北陵だより第36号/昭和58年7月20日発行


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歴史と伝統を大切に
PTA会長

 北陵高校も、開校以来11年の歳月を経て立派な伝統を築き上げて参りました。自立、敬愛、進取という校訓のもと先生と生徒の努力も実り、今や進学面でも世間から大きな期待が寄せられる等喜ばしい限りです。この様な発展の歴史には、先生、生徒そして父母との強いきずながあったからだと考えます。しかし、これからの積み上げが大切です。この様な時期に、PTA会長の大役をお引き受けすることになりましたが、今日までの活動や先生方のご苦労を知る時、身の引きしまる思いです。PTAについては無知な私でございますが、先輩役員の皆さんや先生方のお力添えをいただき努力したい所存です。歴代役員の皆さんが築かれた伝統を大切にし乍ら、父母と先生のコミュニケーションを通じ、お互いに啓発し合いたいものと考えます。そうして、生徒達の教育環境の整備に少しでもお役にたてられればと念じている次第です。高P連研修や開放講座等の学習活動、広報活動を通じ多くの会員の皆さんが積極的にPTA活動にご参加下さいますようお願いを申し上げご挨拶といたします。

北陵高校の現況と講演会
後援会長

 このたび後援会長を仰せつかりましたので皆様に一言ご挨拶を申し上げます。
 明るい校風の維持とクラブ活動等の指導に努力されています校長先生をはじめとする教頭先生、諸先生、事務職員の方々に対して厚く御礼申し上げます。
 北陵高校創立以来12年、新たな時代の中で歩みつつありますが、全道高校の中においても着実にその地位を築きつつありますことはまことに御同慶に堪えません。
 先日もPTA、後援会合同の総会が行われ、学校側からの発表の中で同校が大学への進学、体育活動においても優秀な成績を納められているとのお話を伺い、優れた指導力に感謝の意を表する次第であります。後援会としては、昨今の社会情勢の中で同校が明るい校風を維持していくには環境浄化の促進と施設の整備に努力する事が最良の方法と存じますので、会員各位の御協力をお願い申し上げます。
 最後に北陵高校の発展と皆様のご健勝とご活躍を祈ります。

ゆりの木
保護者

 朝6時、枕元の目覚し時計がいつもの起床時間を告げている。
 6〜7年前の我家であれば、野球に夢中であった長男と次男(北陵3年)を引きつれてグランドで一汗流していた時間である。
 が、しかし現在の我家はどの部屋からも物音一つ聞こえない。
 妻が最初に床を抜け出し朝食の仕度に取りかかる、一家全員5人の弁当を作る準備である。
 これも大変な仕事らしい。
 朝食の香りが台所から各部屋に流れ出してもまだ子ども達に起き出す気配は感じられない。
 7時20分、いつもの通り親が我慢の限界を越え、子ども達に大声で「7時半を過ぎているぞ」と呼びかける。
 反応は「分かっている」の声。
 しかし誰も起きて来ない。
 それから10分、ようやく子ども3人が前後して起きて来る、たちまちトイレと洗面所の奪いあいである。
 朝は十分に余裕を持って出かける様教えて来たつもりであるが、子ども達が成長するにつれてこの教えは影が薄れてしまった感がある。
 一家5人のうち3人が自転車通勤、通学である。
 今度は無事学校に着くのか、又無事に一家の顔合わせが出来るのか心配が頭の片隅をよぎる。
 勉強が出来るにこした事はないが今は一家全員が無事に、健康で毎日を過ごし、子ども達が真面目に学校を卒業し、他人に迷惑をかけない、思いやりのある社会人になることを祈らずにはいられない毎日である。


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高P連全道大会に出席して
―60年全国大会は札幌で

校長

 今年度の高P連全道総会・大会は6月22日、23日の両日札幌市教育文化会館を会場として行われました。本校からはPTA会長、後援会長と私の3人が出席いたしましたが、初日は丁度、甲子園につながる夏の野球の支部大会(45チーム、3球場)が行われるのと重なり、本校が当番校のこととて麻生球場での開会式、始球式をすませたのち、実は本校が第2試合に出場するので後ろ髪を引かれる思いのまま高P連大会に出席致しました。
 今大会は全道各地よりの出席者総数975名、その様子はいずれ機会を見て両会長さんからお話があろうと思いますが、私ども3人休憩時間などに顔を合わせてはそれぞれの分科会の熱気の溢れた様子を話し合い、来年は小樽で開催されるので、本校からは役員に限らず一般会員も多数参加するようにしたいものだと話し合いました。
 私の所属した分科会は、「校外指導と地域活動」でしたが、野幌高校からは学区改正による通学生の変化に応じ、PTA活動をより活発にするために「PTA組織の再編成」、士別商業高校からは父兄のボランティア活動として「子どもの健全な発達をはかるための学校と家庭の連繋―校外巡視活動を中心として」、羽幌高校からは道教委指定校となったのを機会に父兄と生徒が一緒になっての学習会、公共施設の清掃、交通安全事業等を中心とした「在学青少年の健全育成事業について」の提言がありました。
 それらの提言を巡って参加者から活発な質疑・意見が述べられ、さらに喫煙、男女交際、バイクの免許、女子の車同乗、親の姿勢に逃げはないか等々、今後ますます学校と父母との提携を深めねばならないと感じた次第でした。

進学事情あれこれ(1)
昔と今

進路指導部長

 近年の進学事情が、父母の皆さんの高校時代と一変していることを懇談会の折など申し上げております。この変化の原因としては全国的な進学率の向上と、北海道の場合の特殊事情として札幌圏の人口急増があげられます。進学率については次の表のような推移が見られます。中学から高校への進学率の向上は、18歳人口の減少にかかわらず高校卒業生数140万人をもたらしました。更に大学・短大への志望者は2.7倍となり40万人の増加となりました。これに伴い大学、短大の新設、学科増、定員増があり一応の受け皿つくりは出来ております。この結果、父母の皆さんの高校時代にあまり人気がなかった大学も、今では堂々とした中堅大学にのし上がっているのです。
 特に関東、関西の私立大にこの傾向が強くみられ、北海道にも名が知られているものは中堅以上のものとなっております。
 次に札幌圏での人口急増ですが父母の皆さんの時代、例えば昭和30年度をみると石狩管内の公立の全日制普通科高校は7校(東西南北月寒千歳江別)しかなく、卒業生は2,000名程度であったものが、その後多くの高校が新設され来春は28校12,000名余の卒業生を出すことになります。更に今春新設された7校のことを考えると現1年生の卒業時には大変なことになります。この間、札幌圏に大学・短大等の新設、学科増、定員増はありましたが、この増加に見合うものではありませんでした。この結果、札幌圏のさほどの歴史をもたない私大、短大も難易度の急上昇がみられることになりました。このことには地元志向が強いことも拍車をかけております。
 次の表は最近の7年間での難易度の変化です。
 父母の皆さんのもつ既成観念では適用しないことを認識された上で、情報を集め研究し、お子さんの進路を考えて下さい。

話のひろば
わが子の高校入学に思う

保護者

 今年3月、中学校の卒業式の時は、ぐーんと大人っぽく成長したなと感激させられた同じ息子が、4月高校の入学式の日は、えらく子供っぽく幼げに見えたものです。
 同じものでも、置かれる場によって映る目が違ってしまうのですね。子育てもここまでくれば一安心、ふうっと長いため息がつける時期ではないでしょうか。といっても、不安の要素が多い世の中、「おわり」の字幕は簡単に下りないものですね。
 先日、初めての父母懇談会に出席させていただきまして意外に思った事に、同じ北学区内といっても広域に分布され、ずいぶん遠くから通学されておられる生徒の多いのにおどろきました。夏場は、自転車でもあるし、それ程苦にならないでしょうが、冬、屯田ブリザードと呼ばれる吹雪の時は、大変ですね。それもひとつの試練とうけとめるならメリットのある事ですが、道教委が遠距離通学の緩和と地域の高校を育てるという改革案も受験生の学校選択の自由に押し流されているのだろうか。
 内申書や偏差値によって志望校より受験校に機械的に決められているようでは、地域の学校という事は、遠くへおしやられてしまいます。何人公立へ割り振ったか、中でも有名校に何人送りこんだかで中学校の格が決まるなど得心のいかぬ事です。むしろ、ユニークな学習方法を実践している、スポーツや芸術面に力が注がれている、校内暴力ではひけを取らない等で格差をつけてほしいものです。
 輪切りにされて送り込まれた高校は、どうしてもランクづけにならざるをえないでしょうに……これでは、高校のランクを上げるために教師陣が必要以上の努力をしなくてはならないし、高校生も自分の進路をより正確に決めるためのより道(例えば、部活、趣味を深める等)の時間を失ってしまうのではないでしょうか。
 北陵生が他校の生徒と比べてどうも才能がありながら、もえ方がいまいち足りないと評されるのも善意に解釈すれば「いつでも一流校の仲間入りができますよ」ということでしょうが、今、私達親が望むのは、近くの住み良い土地に孫子の代まで学んで良かったと思う学校ができる事です。通学時間にゆとりのある近隣の中学生が最優先に入れて、学習はもちろん部活も趣味も、家族の一員としての役割も全て果たせる時をもたせるべきです。そのためには、地域小・中学校にも大いに奮起して、授業の落ちこぼれなど一人たりとも作らないようにしてもらわなければなりませんが。
 すぐに、変えよは無理な事ですから、今の北陵生が良い先輩として足跡を残す、そのためには、毎日、めりはりのある生活習慣が、子供につくように、親自身も、真剣に気くばりをしていくことですね。自戒をこめて書きつらねましたが、反論ある方は次号で聴かせて。


[北陵だより第36号 5ページ]

文芸(俳句)
多摩
 耕しの骨から先に睡くなる

爽秋
 贈られしスニーカーリラの風にのる

莞二
 マタニティ暑き街角堂々と

満彩
 幾歳の慕情の春や異国孤児

冬果
 青き踏む小さき靴のあと辿り

則子
 山鳩のふくみ鳴きする青嵐

きよ
 余生なお急ぐことなし花に酌む

秋城
 銭袋揺りて老婆苗を売る

嬉美
 大声で苗札をよむ一年生

つるの
 伊豆七島一筋に澄み汽笛鳴る

延齢草
 オホーツクの春車座に毛蟹食う

翠春
 やん衆のはずむ荒声初鰊

きく
 芍薬のまろきつぼみや夕ひかり

信子
 分譲地たんぽぽ明かるどこまでも

睦月
 履き替えし草鞋にかかる滝しぶき

一翠
 揚雲雀天の一点ふるへをり


[北陵だより第36号 6ページ]


スクールライフ
高体連全道大会で活躍

柔道部
3年生男子

 相手を宙に浮かせ投げた瞬間の素晴らしさが忘れられず、今迄続けて来た。此の度の高体連全道大会3位入賞は、男としての勲章であった。小学校から高校まで、先生先輩に扱かれながら稽古をして来た成果なのである。苦しくとも逃げる事なく、自分の前に立ちはだかる壁に挑戦し、その一つ一つを乗り越えて来た事の満足感と入賞の感激は、私の人生の中で大きな意味を持つ事でしょう。来る国体道大会では優勝するべく心技体共にベストを保ち高校生活の最後のチャンスに花を添えたい。

陸上部
3年生男子

 6月24日から3日間にわたり行われた今年の全道大会は、男子2名、女子1名の計3名のみの出場でした。出場者数が少なかったためか、結果は、みな予選落ち又は、準決勝落ちというみじめな結果で帰って来ました。
 今回の帯広は、気温約10℃で、2日目は雨という悪天候で、全国大会行きが期待された黒田も初めての雨の大会ということで失敗したようで、来年はかならず全国へ行くと言っております。
 僕と呉さんは、最後の大会でしたが悔いは残りませんでした。<

空手同好会
3年生男子

 高体連主催の大会としては第1回の記念すべき北海道高等学校空手道選手権大会、団体組手において4位という、我々としては満足のゆく成績を収めることができた。
 1回戦は去年の全道空手道選手権大会で負けている強豪札工との因縁の対決となったが圧勝し、これで波に乗り2、3回戦も勝ち準決勝進出を果たした。その後の2試合(準決勝、3・4位決定戦)は敗れたものの、闘う中で“後ろへ下がっちゃいけない。相手に気合い負けせずに前へ出ること”を学んだ。これはこれからのあらゆることの教訓となるに違いない。

軟庭部
3年生女子

 3位、4位決定戦で負けたとき、もうほんのあと一歩だった全道が急に遠ざかって、また手の届かないものになってしまった。くやしかった。ほんとにくやしかった。
 でも、今になって考えてみると、私達がほんとに気をひきしめて練習したのは高体連の1ヶ月前からだった。もっと前から、もっと真剣にやってれば良かったという後悔が今でも心に残っている。でも、この4位という成績は無駄にはならないと思う。きっと1、2年生が私達の惜敗を心にきざみ、この成績をきっかけに、必ず全道に行ってくれるだろう。


宿泊研修を終えて
1年生女子

 私が3日間の宿泊を終えて思うことは、規則正しい生活がとても大切であるということです。いつも学校以外では、時間にルーズな私にとって、青年の家での生活ははっきり言って苦痛でした。それだけ私は今まで、多くの時間を無駄に使っていたのだと反省させられました。これからは、時間というものを見直し、計画性のある生活をしようと思います。
 2つめに思う事は、はずかしがらず大きな声で挨拶することは、より良い団体生活を作る基盤となるのではないかという事です。中学校時代にも挨拶については、先生や先輩からうるさく言われていたことですが、高校へ入ってからは出る声も、はずかしい気持ちにおさえつけられ、うつむいて通り過ぎることが多かったのですが、青年の家では会う度に挨拶をしていたので、はずかしい気持ちもなく今までよりずっと気持ちのいいものでした。しかし、私たちが挨拶をしても何も言ってくれず、にこっと笑う事さえしてくれない先生がいるのには驚きました。今まで余り声を出せなかった私達が一生懸命努力している気持ちを理解していただきたいと思います。たった一言の挨拶で学校生活をもっと明るくしていくのは大切なことではないでしょうか。私はこの度の研修で反省ばかりしていたようですが、楽しい事もたくさんありました。青年の家の皆さん、諸先生方、ありがとうございました。

編集後記
 眩しい太陽、青い海、白い波、緑深い山々、…自然が一度に輝きを増す夏、あっという間に過ぎ去って行く束の間の夏だからこそ、子供達にとっては勉強を気にしながらも心ワクワクする季節ですね。
 本年度第1号「北陵だより」、一人でも多くの皆様に読んで頂きたいと願っておりますが、果たして出来ばえは如何でしたでしょうか。
 今年も新人を迎え、担当者一同フレッシュな気持ちで張り切っております。
 どなたでもお気軽に、ご感想やご意見などもお寄せ下さいます様、お待ちしております。
 お忙しい中ご寄稿下さいました方々、本当に有難うございました。
 この夏が素晴らしい季節であります様…。では次号をお楽しみに…。