北陵だより第57号/平成2年7月21日発行


[北陵だより第57号 1ページ]


これからの学校行事予定
8月
 17(金) 始業式、課題テスト(1・2年)
 18(土) 課題テスト(1・2年)
 31(金) 北陵祭〜9.2(日)
9月
 27(木) 宿泊研修(1年)〜29(土)
10月
 3(水) 開校記念日
 9(火) 中間考査〜12(金)
 17(水) 校内マラソン大会
 26(金) 父母懇談会(2年)
11月
 12(月) 見学旅行(2年)〜17(土)
12月
 1(土) 期末考査〜5(水)
 20(木) 終業式
1月
 16(水) 始業式、課題テスト(1・2年)
 17(木) 課題テスト(1・2年)
 28(月) 学年末考査(3年)〜31(木)
 31(木) 予餞会
2月
 1(金) 3年家庭学習
 15(金) 雪中体育大会
3月
 1(金) 学年末考査〜5(火)
 10(日) 卒業証書授与式
 23(土) 終業式

三十にして立つ
校長

 開校19年を迎え、いよいよ明年は20年の節目の年に当たることになりました。本校はいわゆる伝統校ではありません。比較的新しい学校群に入ることになるでしょう。
 「伝統」、英語ではtraditionです。辞典には「伝統」とは、「行動により過去から伝えられてきたもの。それによる漠然とした価値判断」とあります。もともとこの言葉は明治に入ってつくられた日本の新しい言葉です。トラディション(伝統)は1541年にヨーロッパの宗教改革で著名なカルヴィンの書いた文中に出てきます。ヨーロッパでは、ルネッサンス以後個人の芽生え、個人の尊重ということが社会における大きな価値規範であっただけに、カルヴィンのトラディションは昔から言い伝えられてきたものを反省するということで、近代的意味を持っているのです。したがって伝統は面白さ、おかしさだけではダメで、単なる美的対象ではなく、行動に生かされるものです。
 新しいものへ、異質なものへ対決していくことをとおして自己を知る、自己を変革するという姿勢、すなわち自己革新を伴うところに伝統は生きてくるのだろうと思います。
 こういった気概を北陵生ひとりひとりが持ってこそ、伝統、いや校風づくりができるものと考えます。
 高校3年間の生活の中で、これまでのマンネリズム(怠惰、無気力)を克服して、将来に向かって自己の進路を開拓していくたくましい人間づくりの師弟同行で言行一致する校風づくりこそ、20年を前にしての大きな課題かと思います。
 論語で孔子曰く「三十にして立つ」―学校も人間に例えれば20歳、成人式をやがて迎えます。自他共に認め合える、つまり社会的承認をうけるに30年はかかります。徒らに馬令を重ねることなく師弟同行、「三十にして立つ」を目指して、内面的充実を図ってまいりたいと存じます。今後のご協力をお願いします。


[北陵だより第57号 2ページ]

PTA活動に期待するもの
・昨年度の定期総会におきましてPTA副会長に選出され、この度は会長の大役をお引き受け致すことになりましたが、何分経験等乏しく、皆様のご協力により任を終えられればと願っております。
 今年は、来年に迫った20周年記念事業推進スタートの年であり、さる6月9日に開催された定期総会で事業計画並びに予算も承認され、確実に動きだしました。
 昨年度より「地区教育懇談会」をPTA事業として取り上げ、会員のみならず地域の方も幅広く参加され、父母はもとより、先生方の熱心さに感銘を受けたと聞いております。今年度はさらに一層の充実した開催が期待されます。
 PTA活動は申すまでもなく、生徒の高校生活を側面から援助するものであり、皆様のご支援があって、初めて実現するものと確信します。
(PTA会長)

・この度、前会長の後をお引き受けいたすこととなりました。皆様のご協力を仰ぎながら努力したいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 人生は長い旅路みたいなもの。その中での高校生活は何十年後でも心に残っているものです。ということは最も大切な3年間といえます。先輩後輩の絆とか友情をより深めるもの、それは部活動(文化体育)の参加です。高校時代、部活動をして来たという学生は企業が喜びます。なぜなら、地味で我慢強い経験は企業や組織を支えてくれる人材と知っているからです。
 人は皆、口に出すか出さないかの違いで孤独感や悩みを持っているものです。部活動はこれに負けまいとする努力、人体が養われる絶好のチャンスと思います。最後にある先生の言葉を紹介して失礼致します。
 「問題のある子供はいない、問題のある親がいるだけである。」
(後援会長)

話のひろば
あったこと・なかったこと

2年生保護者

 昨年暮れに『北海道洋楽の歩み』(北海道新聞社刊)を出版した。クラシック音楽受入れの経過を、時代を追って書いたものである。
 執筆の基本は関係者からの聞き取りと資料調査で、この2つは相互に補完し合わなければ正確を期しがたい。戦前の札幌新交響楽団第3回定期演奏会を例にとろう。
 昭和16年12月8日、定期演奏会を予定していた新響は、太平洋戦争に突入した中で予定通り演奏会を決行。Aさんの指揮のもと、ベートーベンの交響曲第5番「運命」を演奏した。
 この“事実”はAさんがあちこちで語っており、旧団員も同じ証言で疑いないように見えたのだが、当時の新聞記事を見ると2カ所で違っていた。演奏会が開かれたのは8日ではなく9日、「運命」の指揮者はAさんではなく新響にもう一人いた指揮者のBさんだったのである。
 演奏会が真珠湾攻撃という時代を区切る出来事と共に記憶されたことが、日にちのずれとなって残ったのだろう。ただし、この新聞記事も予告だけだから本番で変更があったかもしれず、鵜呑みにはできない。関係者に日程変更も指揮者の交替もなかったことを確認して誤りだと言い切ることができた。
 もう一つ、初めて北海道で本格的な洋楽が演奏されたのはいつかという問題も例に挙げる。
 アメリカからのペリーの艦隊が函館を訪れたのは安政元年(1854)。艦隊に軍楽隊が乗っていたが、上陸しての公開演奏は雨のため中止された。では市民が初めて洋楽に触れた機会はいつだったのか。
 本の中で、安政6年(1859)、函館のイギリス領事館開館時に軍楽隊が演奏したのが最初であるとしたのは、領事ホジソンの日記に基づいている。実はその日記には、それが函館での初めての演奏会だったとは書かれていないのだが、それ以前に演奏会の記録が見えなかったため、“初”としたのである。
 ところが、それ以前に西洋の楽隊が演奏したことがあったらしい。ペリーに3カ月遅れて来道したロシア艦隊の軍楽隊が函館で演奏していたようだというのである。艦隊に乗り組んでいた作家ゴンチャーロフの記録には函館での演奏に関する記述がない。それでなかったと思い込んだのが、違っていたらしい。
 これははからずも、以前から思っていたことを自らに体験させることになった。あったことを証明することはやさしいが、なかったことの証明は難しいということである。
 あったことは、書いてある資料を見つければ事足りる。しかし、なかったことは、あの本に書いていない、この資料にも記載がないというだけでは証明にはならない。
 古い歴史に関わる事柄を探る上での、苦心や楽しみを大いに味わったことだった。


[北陵だより第57号 3ページ]

新任紹介
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「可能性」を追い求めて―留学で得たもの
12期生
 現在、大学受験制度を巡っての議論が激しく展開されている。そんな中で、今の高校生がどのような基準で自らの進路を選択するのだろうか、やはり偏差値だろうか、ふと考えた。
 私は今、大学で社会福祉を学んでいる。そして幸運にも、アメリカの大学で交換留学生として3年次を過ごす機会に恵まれた。高校時代、私は英語を大の苦手としていたから、本当に何が起こるかわからないものである。
 さて、そんな私が入学した大学は、第1希望ではなかった。が、浪人時代にせっかく伸ばした英語の力を保ちたいと思い、自分なりに勉強を続けていった。そして、2年次の秋に、実際進んでいるといわれるアメリカの障害者の生活をこの目で見たいという思いにかられ、交換留学生に応募することにした。
 帰国した今、違う国で勉強したということは、貴重な経験になったと思う。先ず、ヨーロッパ・中国などを含め、様々な国の友達に出会えたこと、日本よりもテストが多く、誰もが真剣に聞き、討議なんかも多い授業風景など、一つ一つのことが大切な宝となっている。専門分野で得たことも想像以上で、最後は人種問題のことにまで関心が拡がっていった。夏休みには旅行もし、アメリカの様々な面に触れることができ、楽しい思い出となっている。
 普通、留学というと語学が中心かと思うが、私はそうではなかった。実際にアメリカ人の学生と机を並べ、同じ問題について学べたことは、苦しいこともあったが、忘れ難い思い出である。
 今、大学の在り方が厳しく問われているが、問題となるのは偏差値の優劣ではなく、教育の中身と入学後の学生自身の意志にあると思う。その意味でも、可能性が十分に発揮できるよう、後輩のみなさんに期待している。

公開講座へのおさそい
 今年度の公開講座は次の10講座です。
・登山入門 春秋の2回、快い汗をかきませんか。
・源氏を知る会(毎週土曜)
・動物園巡検(動物の進化をたどりヒトの進化を考える)
・石狩平野の巡検(石狩平野の成り立ち)
・合唱(基礎練習と希望曲の合唱)
・書道入門(古典を学ぶ)
・囲碁(打碁を楽しみ、技術向上をはかる)
・子ども、青年の心と体は、今どうなっているか(確かな自立を実現するために。昼の講座と同内容で夜の講座も設けられています)
・基礎スキー(アルペン、初心者を対象、安全で楽しいスキーを体得)
・デコパージュ(ヒビ割出しの技法、アンティックな感じをつける)
 みなさん、お誘い合わせのうえご参加ください。お待ちいたします。


[北陵だより第57号 4ページ]

ゆりの木
ホストファミリー捜し

教職員

 我が家の夕食に、昨年末にコロラド州出身のフォンさんを、また先月はアラスカ州のジョンヨーディさんを招いて故郷の話を聞く機会を得た。フォンさんは英語指導助手で昨年3ヶ月間本校でも教壇に立った。ジョンさんはアラスカ州立大学生で教育大札幌分校で研修中の男性だ。同じアメリカでも州によって随分と生活ぶりが違う。外国人と知り合い、話を聞くのは興味深く楽しいものである。
 高校の姉妹委員会を担当しているが、留学生のホームステイ先を捜すのに苦労している。昨年はPTA会員の5家庭にホストファミリーとして登録していただいた。あと3家庭は捜さなければならない。言葉ができないので、と断られる場合が多い。彼等は日本語と日本の生活を学びに来るのだから、日本語で接した方が喜ばれる。
 私の恩師である詩人の矢口以文氏はこう書いている。雨に濡れて寒そうにして入ってきたアメリカ人の友人に英語を全く解さない氏の母親が「『まんず、あんだあ、すっかりぬれで!さあ、はえぐらえん!ストーブさあだらえん!かじぇこば、しがねように』と叫んだ。すると日本語が分からない友人が『お婆さん有難う。すっかり濡れてしまいました。早く入ってストーブにあたります。風邪をひかないように』と英語で答えた。」(「母のことなど」1989)
 立派な住宅や語学力―国際交流に必要なものは必ずしもこれらのものではない。異国にやってきた若者を暖かな態度で迎えれば十分である。彼等が一番感動し、母国に帰って家族や友人に伝えるものは日本人の優しさ、親切な行いである。


高体連に活躍
弓道部女子(団体) 全道を制覇し、全国大会へ
ハンマー投げの佐藤君(3年)も

弓道部
3年生女子

 部員が呼吸を合わせ、一生懸命練習して臨んだ高体連札幌支部大会では、選手一同もてる力を全て発揮し、道内一の激戦区で優勝というすばらしい成績を残すことができました。
 全道大会には主将の私以下、3年生3名、2年生3名の7名が参加しました。
 試合はみんなが固くならずのびのびとした射で、予選を1位通過、翌日の決勝トーナメントでも、優勝候補の伊達高校を14―13の僅少差で競り勝ち、勢いに乗って決勝まで進出しました。
 決勝は予想通り支部大会同様の組合せで、札幌南高校との対戦となりました。結果は11―11の同点で、決戦の射詰にもつれ込みましたが、2―0で初の全道優勝を我が手にしました。無欲の勝利というか、優勝を意識しないで一射一射をみんなが自分の全力で向かったこと、そしてチームワークのよかったことが勝負強さにつながったのだと思います。
 次の全国大会は8月2日から仙台です。北海道代表として、また札幌北陵高校弓道部の伝統を築くために、精一杯がんばってきます。

陸上部
 札幌支部大会ではハンマー投げの佐藤君(3年生)と砲丸投げの中井君、走幅跳びの米山さん(以上2年生)が全道大会出場権を獲得、6月21日から厚別公園競技場の大会に臨みました。佐藤君が6位に入賞(45.16m)を果たしたものの、他の2人は惜しくも全国大会出場成りませんでした。

ソフトボール部
 全道大会出場権をかけて同じ3位の札幌東商業高校と対戦しましたが、力尽きて敗れました。捲土重来を期したいと思います。

編集後記
▼バラの香りもいちだんと匂う季節となりましたが、会員の皆様いかがお過ごしでしょうか。本年度最初の『北陵だより』をお届け致します。
▼地域に対する奉仕になればと始められた「公開講座」も、本年は2講座が増え10講座です。ますますさかんで、地域の皆様にすっかり定着した感じがいたします。
▼『北陵だより』も、皆様との結びつきがますます強まることを願っています。