北陵だより第63号/平成4年7月25日発行


[北陵だより第63号 1ページ]

これからの学校行事予定
8月
 21(金) 始業式、課題テスト(1・2年)
 22(土) 課題テスト(1・2年)
9月
 4(金) 北陵祭〜6(日)
 21(月) 宿泊研修(1年)〜23(水)
10月
 3(土) 開校記念日
 7(水) 父母懇談会(2年)
 12(月) 中間考査〜14(水)
 20(火) 校内マラソン大会
 27(火) 見学旅行(2年)〜31(土)
12月
 4(金) 期末・学年末(3年)考査〜8(火)
 22(火) 終業式
1月
 18(月) 始業式、課題テスト(1・2年)
 19(火) 課題テスト(1・2年)
 30(土) 予餞会
2月
 1(月) 3年家庭学習
 19(金) 雪中体育大会
3月
 1(月) 卒業証書授与式
 2(火) 学年末考査〜5(金)
 24(水) 終業式

親の背をみて子は育つ
校長

 日ごろ、本校の教育活動について深い御理解を賜り、種々御協力・御支援をいただいておりますことに対し、心から感謝とお礼を申し上げます。
 さて、今年は、コロンブスが1492年にアメリカ大陸を発見して、ちょうど500年目にあたる年です。
 今から500年前というと、日本は室町時代の末期で、そのころと今とでは、世の中がすっかり変わっていますし、国際的にみても、随分、地球が狭く感じられるようになりました。
 しかし、時代がどう変化しても、また、地域や民族を異にしても、我々大人が、人生の先輩として子供たちに教えてやらなければならない不易なものが沢山あります。
 例えば、他人に対する思いやり、敬愛の心で結ばれる家族関係、社会的規範を重視し正義を守ることや、日本の美しい伝統を継承し高めることなど、どれをとっても大切なことであり、不易なものとして、子供たちに教えてやりたいものです。
 また、今後の国際社会に生きる子供たちには、特に次の事柄も大切なことと思います。
1 笑顔であいさつできる。
2 自己主張ができる。
3 気配りができる。
4 適切な行動ができる。
5 異文化を受け入れることができる。
 よく「親の背をみて子は育つ」といわれますが、日常生活の中で、子どもから慕われ尊敬される父であり、母であるように努めるとともに、機会をとらえて不易なものの大切さを教えてやることが、我々大人の努めではないでしょうか。


[北陵だより第63号 2ページ]

前庭の一位のような成長を願って
PTA会長

 校舎の前庭に聳える「一位」の巨木―何と雄大な姿でありましょう。毎日、北陵生を迎え見送り、無言の内に「大きな人間に成長しよう」と語りかけている様に思えてなりません。
  その一位も最初から大木ではなかったはずです。芽が出るまでに3年を要し、発芽しても雑草に負けるものや、踏みつけられて枯れてしまうものもあり、よしんば若木に成長しても嵐や雪に叩かれる日々が数多くあるのが現実です。そして大木になればなるほど風雪を強く受けるために、しっかりと大地に根を張り伸ばしていかなくてはなりません。こうして生きぬき、勝ち残って来た姿として現在の巨木の雄姿があるのです。
 北陵の一位は、子どもたちが日ごと勉学にクラブに励みながら、自分の将来の可能性に向かってすこやかに成長してゆく理想のシンボルです。このたびの会長就任にあたり、そのような親の願いを実現できるPTA活動がすすめられるよう、微力ながらみなさんと共に努力して参りたいと思っております。


姉妹校交流〜今年は「派遣年」
姉妹校委員会

 昨年、8名のリンカン高校生を迎え、交流も軌道に乗ってきました。これは一重に、PTA・後援会をはじめ、両校の交流にご理解とご支援をくださった関係各位のおかげであります。
 さて、今年は、本校からリンカン高校へ生徒を送り出す年度になっています。先日、受入れ準備をしていただいているリンカン高校の担当者から正式な打診がありました。12月26日〜翌年1月16日の約3週間、ポートランドでホームステイをしながらアメリカの生活を体験し、異文化理解を深める計画を立てているので、ぜひ北陵生を送って下さいとのことです。人数は現在のところ6名分のホームステイ先が決定し、あと2〜3名の追加を検討中とのことです。本校では、現在、派遣生徒の選考作業を進めています。留学生としてすばらしい生徒を派遣したいものです。
 関係方面には、一昨年同様の御協力をお願いすることになると思います。今年度は、後援会予算の中に引率教員の旅費などを計上していただきましたが、こうした経済面での充実が、これからの両校の交流をより発展させるものと考えています。

話のひろば
家庭円満をこそ

3年P

 子どもが中学時代、PTA活動の一環として其の筋の講演会に出かけていったり、地区の神社祭の折りなどにタバコやシンナーをやっていないかと巡視に歩いたりしたものです。
 百聞は一見に如かずとはいうものの、いざ自分がその現場に出会ってみると、なかなか話のとおりには対応出来ないのが本当のところです。まして家庭内のこと迄は触れることもなく、外面的なことばかりに終始しておわってしまいます。
 先頃、家庭内暴力による殺人が発生し、親として考えさせられました。物余り時代に育った子どもたちと殆どの家庭が貧しかった私たちの時代とでは、当然環境が違いすぎ、昔の時代に戻るには何処か離れ小島にでも行かない限りかなえられそうにもない状況です。テレビでモンゴルの家庭を放映した番組を目にしたことがありますが、物資は乏しいながらも家族の全員が笑顔を失わず明るく生活している姿が昔の日本の家庭そのもので、懐かしさを覚えました。日本の今日の家庭から、あの笑顔はもう消えたのでしょうか。
 今からでも遅くはないはずです。物があふれていても心を失わずに子どもが育っていくために、先ず夫婦仲の良い円満な家庭が求められます。子どもたちが安心して学校生活が送れる家庭環境を作っていくことが、親の一番大切な仕事なのではないでしょうか。先日のPTA総会でも懇談会のことが話題になりましたが、先生や父母同士の懇談を数多くもって、お互いに子育ての教訓を学んでいきたいものです。
 愛する我が子のために、夫婦円満な家庭こそが原点であることを肝に銘じているこの頃です。


[北陵だより第63号 3ページ]

もう一度逢いたい
2期生

 2期生として旧校舎に入学したのがもう20年近くまえ、想い出も風化しつつある中、1冊の本が今も書棚に残っている。
 伊藤正孝著「南アフリカ共和国の内幕」―この本との出会いが、そして、この本を選んだ恩師が、いまもなつかしい。
 この本を授業に使っていた広田芳男先生ともう一度逢いたい。地理の授業を担当していた彼「ヒロタ」は、いつもヨロッとしながら教室にあらわれた。でも50分間の授業が終わると、いつも満足感が残った。教壇からいつも発言し、考えることを要求し続けていたように思う。定期テストでも、問題を教室にはり出すという荒技もやってのけていた。
 生徒管理が進み、進学本位主義がはびこっていたと思われる当時の学校教育の現場では、異色の先生だったような気がした。その先生の訃報を耳にしたとき、本当に残念だった。
 今、逢いたい。そして、先生が熱く語った南アフリカのアパルトヘイトが消えつつあることを知らせたい―。

おじゃま虫 教生先生に聞く
 甘いライラックの香りに酔いしれていたおじゃま虫、ふと、教室をのぞきみてびっくり。なんと、若者が生徒達と勉強しているではないか。聞けば、教生先生達とのこと。しかもこの学校の卒業生が14人も。
 以下は、おじゃま虫のひとことインタビュー。

 彫刻を勉強している渡辺君はいい作品を仕上げて母校に贈りたいとのこと。「生徒の時は静かに授業を受けているのがいいと思っていたのがそうではないんですね」と橋本さん、教えることの難しさを実感したようでした。生徒をまとめることが一番難しい、でもやりがいがあるという北川君。高倉君は「この実習で更に教師希望を強くした」と言い、荒井君は今の北陵に望むこととして「もっと積極的になってほしい」と自分の高校時代をふり返りながら話してくれた。そして、生徒達がみんな馴染んでくれて「かわいかった」というのが一致した言葉でした。
 今の若者に興味津々とおじゃま虫は、ついいといと聞いてしまった。実に真面目でしっかりしている。そしてうらやましい限りの初々しさ。自分の理想とする教師を目指して頑張れ。

公開講座へのおさそい
 今年度の公開講座は次の8講座です。
・石狩平野を巡る(石狩平野の成り立ちを考える)
・動物の進化を見よう(円山動物園で動物の進化をたどり、人の祖先を捜す)
・登山入門(6月砥石山、10月神威山)
・趣味の帯を着る(軽装帯の製作)
・書道入門(書く楽しさを味わう)
・源氏を知る会(源氏物語の購読)
・軟式庭球入門(基本技術の習得。ゲームを楽しむ)
・基礎スキー(アルペンの基本から総合技術の習得をめざす)
「登山入門」以外はまだゆとりがあります。ぜひご参加下さい。


[北陵だより第63号 4ページ]

ゆりの木
死よ驕るなかれ

教員

 昨年、前任校で担任をしていた生徒のお母さんから手紙をいただいた。30才を過ぎたばかりの息子さんが亡くなり、旧友たちが追悼集を出したいと言っているので、原稿を書いてくれまいかというのであった。死因は脳腫瘍。10年にわたり闘病の末の壮絶な死であった。
 ジョン・ガンサーが息子の死を扱った『死よ驕るなかれ』に赤裸々に描いたように、脳に発生した癌はよく似かよった症状を辿るらしい。激しい頭痛、嘔吐、再度の手術、放射線治療、抜毛、全身の麻痺……。
 亡くなった青年は、立命館を出て司法試験を目指す秀才だった。勉強が出来ただけではない。ギターを弾き、作曲もし、卿がのれば夜を徹して仲間と語り明かし、文学書も嗜む仲間に信望の厚い青年だった。
 追悼集は『勿忘草』と名づけられて完成した。編者はこのような人生があったことを忘れないでほしいという意味をこめたと、後書きに書いている。
 彼の人望の大きさ、癌を見据えて生きる勇気、闘病の中でも忘れなかった父母や友人に対する思いやり―この小冊子はそんな彼のありし日のありようを思い起させる。
 ガンサーがどのような意図で作品を"Death not be proud"としたかは分からないが、多分人間には、死を乗り越えるほどの理性や崇高さ、愛と勇気があることを、また、たとえ人が死んでも、残る人達にそんな崇高さが伝承されるのだ、と訴えたかったに違いない。
 人の死はいつも悲しい。とりわけ若者の死は、多くの春秋を摘み取ってしまうだけに一層悲惨である。心から「死よ威張るな」と叫びたくなる。
 彼の闘病日誌の一部分は、いま北大附属看護学校の教材に取り入れられている。


高体・文連に活躍
放送局
3年生女子

 放送局です。昨年の「人生の長距離走者」に続けと番組制作に力を入れてきましたが、結局出足が遅れて十分な成果をあげることができませんでした。
 アナウンス部門では努力の甲斐あって地区大会で私が入賞、勇躍全道に挑戦しましたが、今年は全国大会出場なりませんでした。
 次を期して、後輩に頑張ってほしいと思います。

バドミントン部
3年生男子

 “この3年間で必ず全道大会に出場してみせる”という目標をもって、今日までやってきました。2年生の時にも何度かチャンスはあったがものにできず、今年の春季大会でようやく全道大会出場を果たしました。しかし、残念ながら2回戦で敗退してしまいました。
 本番の高体連では地区を6位で全道大会に出場、2回戦の函館東に辛勝して準々決勝に進出しました。そして札幌第一と対戦、自分の最大限の力を尽して戦いましたが敗れ、全道ベスト8で高校の3年間が終わりました。
 後輩の君達は素質十分なのですから、1人でも多く全道大会に行けるよう、悔いが残らないようにがんばって下さい。

陸上部
顧問

 札幌支部の大会では4人が入賞、またリレーで男女ともに念願の入賞を果たし、全道大会に出場してきました。
 釧路市での大会は6月25日〜27日の3日間にわたっておこなわれましたが、4年前にハンマーの選手が優勝したゲンのいい競技場です。期待どおり女子の活躍がめざましく、100mで5位、200mで6位と2種目に入賞しました。またリレーでは決勝に進出、100分の3秒差で全国出場の夢は逃したものの、7位入賞は、アンカーの力走はもちろん、そこまで継いだ3名(2年生)の頑張りが大きい。男子は走高跳で5位に入賞、短距離とともに全国への出場権を獲得した。

編集後記
▼新しい仲間と共に仕上げた広報第63号をお届けします。
▼編集の仕事の間、いつも話題になったのはPKO法のことでした。選挙の結果が待たれます。