北陵だより第59号/平成3年3月10日発行


[北陵だより第59号 1ページ]


人生への挑戦
3学年委員長

 3年生の皆さん、卒業おめでとうございます。
 顧みますと、この3年間の種々の感動、楽しみ喜び、苦しみ悲しみを思い出すことでありましょうが、人生に於いて、これも懐かしい思い出の一つでもあります。
 人の世に永久不変のものは無く、変化があるのは当たり前です。どんなに慕っている方でもいつかはこの世を去るし、いつ迄も一緒に過ごしたい友人にも、激しい愛着を感じている物にも、別れの時は来るものです。でも反面今迄のものに別れを告げることは、新しいものへの挑戦とふれあいを意味し、それは自分自身を大きくしてくれるチャンスでもあります。ですから卒業式は証書1枚を頂くためだけの儀式ではなく、人生を見つめる新しい目が生まれる時でもありますし、あなた方の人生への挑戦が始まる時でもあるのです。
 常に夢を持ち、追い求め、悔いのない一生を送っていって下さい。そのためにも、良き友を求め合い、互いに成長するための糧とし、幸いなる人生、楽しきかな人生を進んでいって下さい。
 結びに、ロングフェローの詩「人生の賛美」の中より、「人生はむなしい夢ではない。絶えずそれぞれの人生を追い求めてほしい」を贈らせて頂きます。
 卒業を心よりお祝い申し上げます。

北陵の3年間と私
3年生女子

 私はこの屯田にもう15年住んでいることになりますが、毎年毎年思うことは、やはり「屯田の冬ってどうしてこんなに激しいんだろう」ということです。屯田ブリザードと名付けられた猛吹雪にも耐えて、学校へ歩いて通ったことは自分でもすごいと思います。そんな屯田だけど、夏になると自然が多いこともあって、ときどき授業中にカッコウの鳴き声が聞こえてきたりして、とても風流のある所なのです。そしてこの屯田にある北陵高校へ通うことは、場所的に近いということもあり、私の小学校時代からの目標でした。
 その北陵高校での学生生活も終わりになって、私が一つ後悔していることといえば、部活に入らなかったことです。昨年の高体連は、最後ということもあって学校を休んでまである部活の試合を友達と見に行きました。その試合は惜しくも負けてしまったけれども、選手の一生懸命な姿が見ている側にも伝わってきて、私にとってもよい思い出になるものでした。部活に限らず、何か一つ打ちこめるものがあるのは、高校生活を充実させるうえでとても大切なことだと思います。ただ安易に過ごしてしまった時間が今は本当に残念です。
 でも私にって北陵での3年間は、楽しいことやつらかったことをわかち合える多くの友達ができ、私自身を向上させてくれるような多くの経験をする貴重な機会となりました。この経験を生かして、これからの私の人生を有意義に送っていきたいと思っています。


[北陵だより第59号 2ページ]

卒業おめでとう
励ましのおことばを寄せていただきました

・若さ溢れる君達の前途には夢が拡がっていることでしょう。その夢を現実のものにするためには、気力、体力が必要です。健康でなければ気力も体力も失せてしまいます。身体の健康は勿論、心の健康も大切です。身体と心の健康は表裏一体です。健康に留意して、夢の実現化を目指してください。今後の健闘、活躍を祈ります。
(1組担任)

・卒業おめでとうございます。
 現状に甘んじることなく、常に自分を変えていこうとすること―これが成功への最短距離だと、私は考えています。目の前の壁から逃げたり、そこで立ち止まってしまっては、せっかくのチャンスをつかまえることができません。しっかりとコンタクトして、たくさんの壁をクリアしていって下さい。
(2組担任)

・卒業おめでとう。晴れて卒業を迎えた今日の感激を忘れずに、また北陵高校での3年間の生活を大切にしまっておいて下さい。今日のような諸君のりっぱな姿があるのは、本人の努力によることももちろんですが、何よりもご両親の援助のおかげなのです。ご両親への感謝の気持ちを新たにし、喜びをわかち合って下さい。
(3組担任)

・3年の始業式当日、男子1名が芸能界を目指して東京へ転校。
 道内外の大学、短大、専修学校、就職、その他を希望する私立文系コースでスタートし、全員無事に卒業式を迎えられた。
 卒業生へ一言。
 「社会人として認められるか否かは、高校時代の成績や素行などは関係なく、如何にこれからの生活を頑張りエンジョイするかで決定する」
(4組担任)

・卒業生諸君、父母の皆様、本日はおめでとうございます。
 3年間はあっという間でしたが、ぜひ自問して欲しい。「努力をしたか?成長したか?」その解答が、北陵高校に入学した事の価値を決定すると思う。努力しなかった人も成長した人も、今後は自らの力で道を切り拓き、立派な社会人になられるように望みます。
(5組担任)

・人の一生は旅路だから、この道を行けばどうなるものか。危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし。踏み出せばその一足が道となる。迷わずに行けよ、行けばわかる。どんなに美しくとも、花は散り人は死す…ただ散る。無限の可能性を秘めた君たちよ、迷わずに行けよ。
(6組担任)

・いよいよ卒業の時になりましたね。今後いろいろなことがあるとは思いますが、いつも「なにくそ、ここで負けるか!」という気持ちで立ち向かっていって下さい。うまくいかないこともあるでしょう。落ち込むこともあるでしょう。ですが、「意志あるところ、道あり」です。一生懸命、目標に向かって頑張っていこう!
(7組担任)

・まだある、まだあると思っているうちに1年が終わり、ついに「卒業の日」を迎えてしまった。定期考査や学年が終わる度に「この次は……」との決意を多少なりとも抱くが、なかなか実行に移せない。立場の差こそあれ、私もいつも経験している。
 「卒業」の機会に、「この次こそ……」の思いを改めて強く持とうではないか。
(8組担任)

・卒業おめでとう。前途に幸あれと願うのですが、このハイテクの時代、地球はどんどん小さくなり、汚染もひどくなっています。この地球を救えるのは君達です。自分の意見をきちんと持ち、主張し、実行できる人間になるよう期待しております。
 なにを実行するにも気力が必要です。気力は体力からです。健康に気をつけ頑張って下さい。
(9組担任)

・歳月の流れの速さを今更のように感じるが、時の流れはいろいろあったことを楽しく思い浮かべさせてくれるから嬉しい。高校生活は、人生の中のほんの一節にすぎないかもしれないが、この3年間に伸ばした節が、諸君の人生に重大な意味をもつものであることを念じている。
(10組担任)


[北陵だより第59号 3ページ]


ポートランド旅行記
2年生女子

 「Do you like music?」これは長い飛行を終えて迎えにきてくれた車に乗った時、Shinjaが初めて私に話しかけてくれた言葉だったと思う。その時の私は緊張のあまり「Yes」としか答えられないまま窓の外の景色を見ていた。どの家も私が想像していたとおりのアメリカの住まいだった。本当にアメリカに来てしまったのだなという妙な実感とともに、これからの3週間、1日たりとも無駄にはすまいと、改めて決意していたのを覚えている。
 私の行った時期はクリスマスや日本のお正月シーズンで、Shinjaがたくさんのパーティに私を連れて行ってくれた。中でも特に印象に残っているのはHappy new yearパーティで、20人くらいの仲間が集まりゲームをしたり踊ったりおしゃべりをしたり……私も多くの人達と出会い、ぎこちないけれど一生懸命に話をした。彼らは私の話を理解しようと真剣に聞いてくれ、答えてくれた。そのことがとても嬉しかった。そして、たとえ人種が異なっていても考えていることや感じていることは同じなのだということがわかり私は安堵した。そうしているうちに、夜中の12時になった。みんなでクラッカーや花火を持って外に出ると、一斉に大騒ぎをした。辺りが静まり返っているのにお構いなしにやってしまうことが私の目には新鮮に映り、ワクワクした。空があまりにも澄み切って綺麗な夜だったので、日本では今頃何をしているだろうと考えたりしていた。
 初めてアメリカで迎えた新年は、私の中で強烈な印象を残すものとなった。
 校長先生の言われた「平坦な道ばかりではないかもしれない。しかし、日本にいては決して歩めない道である」という言葉が私の胸に響く。私は今、心からポートランド行きを希望してよかったと思っている。

話のひろば
水とくらし

保護者

 私は地方議会に身を置いているせいか、住民の方々から色々な質問が寄せられる。先日、ある主婦の方が「石狩町の水は汚い」とおっしゃる。こんな話は聞いた事もないので私は驚いて、「なぜですか」と問い返した。「だってヤカンの底や蒸発皿に汚いドロドロしたものが残ります」との事である。これは大いなる誤解である。水の蒸発後に残るのは、飲料水に含まれているカリウム等の硬質分であって、おいしい水に欠かせない成分であり、決して汚いものではない。この事を説明すると、その方は納得してくれた。
 私たちに寄せられる質問には、こうした誤解や思い込みによるものが数多くあるが、私はできるだけていねいにお答えする事にしている。中には難しいお話で、即答できない事もあるが、そんな時は、調査をして、後日回答するようにしている。こんな日常会話の中にこそ住民自治の原点があるように私には思える。
 私は地域の方々のこんな思い込みや誤解が大好きだ。時には、私など到底考えつかないような、豊かな発想や新鮮な感覚に教えられる事も多々あるからである。
 4月の一斉地方選挙が近づいてきた。街にはポスターや立て看板が目立つようになってきたが、その中で、「潤いのある街づくり」という標語を数多く見かける。言葉としては大変響きが良いので私も時々使うが、「潤いのある街」とはどんな街なのか、と問い返された時に、即答できるのかと考えさせられる。「街づくり」といえば「潤いのある」というのが熟語になっているが、具体的なイメージや方策を持っている人は少ないのではないだろうか。「潤い」を連発する人が、大規模な自然破壊を伴う大型レジャー開発にとりわけ熱心だったりするのも、世の中、不思議な話である。
 小学校入学前の頃、私は早来町の郊外で暮らした事がある。
 そこには大きな泉がこんこんと湧き出し、幅1メートル程の小川が流れていた。その澄んだ水と、夏でも手を浸すと切れるような冷たさを、今でも懐かしく、ある種の感動を伴って思い出す。子供の頃の楽しい、懐かしい思い出には、何かしら水にまつわるものが多い。心の余裕を失った時など、海を眺めていると、心の安らぎを覚えるのは私一人ではないだろう。
 倉敷や京都は、全国的に美しい街として知られているが、いずれも掘割にきれいな水が流れ、鯉がゆうゆうと泳いでいたりする。
 潤いのない街の代名詞が、「都会砂漠」である。砂漠には水はない。潤いのある街づくりには、清冽な水の流れが欠かせないようだ。街の中にせせらぎがあり、トンボやホタルが飛び交い、緑におおわれた街、自然公園の中にスッポリと包まれた様な街に住めたらどんなに楽しい事か。我が石狩町に小川はない。
 明日の街づくりに、様々な思いが胸中を去来する今日このごろである。


[北陵だより第59号 4ページ]

ゆりの木
サブトラックからの眺め

教職員

 サブトラックとは補助競技場のことで、大きな陸上競技場には必ずその隣りに設置されています。そのサブトラックでは、国体や高校総体ともなると周囲に都道府県の控え用テントやスポーツメーカーのサービステントが張りめぐらされ、大変な賑わいをみせます。よくテレビなどでは閑散とした本競技場で写し出されますが、サブトラックは全く違います。
 選手たちは、本番前にここで思い思いのウォーミング・アップを行って本番にのぞみます。このサブトラックが我々監督やコーチにとっては本番なみのたたかいの場となります。陸上競技では、試合中の選手に助力を与えることがルールで禁じられており、選手がアップを終え本競技場に入ってしまうと、我々はただスタンドで腕組みをして観戦するだけです。(それでも、時々大声で指示を与えて、審判員ににらまれたりします。) それだけに、選手に対して作戦や指示を与えたりコンディション調整を行ったり、実に忙しい場所がサブトラックなのです。陸上競技に作戦なんてと思うかも知れませんが、勝つため(勝たせるため)には結構色々とあるのです。選手の仕上がり具合と他選手の動きを見て、レース展開や動きのポイントを指示したり、時には選手に暗示をかけたり等々……。また、ここは競馬のパドックのようなもので、新聞に赤ペンこそありませんが、プログラム片手に他の選手の仕上がり具合や動きを観察します。特に強い選手の動きは、大変勉強になります。
 本競技場ではタイムや距離によるシビアな戦いがありますが、サブトラックには、人間臭いもう一つの戦いがあります。そこを覗いてみるのも、楽しいものです。


高文連に活躍
全国書初め書道展で最高賞を受賞
2年生男子

 全国書初め展覧会の「高2の部」で最高賞をいただけたことは、高校生になって苦労していただけに、とてもうれしいものでした。高1の時に書道の厳しさを知り、それから1年間は書道塾へ通い詰め、努力してきました。その成果がこうして表れてきたのだと思います。
 また、学校の授業に限られた時間内で制作した作品が、朝日書道展や学生書道展で推薦賞をいただけたのも、先生の御指導のおかげだと感謝しています。
 これからも、高1の時の苦い思いを大事にし、これらの立派な賞の受賞者として恥ずかしくない作品づくりに努めていきたいと思っています。

アナウンス部門・ラジオ制作部門で健闘
放送局 2年生女子

 放送局は、去年の12月16日に平岸高校で行われた「第29回高文連放送コンテスト石狩大会」で、「アナウンス部門」では2位、「ラジオ制作部門」では7位、という成績を収めることができました。
 番組の締切日が期末テストのすぐ後だったので、テスト勉強の期間と重なったり、番組がもう少しでできあがりそうだ、というところで機材が故障してしまうなど、悪戦苦闘の日々が続きましたが、なんとか完成にこぎつけて、出品することができました。
 良い作品ができ上位にも入賞できてとても喜んでいます。

卒業記念品の紹介
 第17回卒業生一同より、卒業記念品として、体育館等の暖房用に次の品が学校に寄贈されました。
 遠赤外線オイルヒーター 「ホカット」SE20 3台

編集後記
▼卒業生の皆様おめでとうございます。21世紀に向かって、これからもそれぞれの道で頑張って下さい。
▼昨年から続いている暖冬に地球の異変を感じ、湾岸情勢に心を痛めていたらとうとう戦争になってしまい、編集会議の合間にもつい、中東の話になります。やはり今一番の関心事ですね。
▼今年度最後の号になりました。これからも皆様に親しまれる『北陵だより』をお届けしたいと思っております。より一層のご協力をお願い致します。