北陵だより第60号/平成3年7月23日発行


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これからの学校行事予定
8月
 19(月) 始業式、課題テスト(1・2年)
 20(火) 課題テスト(1・2年)
 30(金) 北陵祭〜9/1(日)
9月
 26(木) 宿泊研修(1年)〜28(土)
10月
 3(木) 開校記念日
 6(日) 開校20周年記念式典
 9(水) 校内マラソン大会
 11(金) 父母懇談会(2年)
 14(月) 中間考査〜16(水)
 27(日) 見学旅行(2年)〜31(木)
12月
 6(金) 期末・学年末(3年)考査〜10(火)
 24(火) 終業式
1月
 20(月) 始業式、課題テスト(1・2年)
 21(火) 課題テスト(1・2年)
 31(金) 予餞会
2月
 1(土) 3年家庭学習
 14(金) 雪中体育大会
 29(土) 学年末考査〜4(水)
3月
 10(火) 卒業証書授与式
 24(火) 終業式

一層の躍進を期して―創立20周年を節目に―
校長

 日ごろ、本校の教育活動について、種々、御協力・御支援をいただき、心から感謝とお礼を申し上げます。
 さて、私はこの春、滝川高校から赴任し、着任早々、感心させられたことがあります。
 それは、校舎が既に、老朽化し始めていますが、清掃がいきとどいていて、大変きれいであったこと、着任式や始業式のとき、私の話を静かに聞いてくれたこと、更には、朝、前庭や廊下で出会ったとき、「おはようございます」と明るく声をかけてくれたことなどです。
 このことは、家庭における躾のよさ、更には、先生方の指導がいきとどいている証だと感心させられました。
 しかし、一方では、何のために本校に通っているのか、何のために大学等を受験しようとしているのか、目的意識がはっきりしない生徒や無責任な行動をとる生徒もいます。
 将来、子どもたちがよりよき社会人となるためにも、一層の社会的規範の遵守、礼儀作法の大切さなどについて、機会を捉えて言って聞かせるとともに、人間としての生き方・在り方についても考えさせてほしいと思います。
 山本五十六元帥は、「ヤッテミセテ イッテキカセテ サセテミテ ホメテヤラネバ ヒトハウゴカジ」という言葉を残しています。
 今の子どもたちに「やる気」を起こさせる参考になる言葉だと思います。
 本校は、本年、創立20周年を迎え、10月6日には、記念式典が挙行されます。
 これを人生に例えると、20歳の成人式を迎えた若々しい前途有為な青年に相当します。
 創立20周年を一つの節目として、PTA・後援会の会員各位の御協力を得ながら、更に地域に根ざした学校づくりに、教職員一眼となって努力してまいりたいと考えています。
 今後とも、よろしく御協力・御支援を賜りますようお願い申し上げます。


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創立20周年を迎えて
PTA会長

 昨年6月の定期総会において会長の任を仰せつかり、早や1年が経過しました。皆様の暖かいご支援により大過なくすごさせていただいたことを心より感謝申し上げます。
 今年は、北陵高等学校にとりまして創立20周年を迎える記念すべき年に当たります。これまでが基礎を構築する期間とすれば、今年は「基礎作りの仕上げの年」と位置づけられます。幸いにしてグランドの改修工事は2年目を迎え、第2体育館の建設も確定しているとか、前途は洋々たるものがあります。更にはこの4月、新しい校長先生並びに事務長さんを迎えました。新しい角度からのご指導をいただけるものと思います。
 PTAは、申すまでもなく会員の親睦をはかりながら相互の協力により、生徒の学校・家庭等の社会生活の改善、向上をめざすことを目的としています。
 みなさまのご指導、ご支援によりまして、PTAの一層の発展を願うものです。

友情とクラブ活動
後援会会長

 あるアンケート調査で、公立・私立高生、1100人の2年生に「高校入学の目的は」の問いに「高校くらいは出ていなければ」と答えた人が49.4%いたそうです。友達はいても心が休まる人間関係、自分の悩みを聞いてくれる真の友達が、作りづらい傾向にあると結んでありました。
 色々と考えさせられますが、悩み、孤立感、ストレス、この解消方法はいつの世も同じで、人との出会いを大切に努力していくしかありません。出会いの多いところ、それはクラブ活動です。先輩、後輩の生の声が聞けますし、礼儀と心の優しさ、思いやりが培われます。運動部であれば、たとえレギュラーになれなくても友情が広まり、つらい練習は忍耐と精神力が強化され、社会人となった時、一味違う人間になると信じます。
 活躍を期待します。

話のひろば
高校時代

3年P

 過ぎてみれば時間なんて短いもので、自分の高校時代だってついこの間のことだと白髪の髪にもかかわらず思う。あの頃東京の予備校での夏期講習に通う道すがら、駅まで歩く途中に西武新宿線の踏み切りが幾つかあった。いまはほとんど無人化されてしまった踏み切りだけれど、当時はおじさんが、通過する電車の前後に汗だくで忙しそうに滑車のハンドルをぐるぐる回して開閉をしていた。ある時、ふといつも当たり前のように思っていたそのおじさんの仕草が、実は当たり前ではなく、毎日毎日そのことを繰り返し、仕事としてやっているのだ、と気付いた。おじさんの背中に、家族や生活を感じた。中学生の時や、それまで考えてもみなかったことに気が付いた。そして、自分の人生について考えるようになった。これがはじめてのことと思う。高校2年の時だった。
 でもまだ暢気なものだった、と思う。この頃だったと思うが、亡くなった佐田啓二と高峰秀子が演じた「喜びも悲しみも幾年月」という映画を友人とみた。いたくこの映画に感銘を受けた友人のことを、兄に話すと兄も良い映画だと言う。私にはさっぱり解らなかった。一家族があっちこっち転勤して生活しただけの話ではないか、どこがおもしろいのか、そんな程度の理解だった。しかし、なぜ友人や兄が感銘を受けたのか、ずっと疑問に思っていた。やがて自分も家庭を持ち、引っ越しを5回も6回もするようになってやっとその謎が解けた。友人や兄の方がずっと大人だったのだ。
 子どもから大人へ、急速度で成長するこの時期に個体差があるのは当然であるけれど、遅かれ早かれ人生に目覚める時が来よう。それが高校時代だと思う。受験教育を、擁護する気はさらさらないが、サマセット・モームやオー・ヘンリーの英語だって、森鴎外の現代国語だって、人生に少しでも目覚めていなければ理解不能のはずだ。如何にうまく高い点数をとり、如何にランクの高い大学に進学するかに焦点を合わせた教育は、この人生で大切な時期になにかピントはずれの教育のような感じがする。しかし、その受験勉強の中からでさえ目覚めていく学生がいるに違いない。今日のオーディオヴィジュアルな感覚的、表面的理解からあまり早急に人生を悟ってしまうのは考えものではあるけれど、じっくり自分の人生について考えてみる年頃ではないか。
 後年、「老人と海」を読んでも、印象派ピサロの絵をみても、底に流れる作者の思いがなにかしら感じられるのは、この頃の体験が基になっているからだと思う。


[北陵だより第60号 3ページ]

新任紹介
*この項目は掲載いたしません。

公開講座へのおさそい
 今年度の公開講座は次の11講座です。
 ・小樽を歩く(小樽地理巡検)
 ・シルクスクリーン版画(紙や布地に自分のデザインをプリントする)
 ・合唱(楽しい基礎練習と合唱を楽しむ)
 ・化石を尋ねて(滝川海牛の骨格標本見学)
 ・基礎スキー(初心者対象)
 ・二部式和服の製作(型紙、ミシン縫い)
 ・書道入門(書く楽しさを味わう)
 ・源氏を知る会(恋愛小説の最高傑作を楽しむ)
 ・軟式庭球入門(初心者歓迎)
 ・登山入門(春秋の2回、快い汗をかきませんか)
 ・動物園で動物の進化を見よう
「登山入門」以外はまだゆとりがあります。ぜひご参加ください。


ホクリョウ・キッズの見たアメリカ
 冬休みの昨年12月20日から21日間姉妹校のリンカン高校に通い、生徒の家にホームステイした時の日々の様子が文集にまとめられました。ここには日々の様子を書いた旅行記と自分で決めたテーマのリポートが掲載されています。題して『ホクリョウ・キッズの見たアメリカ』。以下、簡単に紹介しましょう。
 ≪楽をしたければ、いくらでもできる。先生は注意してくれない。彼らは、たくさんの自由を持っている分だけ厳しさも求められている。≫
 ≪一番心に残ったのは、みんなの親切と笑顔です。≫
 ≪アメリカ人は、一人ひとりが大人というか、自分で決めることができます。≫
 ≪肌の色や、経済的に反日感情があるのは知っていたが…。≫
 ≪アメリカでは家さえ持たない人がたくさんいます。アメリカの方が現実は厳しいことがわかります。≫
 ≪普通に感じていたことに疑問をもち始めました。どうして制服があるのか、自分の髪なのに、パーマをかけてはいけないのか≫
 ≪車いすの人が、一人でいるのを、よく見かけました。早く日本でも、このように車いすの人が、不自由なく暮らせるようにしてほしいです。≫などと、カルチャーショックを受けた生徒達、外から日本も見えてきた生徒達の姿が浮かび上がってきて、表面的な部分だけでなく、冷静にアメリカと日本を観察してきたことがわかる記録となっています。
 今度は、リンカン高校の生徒達がこの夏、本校を訪ねます。その生徒達にも北陵生の心と日本の文化など、たくさんのおみやげを持たせて帰したいものです。
 7/19(金)来札、22(月)授業参加、30(火)〜8/1(木)林間学校参加、12(月)帰国。この間、折り紙・書道・柔道など日本文化講座を受講します。


[北陵だより第60号 4ページ]

ゆりの木
郭公に鳴いてもらいたい

教員

 授業をしているとカッコウの声が聞こえてくる。托卵のことはさておいて、この声には毎年のことながら心暖まる思いがする。そしてとりとめもなく思い出すことがある。
 数日前、授業開始前に、私の薬指から、どうしたわけか血が止まらず、ぽたぽたと落ちた。輪ゴムをもらって止めたのだが、そのことをとても心配してくれた生徒が何人もあった。ありがたいことである。そして脈略もなく昨年のことが思い出されてくる。私は玄関の清掃の担当であった。当番は一生懸命やったのだが、土足のやまぬ現実に心痛めていた。そのことを知ってか知らずか、生徒玄関を出て行く生徒が「さようなら」と私に声をかけていくことが起こってきた。そして、私と、どうしたものか、記念写真を撮るのだと言う者が現れて、私をびっくりさせた。理由はきかなかったが、4、5名の生徒とカメラに収まって、心和む気持ちがしたものである。
 地下鉄に年寄が乗ってきても知らぬ顔。噛んだガム、鼻紙、空き缶など道端に捨てて顧みない。痰を所かまわず吐き散らす。何処でもタバコを喫う。挨拶もできない。自分の子さえよければ。これは大人の姿なのである。最近の若者はと言う前に妙な気持ちがしてならない。そして北陵高校生の姿が思い起こされるのである。
 私の家の裏には、雑木林があって蕨が採れた。カッコウは、勿論鳴いてくれた。しかし、今見る風景は、雑木林は無く、家が建ち、味も素っ気もない。むしろ寂しい風景が広がっている。お金や生活の便利さのためにカッコウはやってこなくなった。私は、「最近の若者は」とどうしても言えなくなっていくのである。


高体・文連に活躍
放送局
3年生女子

 「NHK杯全国高校放送コンテスト」は、私達の最も大きな目標でした。番組制作の上で何回も訪ねた老人ホーム「拓寿園」の取材が5秒も使えない辛さや結論を文章にできない悔しさは、もう生涯忘れられません。
 「石狩地区大会」はアナウンス部門で3位、ラジオ自由部門で4位に入賞、そして室蘭での全道大会ではラジオ自由部門で2位に入賞、全国大会「東京NHKホール」への切符を手に入れることができました。入賞こそできませんでしたが、今回初めてテレビ部門にも出品したことは、3年ぶりの全国大会参加とあわせて放送局の活動に大きな意味を持つことになるでしょう。精一杯がんばってきます。

水泳
2年生男子

 先日行われた全道の選手権大会で、練習の成果が出たのか、ぼくは「200mバタフライ」に優勝することができました。
 これはたしかに嬉しいことだったのですが、タイムは全国レベルで考えると中級以下というようなものでしたから、複雑な気持ちです。まだまだ練習が不足ですから、インターハイに向けてさらにがんばっていこうと思っています。

待望の吹奏楽局が誕生
 昨年の北陵祭での鼓笛隊演奏がきっかけとなって、生徒会執行部はじめ多くの生徒達の要望が実り、吹奏楽局が誕生しました。生徒会と後援会の予算で楽器の購入の目途もつき、30数名の局員は北陵祭、20周年記念式典にむけて意欲的に練習に取り組んでいます。どうか暖かい応援をお願いします。

編集後記
 毎日のように報道される雲仙岳の様子を気にしつつ、新しく2名の委員を迎えての編集。
 木々の緑の美しさにひたっている間もなく、まばゆい青空の季節にと移りました。毎年くり返される自然の変化なのに…その時季時季に新たな感動を覚えます。
 諸先輩が残してくれた59号までの御苦労を思い、「北陵だより」にもこのような…との思いを込めて、これからも取り組んでいきたいと思います。