北陵だより第39号/昭和59年7月20日発行


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ご挨拶にかえて
校長

 4月の人事異動で前任校長の後を継ぐことになりました。創立の基礎づくりが一段落し、これから充実発展に向けて大きく前進していこうという時期に就任しましたことを、たいへん光栄に思うとともに、責任の重さを痛感いたしております。
 父母の皆さま方には、常日ごろ何かとご協力をいただいておりますが、今後ともよろしくご支援くださるようお願い申しあげます。
 言うまでもなく、教育は「人格の完成」を目指し、「心身ともに健康な国民の育成」を期して行うものでありますが、生徒は高卒後の関門を自らの力で突破しなければなりません。したがって、教育本来の目的を損なうことなく、その実力を養っていくことが大切だと考えています。そのためには、
1.頭を鍛えること
 いかに素質に恵まれていても、鍛えることを怠っては真価を発揮することができません。中学まではいわゆる「できる子ども」は、さほど勉強しなくとも良い成績をとることができました。しかし、高校ではそうはいきません。努力による格差が決定的であることは、入学時と卒業時の成績の違いが雄弁に物語っています。
 教育本来のねらいから言えば、知識を無差別に詰め込むのではなく、基礎的基本的事項を確実に理解し、応用・創造の能力を養うことや、自ら考え正しい判断をさせるようになることが大切であります。
2.体を鍛えること
 青白い秀才では社会に出て大きな働きをすることができません。長い人生を幸せに暮らすためにも健康が第一です。
 本校では登山・水泳・マラソン等体力づくりの行事がたくさんあります。部活動も大いに奨励したいと思います。生徒は若くエネルギーがあふれています。勉学と部活動を両立させるだけの気力と体力を養っていきたいものです。
3.心を鍛えること
 4月早々、金銭盗難事故が数回ありました。玄関のガラスを破損しましたが名乗り出てくる者はいませんでした。心の教育に手抜かりはなかったでしょうか。
 物を盗んだり、人を欺いたりするような人間に育てたのでは、いかに進学の成績が上がったとしても教育は失敗です。知的にすぐれているからといって、人間が立派だということにはなりません。思いやりのある人間、正義を重んずる人間、世のため人のために尽くすことのできる人間を育てたいと思っています。

ゆりの木
保護者

 高校生活を楽しんでいますか。私たち4人家族のくらしも、そろそろ解体のときを迎えるか、という予感が本物になって三月余り。核家族の核分裂が始まったというべきでしょう。
 15歳で(物理的には)親離れの生活が早いのか、遅いのか分かりません。が、親のいない快適さと不便さがないまぜにあるだろうということは分かります。まあ、親というのはそれ以上でも、それ以下でもないと思って安心してください。
 親子とか、家族とかに対する煮詰まったみたいな思い込みは、いずれにしてもしんどいもの。
 子どものいない家庭を家族とは認め難いようなところがあって、しかも、家族は家族となった時からすでに解体すべきものを孕んでいるという図式も面白い。
 あまたの生きものたちは子に餌を与えると同時に生きるために文化(あえて文化と言う)もまた渡し続けるわけだけど、生きものであるヒトはどうなんだろう。もっと正直に、私はお前たちにどんな文化を手渡してきたのだと、ひるがえって考えれば、うなだれる気分。15年の時間は十分すぎた筈でしょう。母親のエゴさも、ウソもホントをも見抜くための時間としては。
 だから、きれいごとは止めにするけど、その眼で今度はしっかりと自分自身を見つめてごらん。そこにお前はどんな自分を見つけたいのだろう。ヒトはとめどなく自分にはなれる。深く深く自分に出会うことはできる。そういう現在(いま)が始まったとは思えないだろうか。


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全道高P連大会に参加して
後援会会長

 第34回道高P連の総会が6月21日、22日、小樽市民会館他で行われ、道内各地より1,000余名、北陵高校からも校長先生以下計6名が参加し、第1、2、3の部会に出席しました。
 大会は「21世紀を担う青少年の健全育成を目指して」という主題で4部会に分けて行われた。
 次代を担う健全な青少年の育成を行うには、私達父母はどのようなことを行い、努力したら良いのか、それは家庭教育の責任の自覚と、環境の浄化ということが基本になると思います。
 私が出席しました、第3部会「校外指導と地域活動」は青少年の健全育成の一環として旭川商業高校では高校生が地域社会に、どのようにとけ込み社会生活の役割をどう果たしていったらよいのか、を問題点として生徒と父母が主体になり、老人ホームでの手伝い、老人との対話、環境浄化活動としては公共の場の清掃、等を行っています。
 次に青少年を非行から守る運動として、後志の岩内高校では父母が青少年に対し声かけ運動を行い交流を深め成果を上げています。
 前述のように生徒が奉仕活動に参加する場合はどこまで参加したらよいか、学校の置かれている諸条件によって変わると思います。念のため実業高校であることをお含みの上ご判断下さい。
 今大会では特別講演に特命全権大使(7月付でフィンランド大使)高橋正太郎先生をお迎えし「外国から見た日本」という演題でお話をして戴き、皆様もご存知のように先生は外交政策にも精通し、本道とのかかわりも深く道民のためにも努力されてきました。講演は主に中近東諸国が我が国をどのような目で見、期待しているか、エネルギー問題、複雑な人種、宗教、これらの諸問題からくる政情不安な国々を相手に資源のない我が国は次代を担う青少年の育成がいかに大切か痛感しました。
 最後の校長先生、諸先生の日頃の熱意に感謝の意を表すと共に、会員各位の御活躍を祈ります。

公開講座始まる
 昭和59年度の公開講座は、その講座内容も決まり、早いところではこの7月から開講される運びとなった。
 本校開校5周年(昭和51年)の記念行事の一環として発意され、実施に移されたものだが、受講者と講師の熱意により、第9回を数えるに至った。
 第4回から、この公開講座はPTA独自の研修事業となり、主催を「札幌北陵高等学校PTA公開講座実行委員会」とし、委員長をPTA役員にお願いして、継続実施している。
 第1回は4講座、延受講者331名であり、昨年度の第8回では9講座、延受講者 1,067名となっており、8歳のめざましい進展拡充の経緯がうかがわれる。
 初期において、マスコミ等に取りあげられ、世間から高く評価されたと聞くが、自身を磨く意味で「公開講座」そのものを愈々、深化充実させなければならない。PTA・地域住民の研修の場として、連携の場として発展的に機能する公開講座でありつづけるよう、吟味点検しながら、度量をもって育てていかなければなるまい。
 今年度は、9講座の開講が決められている。バス巡検による札幌の街を見ようと小樽・余市を見ようの2講座。俳句入門、源氏を知る会、合唱、書道入門、現代っ子気質、弓道、体育(バドミントン、卓球)の7講座。弓道は7月の開講、札幌の街を見ようは、8月中旬実施、ほかは9月以降の開講となっている。
 その他詳細については、公開講座開設の案内(受講申込書付)に載っているので、それに従って奮って参加申込みいただきたい。問い合わせ先、本校。

話のひろば
自然に学ぶ心を!

1学年委員長

 今年は、例年になく春の訪れが遅かった。何でも、北海道で本格的な気象観測が始まって以来の記録らしい。当然のことながら、桜の開花も遅れ、花抜きの寂しいゴールデンウィークとなってしまった。
 花や鳥によって季節を知るのは、古くからの人間の智恵である。5月初旬には、札幌にもカッコウが渡って来る。一番鳥の声を聞いて種を播くお百姓さんもいるらしい。
 毎年、雪解けの頃、小樽行きの列車に揺られていると、手稲を過ぎた辺りから、純白の帯が目に飛び込んでくる。春の訪れを告げる水芭蕉の群落である。山側の斜面には、早々とフキノトウが顔をのぞかせている。味噌汁に浮かべた時の、あのホロ苦い味と香りを、今の若い人達は多分知らないだろう。季節感や自然と触れ合う機会が、若い層を中心に失われてきていることは悲しい。
 緑が少なくなったとはいえ、札幌は多くの自然に恵まれている。住宅街を一歩離れると、都会の雑踏や煩わしさを忘れさせてくれる別世界が広がっている。
 世を上げて、森林浴やバードウォッチングがブームで、自然に親しもうという動きがあるが、中高年層が中心である。多感な中高校生にこそ、積極的な参加が欲しい。
 世の中は確かに便利になったが、全てが合理的になりすぎ、人間らしさが失われつつある。食べ物にしても、ハンバーガーやフライドチキンに慣れてしまった若い人の味覚には季節感などは不要だろう。
 生活自体も、全てが受動的になってきている。テレビ、ラジオ、印刷物など情報過多の時代では、自分の部屋から外へ出ることなしに十分時間を過ごすことができる。パソコンと対話する子供達が増える。この傾向が続けば、益々対話が失われて行くことは明白である。
 山を歩いていると、すれ違う人達は、ほとんどが40代、50代である。誰もが「こんにちは」と声を掛け合ってすれ違う。誰が決めたわけでもない、山でのルールである。
 高校生らしい3人連れとすれ違う。挨拶なし。その上、100m先からでも聞こえそうな音量でカセットを鳴らしている。熊よけにはなるだろうが、静けさを求めに来ている人にとっては迷惑な話である。彼らにとっては、山の中も都会の延長であり、自分の部屋の延長なのだろう。
 日本人は繊細な感覚を持ち、これが日本独特の文化を造り上げてきた。勿論、その多くは四季の移り変わりなど、自然の変化に学んでいる。花や鳥の名を知る必要はない。しかし、少なくとも偉大な教育者たる自然と積極的に触れ合い、感動する心を今の子供達に求めたいと、切に思う。


[北陵だより第39号 3ページ]

昭和59年度 PTA会計収支予算書
 この項目は掲載いたしません。

昭和59年度 後援会会計収支予算書
 この項目は掲載いたしません。


[北陵だより第39号 4ページ]

昭和59年度 役員名簿
 この項目は掲載いたしません。


[北陵だより第39号 5ページ]

「北陵に」
教頭

 清澄な空気、広々とした美しい環境のもとで、教職員の教育に捧げる情熱、また、明るく生き生きと、力強く成長せんとする生徒諸君に接し、本当に良い学校に赴任させていただいたと、心から喜んでおります。
 北陵高校は新設12年の歴史に支えられ恵まれた教育活動によって発展して参りました。
 しかし、時の流れは社会情勢を大きく動かし、入学してくる生徒も変化を見せ、地域の評価も揺れ動いております。北陵は今、大きな転機、曲がり角に立たされております。これに対応し、乗り切る学校作りが要求されているのだと考えます。
 現在、本校では新生北陵の誕生への取り組みが始まっております。実態の正しい分析と、謙虚な反省に基づく改善への方策の検討や、一つの教育目標に積極的に取り組む全校の協力一致態勢作りがスタートしました。すべて北陵を思い生徒のことを真剣に考え、自らを厳しく見直す教師集団の実践活動は、生徒の行動面にも効果が見られ、北陵生に対する評価も徐々に回復してきております。
 本校における最大の緊急課題は生徒の学習を取り巻く心のシツケであると考えます。自主性を育てる以前の心の基盤をキチッと教えることだと信じております。基本的な生活の習慣が出来なくては何もやりとげることは出来ません。
 とくに、甘えの心は人間をダメにしてしまいます。
 本校では、生徒の可能性を信じ厳しく指導したいと考えております。この北陵の曲がり角を支えるのは現在の在校生の姿なのです。
 家庭と学校が連携を深め、生徒ひとりひとりの良き成長という、共通の目標に向かって進みたいと思います。深く、力強い協力をお願い申し上げます。

進路指導シリーズ(1)
進路指導部長

 59年入試の結果が明らかになってきました。
 旧課程最後の“あとが無い入試”ともいわれましたが、実際には、教育課程の改訂に影響されたと思われる大きな受験生の動きはなかったようです。
 全般的に、上位の者の強気の受験、中位以下の者の安定志向が顕著に表れていて、この傾向は、来年度の入試にも、引き継がれていきそうです。
 道内国立大学を例にあげると、北大については、道外からの志願者増で、受験者総数には変化がないが、道内受験生は減少しています。その他の大学では、小樽商大の英語、小論選択類の受験者増、室工大の志願者減に対して、北見工大の前年に引き続く志願者の増加、全国的傾向である教育系離れの中で、道教育大も例にもれず、各分校とも志願者が減少している点等が特徴的です。ただここで注意しなければならないのは、志願者の減った大学が入り易くなったということではない点です。道内国公立大学の難度は、一部横ばい、ほとんどが難化の傾向にあります。
 特に目立つのは、志願者の増加した北見工大の各学科、教育大釧路分校の難化です。教大釧路分校は札幌を除く他の分校とほとんど並んだと見てよいようです。従来、最も入り易いと見られていた大学の難度の上昇は、現役生にとっては、厳しい状況といえます。
 道内私大についても、各大学ともに年々、難しくなってきています。藤女子大・英文、北海学園大・法、道工大・経営・電気・土木等の難化が目につきます。短大については、北大医技短大、札医衛生短大を除いては、ほぼ安定しているようです。
 60年入試は、丙午入試、新課程による第1回の入試ということで注目されています。浪人主導の入試などともいわれていますが、反面、固有の科目(現代社会、理科I)を必須とする共通一次は現役有利と判断することもできます。とも角、厳しい入試になりそうですが、厳しければ厳しいだけに、それを突破した喜びは大きいものになるでしょう。本校11期生の健闘を期待しています。


[北陵だより第39号 6ページ]


スクールライフ
高体連・高文連 全道大会で活躍

放送局
2年生女子

 まったく予想していなかった「全国大会出場」でした。成績発表で自分の名前が呼ばれた時も自分の耳を疑ってしまった程です。
 実は、大会の3日前に風邪をひいて喉を痛めてしまい、声が出ず練習がほとんどできませんでした。不安だらけでしたが、マイクの前に座ったとき、「元気だけは精一杯出そう」と決心しました。それがよかったのかもしれません。
 上手な人の朗読を聞くと自分の欠点がはっきりと分かり、とても勉強になりました。全国大会では、自分自身で納得できる朗読をしてこようと思っています。

軟庭部
2年生女子

 高体連の全道大会に出場して、試合はベスト16・全国大会まであと一歩という残念な結果に終わりましたが、出場したということだけで私たちには、いろいろなことが経験できました。
 他の学校の試合を見ているだけで自分がうまくなっていくような気がしたし、自信もついてのびのびと試合ができたと思います。
 私たちは、恵まれていて2年生ペアなので来年また全道大会への挑戦、運よく勝ち進めれば全国大会への挑戦も可能なので、これからの毎日の練習を一生懸命やり、がんばっていきたいと思います。

硬庭部
2年生男子

 今年のインターハイ札幌大会では、僕と山下先輩が全道へ行くことになった。それから毎日練習をし、完璧な状態で全道大会へ臨んだ。大会は室蘭で行われ、最初大きな不安と期待でいっぱいでした。そして、次の日に試合が行われた。まず第1試合、樽工を6―3で破り、つづいて第2試合、深川農を6―0で破り準々決勝へ進んだ。準々決勝では、優勝候補の札幌藻岩とあたり、惜しくも6―3で敗れてしまった。しかし全道大会ベスト8と成績を残し、自分でもよくやったと思う。先輩は最後の試合でもあったのでよい思い出となったと思います。

バレー部
3年生男子

 僕達のチーム結成以来の目標であったのがこの全道大会出場でした。札幌の決勝リーグで苦しんだ末に第一高に勝った瞬間、思わず仲間と抱き合って喜んでしまった。
 札幌地区を勝ち抜き僕達は函館へと向かった。1日目は勝ったものの、2日目の試合は精神力の弱さのせいか負けてしまった。悔しかった。今でも少し悔いが残っている。しかし、仲間と一緒にボールを追い楽しく過ごせたことだけでも僕は満足である。自分が北陵男子バレー部の一員だったと胸を張って言えることが最も嬉しい。
 人生で最も大切なことは目標をめざして努力することだとバレーを通じて知りました。後輩達はこのことを肝に命じて僕達よりも一つでも多く勝ってほしいと思う。

陸上部
3年生男子

 今年度の地区大会は、今後の全道、全国への大きな足掛かりとなった。数々の種目で予選はもちろんのこと準決、決勝へ進むことができた。しかし、いまひとつ思うように力が出せず、最終的には、4名の全道行きとなった。全道では女子100m、200mで佐川が惜しくも準決落ち、来年に期待される。男子走高跳では、藤原、山口が期待されたが、体の故障などもあり残念な結果に終わった。棒高跳ではかろうじて僕が全国へとなった。
 来年は、当番校でもあり、1・2年生の練習にもいっそう熱が入るだろう。今後の活躍を期待することしきりである。
(3年生男子)

宿泊研修を終えて
 特に印象深かったのは野外散策の時に見た大雪山の山脈、川の水のとてもきれいだったことです。その日は太陽が照りつけて、4月にふさわしくあたたかい日。青年の家から外に出ると、外気は澄んでいて春を一杯吸う。足を進めると急に真白な山が目にとび込み、思わずいいようのない気分。バスの中からの山も良かったが、間近で見る山の方が迫力があってみごたえがあった。その時は晴れていておだやかだったけれど、一転して吹雪になると人間などすぐのみこんでしまうのだろう。とその変化のすさまじさ、自然のすごみをつくづく感じてしまいました。あまり自然に親しむ機会のない私なのに、青年の家を訪れたのは2度目、宿泊研修の良さ、意義を時間が過ぎるほどに感じることが一つ二つ増えていきます。

編集後記
▼本年度第1号の「北陵だより」をお届けいたします。
▼今までは何に気なしに読んでおりました「北陵だより」も、実際に編集に携わってみますと、沢山の人達のご協力がなければ、とても成り立っていかぬものだと痛切に感じた次第です。
▼本号を発行するにあたり、ご寄稿いただきました、諸先生並びに会員の皆様に、あらためて御礼を申し上げます。
▼不馴れな委員の編集ですが、精いっぱい頑張ったつもりでございます。如何でしたでしょうか。次号もまた一生懸命に頑張りますので、本号に引続き会員各位のご協力をあらためてお願いいたします。
(編集委員)