き下がる以外に方法がないといった状態。
 真の愛情やしつけの代わりに、欲しがるものを与えることによって済ませてきた親。子どもに必要以上の手を貸し、子どものやろうとすることを全て先取りしてやってしまう。このような家庭における人間関係の中では子どもたちは必然的に精神的な発達が遅れ、子どものままに未分化な状態にとどまることになり、忍耐力に欠け、依存心や不安定感をもったままの青年になってしまう。このようにして育った子どもが高校に入ると、入学そのものの動機が親や中学時代の先生など自分以外の人たちによって与えられたものであり、従って自らの目的を持たず、自分から問題意識をもって学習しなければならない場面の多い高校の勉強には耐えきれず、少々の注意や指導がなされると自己中心の考えに陥り、反抗的言動をとったり逃避の状態にこもってしまう。この時点になって親がその非に気づき急激にきびしい態度でのぞんでも反抗的態度をとるばかりであり、強いては個室へと追い込む結果になりかねないのです。


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スクールライフ
高文連全道大会で活躍 高文連理科奨励賞受賞


生物部
 私たち生物部は10月27・28日に岩見沢で開かれた高文連理科研究発表大会に参加しました。今回当部では「細胞性粘菌の円山周辺における分布にういて」という研究を発表し、その結果奨励賞を受賞しました。高文連参加は今回で3回目で奨励賞受賞も3年連続のことです。
 細胞性粘菌とは湿潤な場所を好む土中生物の一種で一般的にはあまり知られてはいませんが、意外と身近にいる興味深い生き物です。高文連にもこの粘菌の研究を毎回発表するなど、いわば当部の課題研究ともいえる対象物なのです。
 今後も高校レベルでできる限りの研究をより深く掘り下げてゆき、その成果の発表の場として高文連にも参加してゆきたいと思います。

弓道部
1年生女子

 弓道場もでき、期待をかけらえたわが弓道部も、秋期新人戦では女子団体優勝。女子個人では坂東が優勝し5位に桜庭、6位に竹中、男子個人は6位に十文字が入り、すばらしい成績でした。やればできるんだの根性で、来年も優勝の座を譲らないように頑張ります。

柔道部
3年生男子

 去る10月29日に新人戦が本校を会場に行われましたが、成績は北海高校に惜敗し、3位という結果におわりました。続いて11月5日に全道新人体重別選手権が行われ、北陵からは木村、筒井が出場し共に2位でした。来年に向けての1・2年の努力に期待します。

陸上部
2年生男子

 わが北陵陸上部は、9月15日円山で行われた新人戦に出場しました。全部員が持っている力を十分に発揮し、自己最高記録を上回る高記録が数多く出ました。特に1年生部員はよくがんばり、来年春に行われる全道への地区予選に期待がかけられます

粟生氏の御好意で生徒ホールに「絵」
 北陵祭の中日、9月2日、文化的な企画として講演会が催された。「この土地、屯田90年」という演題で、当地に長く住まわれている粟生亨氏に依頼することになった。体験的な含蓄深いお話は、全職員、全生徒に深い感動を与えてくれた。生徒会より謝礼として丸谷焼の壺を贈ったのですが、氏よりそれに倍する以上の金子の寄贈をいただいた。その篤志をどのような形で残すか相談の結果、生徒ホールに絵として残し、記念することになった。絵は、本校卒業生の制作によるものである。
 なお、その絵の「見どころ」について、若干本校職員に語ってもらった。
『青い部屋』

 青い部屋の中に配置されている対象物は、楽器や花等で構成され日常いつも見慣れた生活空間がそこにある。
 然し、それ等を媒体としてつくられてくる画面が、彼女独特のブルー調に組みかえられると、そこには別な新しい世界が生まれる。
 青の世界と言っても冷たさは感じられず、暖かく静かに心に伝わってくるのは彼女の持つ人柄から来るものであろう。
 この絵は、青を主調とした幻想の世界がすばらしい。

編集後記
▼地域に対する奉仕になればと始められた公開講座も3年目になって、頭初の目的通り木の葉が紅葉しはじめる頃になると地域の方々にまだ開かれないのと待たれる程、密着してきたようです。
▼今回はその1つ1つの講座がどのようにしてPTA会員地域の人々との間に親睦をはかり実績を上げているかということを取り上げてみようと思いました。
▼我々編集委員もいろいろな人に接してその反響の大きさに驚き、限られた紙面を残念に思いました。
▼北陵祭の仮装行列では日頃学校では見られないような子供達のユニークな素顔が見られて、笑い乍らカメラのシャッターを切りました。これもまた付近の住民に期待される行事の一つになりつつある様です。
▼お忙しい中を原稿をお寄せ頂きましてありがとうございました。