北陵だより第56号/平成2年3月10日発行


[北陵だより第56号 1ページ]


卒業によせて
3学年委員長

 「光陰矢の如し」と申しますが早いもので小・中・高校と12年間の学校教育を終えて巣立つ皆様、ご卒業おめでとうございます。
 あと10年後に訪れる21世紀は「こころの時代」と言われています。新聞などを見ますと、人も国も色々な枠がはずされ、大きな変革の波にゆれていますが、このような時こそ「自分の心」をしっかり持たねばならぬと思います。
 人の流れも交通の流れも、流れにそっていかないと事故になりますので、自然に流れることが一番良いように思われます。
 でも、忘れてならないのは、流されることと、流れることは違うということです。どうか、自分の意志の入った「流れる」ほうを選んでほしいと思います。
 最後に、親の気持ちでつらつら書いた詩を、贈ることばといたします。

 いま込みあげる 喜びの中に
 あの……生き生きとした声が
 その……たくましくなった姿が
 貴女はあなたの ままでいい
 素直なこころで かざらずに
 そんなあなたを 望みます
 幾度かの 春を迎え
 幾つもの 思い出を綴り
 希望の世界へ 飛び立つ貴女に
 母からそっと 贈ります
 それは すがすがしい健康と
 自分を愛するこころを

大事な目標への挑戦
3年生女子

 今、改めて振り返ってみると、私にとって3年間という高校生活は、とても短く感じられます。念願の北陵高校へ入学することができ、喜びの中にも不安な気持ちが多く、一日一日が新しく感じられました。緊張が薄れるにつれ、生活にも慣れ、ゆとりができました。部活動にも参加することができ、数多くの経験をすることができました。
 3年間を通して続けてきた部活動では、楽しさや苦しさ、勝つことの喜び、そして人間関係の難しさを知り、忘れることのできない経験をしました。これらの敬虔は、これから何かの面できっと役に立つことと思います。
 また、この3年間を目標を持って充実した生活をすることができ、多くの先生からの指導により3年間の目標を達成することができたことにも満足しています。私達にとって、何かの目標を持ち、それに向かって進むことは大切なことだと思いますし、目標を達成することができた時の喜びは、一層、大きなものになると思います。
 これから進学し、そして社会人となるまでには良いこともあるでしょうし、これまで以上の困難や苦しみもあるでしょう。これを乗り越えるためにも、北陵高校での経験を生かしてゆきたいと思っています。
 最後に、私達を助け、導いてくださいました先生方、これからも何かとお世話になることと思いますが、3年間、本当にありがとうございました。


[北陵だより第56号 2ページ]


卒業おめでとう
励ましのおことばを寄せていただきました

・人生の中では、踏んでゆきたい「学び」の過程が幾つかあるのでしょうが、そのひとつ「高校」を終えたことに喜びの心を送ります。これから進むそれぞれの道に、まだまだ学ぶ課題がたくさんあることを考えて、自らを謙虚に保ちながら、その大事な「学び」の心を持ち続けていってください。
 智と心が大きく成長することを祈っております。
(1組担任)

・この3年間で、どんな本物をつかんだか自問自答して欲しい。一生懸命にやったことは、結果が失敗に終わっても自分に残るものが強い。中途半端で終えるのは、一番悔いが残る。
 社会に出たら是非、他人から仕事を任せられるような人になって欲しい。信頼されるということが、どれほど、何か成し遂げようとする時の励みとなることか。
(2組担任)

・卒業おめでとう!
 私は卒業式が好きだ。それは参列している生徒の表情に昨日までの屁理屈で自分の意見を正当化しようとしていた憎らしい姿とは違った「素直な、穏やかだが、自分の力で生きて行くんだ」という決意が顔一杯に感じられるからだ。
 このいい顔が君達の本当の姿だ。この顔でこれから頑張ろう!
(3組担任)

・卒業おめでとう。3年間いろいろな事がありましたが、いつまでも笑顔を忘れずに頑張って下さい。人生には、思い通りにならないことや行き詰まることが必ずあります。そんな時でも頑張っていれば必ず道が開けてくると信じています。「意志あるところ道あり」「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」
(4組担任)

・卒業おめでとう。
 人生にとっての小さな節目を迎え、君達の過ごした3年間は、毎日の積み重ねで築いたものであったと気付きましたか? どんなに若くても、年をとっても、一度に大きくは、飛び出すことはできないものです。
 毎日を大切に、確実に積み上げて自分の夢につなげてゆきましょう。
(5組担任)

・卒業おめでとう。クラス開きに紹介した言葉をもう一度原文で紹介し、贈る言葉とします。
 O God, give us serenity to accept what cannot be chenged, courage to change what should be changed, and wisdom to distinguish the one from the other.
 幸せで有意義な人生を送ることができますように祈ります。
(6組担任)

・卒業おめでとう。卒業といっても、まだ「学ぶ」ことから卒業はできません。これからも学ぶことがたくさんあります。いろんなことに興味をもって貪欲に吸収してください。それが雑多なものであっても、意識的に吸収したものは、必ず役立つはずです。人生を卒業したわけではありません。
 積極的に学んで人生を考えましょう。
(7組担任)

・卒業おめでとう。これからも思いやりのある温かい心の持ち主になって下さい。きっとすばらしい友人に恵まれ、まわりの人々の人生を明るく幸せにすると同時に自らも人生の大切な宝をもつことができるでしょう。
 また、常に次の問いかけを忘れずに、「これでいいのか、おまえ」と。健康に留意し、大地の土となれ!
(8組担任)

・卒業おめでとう。
 さて、皆さんは、中学の時と違い最初の進路選択をしたことになりましたね。自分の考えていた方向、ただなんとなく、不本意な進路、いろいろあると思いますが、最後は、自分自身であり、これからまだまだ多くのことを決定していかなければなりません。
 自分を磨いてより一層、頑張って下さい。
(9組担任)

・16期生と出会い、その3年間を私は大切に一生懸命歩んできたと思っている。君達の3年間も変化に富みながら、過ぎてきた貴重な日々であったと思っている。わけても仲間との出会いは貴重なものであったにちがいない。
 これからは、この仲間と生活を共にすることはあるまい。すばらしい仲間でした。
 一期一会 おめでとう。


[北陵だより第56号 3ページ]

話のひろば
受身型人間

1学年保護者

 最近の若い者は……この言葉は中年以降の固有の言葉であり、また、いつの時代にも世代のギャップはあってあたりまえなのでしょうが、「新人類」と形容される人達が新しいスタイルの人間として話題になったことは記憶に新しいところです。「新人類」は言葉を変えると「受身型人間」と言えそうであり、家庭生活に目を向けてみますと、釜炊きは電気炊飯器に変わり、盥の洗濯も今や全自動型洗濯機にまで進歩し、テレビはリモコンが普通となり、さらには、ピザ等の軽食は場所によっては電話1本で、しかも24時間配達されるご時世となってきたのです。
 このような進化した、しかも組み立てられた生活に慣らされると必然的に「受身型人間」になるのでありましょう。
 釜とガスと水と米があっても飯を炊けない若い人たちがいたり、意欲というものを持たない人々も増えていると聞きますし、たしかに職場においては、指示された仕事はそれなりに熟達することができるのですが、次の仕事を与えられるまではじっと待っているようで、要するに周囲がお膳立てをしなければならないようです。
 ある企業での実話を紹介しますと、若いアルバイトの女性が長期に渡り実によく働き、しかも大変気がきくことに経営者が好感をもち、正社員として登用したい旨申し出たところ、あっさり断られ、あげくの果てにアルバイトさえも辞めていき、経営者は溜め息をつくだけであったのです。
 ある小売店に4月、高校卒業の社会人1年生のA子さんが入社してきたのですが、その小売店は取扱い商品の性格上、先輩はほとんど男性であり、さらには年齢差もあり、言うまでもなく一人孤立した状態でぼんやりとすごす日が多くなって、周囲の人も、日増しに覇気がなくなっていくA子さんに、ただ頑張ってほしいと祈るような気持ちであったのです。ある日、手話を必要とするお客さんが来店しました。その店ではA子さんしか手話ができませんでしたので、勿論A子さんが手話で対応しました。そのお客さんは十分に満足して店を後にしていったのです。その日以来、A子さんは心に太陽の光を存分に受けて満ち足りた仕事ぶりに変身し、周囲も安心してA子さんを一人前の人間として扱えるようになったものであり、A子さんにとっては、身につけていた手話で自分自身の存在を強烈にアピールすることができたのでした。
 現代子は集団で自分を保っているところがあり、集団の中で皆が何かを持っていると、必要であるかないかに関わらず自分もほしがり、持っていないと仲間はずれにされるような考え方が存在し、ほんとうの自分を表現することが少なく、集団の中で、しかも集団で自分の存在を保っているようです。
 個人個人がもっと力強く自分自身を表現したいものです。

可能性を培う学校の世界
4期生

 私は北陵高校の第4回卒業生です。現在小学校の教師をしていますが、私が教職の道を選んだのは、子供がたいへん好きだったということはもちろんですが、北陵高校で過ごした3年間があればこそと言う事ができると思います。それというのも、私が北陵高校に入学した当初は、教師になろうとは思っていなかったからです。高校生活を送った3年間のうちに、私の進路は教師へと変わっていきました。なにがそうさせたのか、それは今でもよく分かりませんが、その当時に北陵高校に満ちあふれていたフロンティア精神が影響を与えた、ということだけは確かなようです。
 私は、高校での3年間を生徒会活動に打ち込みました。生徒会に関わるきっかけとなったのは、北陵祭の実行委員会です。今でも懐かしく思い出しますが、高校1年生の時の北陵祭は、新校舎での最初の文化祭ということで、実行委員をはじめとして全校が一丸となって取り組みました。装飾一つをとってみても玄関の窓をステンドグラスで飾り、屋根にはテーマ看板を掲げ、1階の廊下には立体ブロックでできた『北陵祭』の文字をつけるなど、時間不足で不可能と思われることを実行委員の協力で次々と実行していったのです。当然時間が足りず、放課後遅くまで残って準備をしました。
 今だから言えますが、夜中の3時頃に来てペンキを塗ったということもあったのです。今ではとてもそんあことはできないようになってしまいましたが、当時は、一生懸命やっているならそれを認めて援助していこうという、先生方の暖かいご配慮がありました。共に北陵高校を創っていこうという、フロンティア精神がありました。それが、私を教職の道へと向かわせたものだったのかもしれません。
 高校時代は、自分の進む道を探していく大切な時です。私の母校、北陵高校がこれからも多くの後輩に夢を与え続けてくれることを望んでやみません。
(昭和52年度卒 小学校教諭)


[北陵だより第56号 4ページ]

ゆりのき
星空と氷河の山々を巡る山旅

教職員

 もともとロマンチストの私にとって、メルヘンの世界をさまよい歩くような今回の山旅は実に心楽しい思い出になった。
 ヒマラヤ3回目の今回は、晴天にも恵まれ、ヒマラヤの大山脈を横断してチベット国境近くまで行くことができたが、一日一日が尽きない思い出に満ちている。
 まず星空が何といっても素晴らしい。黒々とした谷の上や、蒼く浮き上がった氷河の山々の上に広がる星空は見事で、夜中に何度も起き出しては星空を眺め、満足しては眠りについたものだ。大晦日は、タトパニという部落にいたが、その夜もすごい星空で、くびれた空に、オリオンが中天にかかり、無数に敷き詰められた星の一つ一つがシリウスに劣らない位輝いていた。星を眺めていると心が満ち足りるとともに敬虔になる。カントの「わが内なる道徳律と外なる星空」は案外、こんなところに由来するのではなかろうか。
 また、白い氷河の山々が美しいルートだった。8000m以上の山は世界で10数座しかないが、この8000m前後の山々が入れ代り、立ち代り現れるのである。国境近くのお口ではニルギリ北峰(7661m)がその南壁を白い衝立のように輝かしているし、ラムジュンまで下ってくると、6817mのダウラギリエ峰が人喰い山の異名どおり、ビカビカの氷の鎧をまとって迫ってくる。さらに下ってくると、これまた8000mを越すアンナプルナエ峰が貫禄を見せている。酸素が薄いし寒さも厳しくて大変だが、星空と氷河の山々を巡る山旅は素晴らしいの一言につきる。カメラが壊れてしまったので、体力の続く限りスケッチをして4冊もスケッチブックをつぶしてしまった。


高文連に活躍
全国大会への目標をめざして
放送局

 みなさん、こんにちは。北陵高校放送局です。
 私達は、全校生徒のみなさんが楽しめる放送をしようと日夜努力しています。とは言うものの、学校放送の方はあまりパッとしないのが現状です。
 ですが、別に遊んでいるわけではありません。第28回高文連放送コンテスト石狩地区大会において、アナウンス部門3位、朗読部門3位に入賞という輝かしい成績をおさめました。
 毎日遅くまで残り、当番校の仕事と平常活動、自分達の応募番組へのとりくみと目のまわる忙しさでしたが、それも高校生活という中では、良い思い出として残っています。
 これからは、従来の仕事の他に、学校全体のためになるような新しい仕事をどんどん自主的に見つけ、やっていきたいと思っています。
 そしてもちろん目指すのは、全国大会です。目標を高く持って頑張ります。

実現された往復の通学バス路線
 石狩地区からの通学生がこのところ毎年増加している実情から、一昨秋、石狩町と北陵高校を結ぶ往路の通学専用バスが実現しました。
 この運動は今年も引き続き受け継がれ、「北陵高校花川地区バスの会」が復路の開設に向けて熱心に活動してきた結果、この冬休み明けから開通することになりました。
 ご尽力に感謝し、ともに喜び合いたいと思います。

卒業記念品の紹介
 第16回卒業生一同より、卒業記念品として次の品が学校に寄贈されました。
 「ステージ幕」

編集後記
▼3年生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。一歩一歩希望される道へ近づかれますことを心から願っています。
▼平成も穏やかなうちに2年目を迎え、皆さまに親しまれる『北陵だより』を目標に編集委員一同張り切っています。良い作品づくりは、何といっても沢山のすぐれた作品に出会うことだと思います。互いに磨き、磨かれつつ良い作品へとつながるよう努力をしてまいりたいと存じます。
▼今後とも会員の皆さまの一層のご協力をお願い致します。