北陵だより第27号/昭和55年7月20日発行


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就任御挨拶
PTA会長

 緑陰恋しいこのごろ、皆さまにはますます御健勝のことと存じあげおよろこび申しあげます。
 この度の定期総会におきましてはからずも会長の大任をお引き受け致しましたが、浅学非才の私にその重責に耐え得るかどうか竦みあがる思いです。
 幸なことに高原校長先生をはじめ教職員の方々、新、再任されました役員の皆さまの卓越した知識と、豊かな経験のご支援を基にして精一杯の努力を積み重ねて参りたいと存じます。
 温厚な人柄で優れた指導力、献身的にご活躍され大きな業績を残されました大宮前会長、さらには退任された役員の方々、めでたく今春卒業によって退会されました会員の皆さまの常日頃からのご尽力に心から感謝申し上げます。今後ともPTA発展のために今に倍してのご助力、ご鞭撻下さいますようお願い申し上げます。
 本来、子どもは健全なもので、「健全に育つもの」と考えます。数年前のある研修大会のときに、PTAは何をすべきか、の原点に素朴な疑問をもって提言してみたことがありました。親として子どもに、国として世代に求めるもの『未来を志向するたくましく豊かな子供を育てよう』、毎年の研究主題でもありました。
 日常生活では物質的に非常に豊かになり、その反面精神的には貧困になってはいないでしょうか。多様な価値観、急激な社会構造の変化などの歪みを受けているのは子ども達であると思います。
 高学歴社会での学校への期待と不信感につながり、学習塾へと通い余暇なしの日々が子どもに圧力として加わります。中学から高校へ、高校から大学に、親としても精神的に財政的に負担増大は避けきれない現実となっています。
 北陵高校PTAには、他校から注目されている「公開講座」があり、各種の懇親会ありで会員相互の親睦と研修を通して楽しさも悩みごとも語りあえる場として活用し、究極の目的である「家庭と学校とから子どもの教育効果を高める」ための一翼になることと思います。
 昭和47年4月に開校して明年は10周年を迎えます。より良き豊かな教育環境への計画準備の本年度であります。会員皆さまの一層のご協力とご鞭撻を切にお願い申し上げまして、粗辞で恐縮ですが就任のご挨拶と致します。

ゆりの木
 私の母校の恩師で、もう20余年も前に退職し、その後生まれ故郷に帰り、90才近い高齢で悠々自適の生活を送っている先生がおられます。その先生は数学を教えていました。出身地が東北の為、東北ナマリそのままのユニークな授業は我々にとって、とても身近な感じがして、楽しかった思い出が今でも脳裏に焼きついているのです。
 その先生が90才近い今でも、東大入試の数学の問題を毎日5問ずつ勉強されているという事を知り、私はただただ驚嘆するばかりです。
 母校の創立100周年記念式典は6年後に行われる予定ですが、その時先生に御出席してもらうべく教え子(50才前後)数名が先生の御宅を訪問し、長生きを願ってはげまして来られたそうです。私もその先生の御出席を心から願っている一人です。
 この様にいつまでも生徒にしたわれる先生に教えていただいたということは、私にとって大変しあわせであり、又誇りに思います。
 年をとっても生きがいを持って毎日を過ごせるなんて、大変素晴らしい事で誰もが望む事ですが、それがなかなか思う様に行かない世の中なので残念です。でもせめて健康であればある程度の想いは叶うと思います。
 今迄は子育てに精一杯で精神的余裕が持てなかった方が多いと思いますが、これからは自分の生きがいを持つ事に目を向け、より良い人生を送るべく努力しましょう。


[北陵だより第27号 2ページ]

全道高P連大会に参加して
『人と人との間』

PTA役員

 水と空気のおいしい“帯広”、6月26・27日の2日間全道高校PTA連合会の第30回総会・大会・研究協議会は239校740名の参加のもと開催されました。
 第1日午前中は総会で「会務報告、収支決算書、規程改正、本年度事業計画、予算、役員改選」の各議案を提案通り確認しました。
 昼食時は帯広三条高、中札内高生徒によるアトラクション、帯広農高から水割りのない牛乳が寄贈され楽しい一刻を過ごしました。
 午後は大会で表彰式が行われ当校PTA前会長大宮富雄に感謝状の贈呈、全国大会表彰に推薦されることになりました。心からお祝いと感謝を申し上げます。
 大会の後映画監督、作家として活躍中の松山善三氏を講師に招き『人と人との間』という演題で「人間はいない、人は一人の動物である。世間・時間・空間等大事なものには“間”がついている。欄間、床の間は役に立たないようでも安らぎを受けている。大事なのは人ではなく人と人との間である。子供を育てるには躾が大切でそれは親の責任である」と1時間半に及ぶ物語・ユーモアを交えた有意義な内容で刻を忘れ、席を立つ者もいませんでした。
 第2日目の分科会は未来をになう青少年の豊かな人間性の育成を目ざしての主題のもと「行財政・学校教育・家庭教育・私学教育」の4部会に分かれ、提言発表、助言、討論がありましたがその内容等は機会あるごとにお知らせ致します。
 担当校としての十勝支部の会員の皆様には本当にお世話になりました。参加者一同より水と空気のきれいな街に「真心」大会であったとお礼を申し上げて大会の幕は拍手の中に降ろされました。

私の青春時代
PTA役員

 もう30数年前のことで、戦後の混乱の時代でありました。
 第二次大戦中は国民総力による軍事、食糧生産と、心身の鍛練のみに力を入れていた時代で殆んど勉強もせず過ごしておりました。そして敗戦、私は村の一青年ながら、その報道を聞き大きなショックを受け、将来日本はどうなるのだろう、アメリカは日本に対しどんな侵略政策また、危害を加えてくるだろうかと、ほんとうに心配をしていたものです。数十日して米軍が日本に進駐、毎日毎日が不安でありました。村ではその不安をやわらげるため青年達が中心となり働いて疲れている体であったが、夜集まり各種の研究、練習につとめ村々で慰安演芸その他を催し、不安と失望の日々を慰め合ったものです。終戦のため村には軍人、外地勤務、軍需工場で働いていた若者達が大勢帰り、又一つの不安がありました。それは働くに職なくそして食糧もなく、明日への希望がたたれていたのです。私もその一人でありました。青年達があふれている時ですがら就職にはいろいろきびしい条件があり困難でありました。就職で村を出て行く青年をみる時本当に羨ましく思いました。私などは中、高の学校も行けずそれに体が弱くどこで何をするかその道もなく、また迷い将来に大きな不安を持ちました。弱い体のため考えを改め村に残り村のためになる仕事につこうと思い、それに必要な課程を勉強し終了したが、国内に不況の波がおしよせ各所で人員整理があり村で働くことが出来ず無念の涙を流したものです。昭和27年春、縁あって北海道に就職出来、天候気象の変化と馴れない土地での勤務であったが、約30年近い勤務を遂行出来たのは青春時代の苦しい生活での精神力、気力による根性が大きな支えとなったものと確信いたしております。

話のひろば
卒業式に思う

保護者

 3月10日……ものすごい吹雪とみぞれの中をおごそかに、かつなごやかに卒業式がとり行われた。あんな天気の最中、本当に卒業式に参列する人がいるものだろうかという不安な気持ちを抱きながら学校へと向かった。
 午前10時、生徒の入場と共に式が始まった。担任の先生が一人一人の名前を呼び、そして生徒一人一人が壇上に上がり、校長先生が“おめでとう”と卒業証書を手渡す。
 こんな姿は他の高校では見られないものであろう。生徒一人一人の晴れ姿を見る事ができたことを私はとても幸せに思った。それと共に、この3年間という年月がとても短く感じられた。そんな子供の姿を見て涙する父兄の方々を見ているとなおさら感激があふれてきた。
 こんな式の中に、先生と生徒として父兄との間に普通ならば大きな壁が立ちふさがっていて、ただ事務的に生徒を送り出すというような形がとられるようですが、この北陵高校の卒業式には、先生と生徒と父兄の間に、心のつながりとでもいうのでしょうか、とても何とも云えないなごやかさというものがあって、この卒業式はとても素晴らしいものであったように感じられます。
 そして私が何よりも感激したこと……それは卒業式後、卒業生が学校から去るとき、あのものすごい吹雪とみぞれの中を校長先生をはじめ諸先生方、並びに在校生代表の皆さんが、校門のところまで列をつくって、先生方皆さんが傘もささず一人一人と握手をして最後の一人が終わるまで送ってくださっていた姿……あの姿に私はとても感銘を受けました。本当に先生と生徒……上級生と下級生のつながりの深さというもののすばらしさとでも云うのでしょうか。心と心のふれあい……先生方や在校生の皆さんは風邪をひくかもしれないというのに、こんな姿はどこの学校でも見られないでしょう。これはもしかすると毎年行われていることかもしれません。しかし、こんなすばらしい感激的な場面を見たのは初めてです。私は、これからもこんな心のふれあいの卒業式とでもいうのでしょうか、そんな卒業式をいつまでも続けて下さることを望みます。ありがとうございました。


[北陵だより第27号 3ページ]

昭和55年度 PTA会計収支予算書
 この項目は掲載いたしません。

昭和55年度 後援会収支予算書
 この項目は掲載いたしません。


[北陵だより第27号 4ページ]

昭和55年度 役員名簿
 この項目は掲載いたしません。


[北陵だより第27号 5ページ]

宿泊研修を終えて
1年生女子

 この3日間は、時計の針が駆け足で過ぎて行ったようだ。諸先生のお話、友人との語らい、散策。どれもこれも、私達がよりよい高校生活を送れるようにとの、心くばりが感じられ、私達の心の奥に残っている。
 私の最も印象に残っていることは、野外散策である。「普段の行いが良かったのかな…。」と友人と話しながら、青年の家を出た。青い空の手間に、くっきりと浮かび上がっている白い山々。空には一片の雲もなく、車の音も聞こえない。あたかも、自分達が世界の真ん中にいるような錯覚にとらわれた。張り詰めた、すがすがしい空気が私達を包みこんでいる。
 前日に見た夕日も、すばらしかった。山に吸い込まれていくように、ほんの数十秒という間に見えなくなってしまった。名残り惜しい気がして、窓のそばからしばらく離れることができなかった。
 高校生活を始めたばかりの私達が、見て、聞いて、体験した事の一つ一つを頭にとどめておきたい。北陵に向かって走り続けるこのバスと同じように、私達にも行き着くべきところがある。まだ今、それははっきりとした形ではないが、少しずつ姿をあらわそうとしている。今回学んだことを基にして、友人と手をつなぎ、希望に向かって歩んで行こうと思っている。

「自分自身で守る安全」
健康指導部長

 健康指導部は大きく分けて3つの分掌があり、6名の職員が配置されております。保健、安全、環境の3つで、此の紙面を利用して3回に分けて仕事の内容をお知らせすると共に、生徒指導の為の御意見を期待したいものです。
 まず初めに安全についてどの様な内容の仕事をしているかを紹介しましょう。本校では自転車通学を許可しております。春4月自転車通学届を出し、札幌市内の自転車屋さんから整備済証を提出し、学校側から登録シールを受けとり、自転車後部の反射板の上に貼り通学出来ます。勿論学校側では、ライト、ブレーキ、反射板等の点検を時々行い安全性を確認します。又自転車保険の手続きを5月迄に行います。今年は、4月から6月初旬まで3件の自転車通学中の事故がありましたが全員保険加入者でした。本校全体では、500数十名の自転車通学生中、約200数十名の加入者があり、加害者にも被害者にもならない指導と並んで保険の加入を呼びかけております。
 自転車通学では特に注意している点は、1.並進、2.未登録(学校に遅れる時間で不整備の他人の車で超スピードの通学となる恐れが多い)、3.燈火反射板の不整備(部活動等で照明が必要な場合あり)、4.車の仕様変更(変形ハンドル)等であります。現在までのところ、極端な違反事例もなく、大きな事故に発展していません。自転車置場は、3年生と1年生の一部のみ屋根付きで、残り約300台は露天で区割しているのみで申し訳なく思っております。自転車通学の安全指導については、生徒全体集会でかなりの時間をあて、「安全は自分で守る」を自覚させるよう努力しており、級代表による安全整備点検も行い事故防止につくしております。
 バス通学安全指導については職員による乗車指導のほかに、生徒会風紀委員による乗車指導を行い、バス発着時の危険防止に努めております。高校生の場合、危険についての認知力がある年令ですので、その点と、自主管理体制の援助を2つの柱に指導しております。
 バイク等については、通学は勿論禁じておりますが、出来る限り不必要な免許取得、バイクの購入は避ける指導をしておりますが、免許取得バイク購入の場合は届け出るよう指導し、旅行計画も事前に届け出るように願っております。最近、2、3件のバイク事故がありますが全て無届免許取得者と無届購入者でした。家庭での一層の注意をお願いします。大事にいたらない前に、学校家庭の連絡と協力で、事故を防止したいものです。

新任自己紹介
 この項目は掲載いたしません。


[北陵だより第27号 6ページ]



スクールライフ
高体連・高文連 全道大会で活躍

柔道部
3年生男子

 やっと3年生の肩の荷がおり、幹部を交代し2年生中心にがんばってもらうことになりました。
 北陵高柔道部に入部してから2年と3ヵ月、悔いを残さなかったと言えばうそになるかもしれません。しかし、まだまだ前途有望な1、2年生がいます。この1、2年生たちに期待して、これからの新人戦など各大会に再び北陵高柔道部の名を轟かせてもらいたいものです。

陸上部
3年生男子

 6月20日から22日、旭川にて行われた全道大会に5名が出場した。そのうち永井が男子五種競技で1年生ながら4位入賞を果たしたのは今後期待をもてる。その他、男子800mで杉村、女子800mで佐藤がそれぞれ準決勝、棒高跳で松田、女子400mで其田が予選で敗れ去った。やはり全道の壁は厚かった。来年は厚い壁を破って全国大会出場を期待したい。

硬庭部
3年生男子

 6月18・19日に札幌中島テニスコートにて全道大会が開かれました。我々硬式庭球部からは、個人戦ダブルス1組が参加しました。あいにく18日は雨天のため数回の中断をはさんでの試合でしたが、1回戦、2回戦を勝ち抜き全国大会出場権を得るための3回戦にいどみましたが、全国の壁は厚くベスト8で敗退しました。今後の後輩の活躍を期待したい。

軟庭部
3年生女子

 6月18日、19日、20日と行われた全道大会に、谷・西川組、石栗・秋元組の2ペアーが出場しました。結果は、両ペアーとも全国大会まであと一歩というところ、ベスト16でした。この、あと一歩というねばり強さ・精神力・冷静さ、このようなものがまだまだ欠けているのだと思います。全道の壁は、決してそう厚くない!!
 今後の活躍に期待します。

体操部
3年生男子

 6月17・18日と釧路で競技会が開かれ、その結果は規定演技で予選落ちであった。6種目あるうち、鞍馬以外は予選通過者と同じような演技であったのだが、鞍馬は練習ができなかったため、参加点をもらうことが精いっぱいで、この結果は仕方がなかったと思う。大会が終わっても、現体操部員としてさらに頑張り、体操愛好者をふやしていきたいと思う。

放送局
2年生女子

 6月8日、札幌手稲高校でのNHK杯石狩地区大会で、3位という成績をおさめることができました。私はアナウンス部門で、これは個人の競争ですが、放送局員が団結していないとだめなんだナーということがわかりました。アナだけでなく、番組の方でも同じことが言えそうです。とにかく、この次は全国大会まで残るよう努力します。

石狩管内PTA指導者研修会に参加して
PTA役員

 6月10、11の両日、千歳市で研修会が開催され、『青少年をとりまく社会環境とPTAの役割』と題して道青少年育成協会推進部長の樺沢厚彦氏が、又『子どもの心の内側をみる』と題して静修短大教授の千早担先生が講演され、子どもに対し小さい頃からの躾がいかに大切かを実例をあげてお話になりました。
 研究協議での『高校のPTAのあり方』では小中校と違ってPTAの存在すらはっきりしない高校もあって、“高校のPTAは必要ない”との極論も出た程でした。
 『青少年の非行に対するPTAの役目』については、指導体制をもっと強化しなければ、増える一方の非行を歯止め出来ない、その為にはPTAの役員ばかりでなく会員の皆様の御協力が絶対不可欠であるという事でした。
 コース別ゼミナールでは広報活動に参加し、『北陵だより』を皆様に楽しんで見ていただけるよう、勉強させていただきました。

編集後記
 太陽がまぶしい季節となりました。
 今年度の第1号の北陵だよりをお届けいたします。皆様に少しでも楽しく読んでいただけるようにと、係一同ない知恵をしぼ精一杯の編集をしましたが如何でしたでしょうか。
▼此の度、全道高P連大会において我校の前PTA会長大宮富雄氏が数々の業績に対して表彰を受けられました。長い間、本当に御苦労様でした。
▼編集にあたり御指導、御協力頂きました諸先生、お忙しい中原稿をお寄せ下さいました皆様ありがとうございました