北陵だより第64号/平成4年12月22日発行


[北陵だより第64号 1ページ]

心に刻んだ北陵祭
3年生女子

 今年の北陵祭は私達にとって高校生活の最後となるものですから、心に残る大きなことをやろうと決めて、校舎前面に大壁画を作ることにしました。しかも、卵の殻に着色し、これを貼り合わせて作ろうというのです。
 作品は「写楽」の顔絵で、ベニヤ板20枚分の大きさです。最初の困難は卵の殻集めと殻洗いでした。近くの店に頼んで殻を集め、数百個の殻を手がふやけるまで洗う仕事が続きます。そして、次が着色と殻貼りです。単純作業だけに根気の要る仕事でした。夏休みのためいか、初めは人も集まらず、一体どうなるものかと気をもんだりしましたが、やはりクラスの仲間です。最後は全員で完成させました。
 校舎につり下げる時はテレビ中継もされ、完成作品は新聞にも載りました。クラスの仲間たちとの深いつながりは、総合優勝と併せて、私たちの忘れられない思い出として心に残っていくことでしょう。

千年の願いと時間
2年生男子

 見学旅行3日目は自主研修。僕の班は「仏閣めぐり」となった。故人として僕は無神論者なので、神の存在は認めていないし、まして大抵の宗教、宗教家はキライなのだ。ではなぜ「仏閣めぐり」にしたか。答「それぞれの仏閣の過ごしてきた悠々の時が実感できるから。」
 我が班の選んだ目標の一つに三十三間堂があった。中に入ってみると1001体の仏像があった。中央の千手観音像の両側に500体ずつずつの観音像が立ち並んでいる。しかもどれ一つ同じ顔の像はない。造仏師たちはどんな想いで造ったのだろう。彼らの生きた時代は戦乱が多かった。おそらく救いの念をこめたのではないだろうか。ごく人間的な願いではあったが、純粋な祈りだったろう。
 1000体もの仏像に懸けられた救いの願いと時間には、ただ感動するだけだった。
 今回、ノルマのためかなり足早に過ぎた場所もある。出来ればもう一度と思う今日この頃です。

忘れ得ぬ感動
1年生女子

 宿泊研修のメインは登山だった。目の前にはうっすらと雪化粧をした山が、どっしりとかまえていた。この雪のせいだろうか、せっかくの登山もハイキングに変更となった。
 このハイキングが大変だった。ジャングルのような中を歩き続け、歩いても歩いても同じ風景ばかり。途中、2回ほど落ちそうになったり、転がりそうになったり、危ない場面があった。木々がとぎれ、ぱっと風景が広がった時、大草原の中に小さな家がぽつんと建っているのが見えた。一面は畑で、その家の他には何もない。
 原生林を抜けて舗装道路に出ると、自然の家が見えてきた。その時はもう嬉しくて嬉しくて、みんな走り出してしまった。
 堂々と大きくそびえ立つ山々、山の中を流れる小川のせせらぎ、そして、あの大草原の中にひっそりと建っている小さな家を見た時の不思議な感動、それらのことが今でもはっきり心に残っている。これからもわすれることはないだろう。


[北陵だより第64号 2ページ]

指導部から
雪が降る……

 あんなににぎやかだった自転車置場が、雪の下でひっそりしている。
 春、登録にはじまってから、ピーク時には1,000台余のさまざまな自転車が、狭い生徒通用門に殺到した。交通事故のないように指導しながらも、一方では「鍵をかけておいたのになくなりました」という盗難に頭を悩ます。「指導部の先生、外から電話です」、受話器をとれば案の定「おたくの校名の入った自転車が…」と、ありがたい放置自転車の通報である。今、それから開放されたと思いきや、またもや問題ひとつ。朝の玄関番、といっても遅刻生徒の指導である。今朝も一面の雪、8時40分だというのに、生徒の列は絶えない。聞けば「バスが定時に来ない」「乗れない」等々。こんなやりとりが、雪の降る期間玄関で聞かれるのである。雪と交通渋滞がなくならない限り、問題は解決しない。
 ただこれだけはいえる。「雪の期間は、早く家を出よう」と。実際、定期テストの期間は、雪や風がどんなに強くとも、遅刻する生徒はほとんどいないのだから。

シリーズ 屯田の四季・歴史
縄文海進の頃の屯田

教員

〜屯田の地の端に位置していた北陵高校も、今や中心を占める場になりつつあります。発展を続ける屯田の自然・歴史を改めてみつめてみようと思います。執筆は本校の先生や地域の方々に随時お願いする予定です〜
 1985年、屯田三番通りは下水管を埋める工事で深く掘られていました。その時、7条12丁目の沢田建設前の工事現場から貝化石が見つかったのです。
 道路面より深さ5mの青灰色の細砂からカキ(マガキ)が、それより30cm上からシジミ(ヤマトシジミ)とヌマコダキガイが出てきました。
 これらの貝化石は、約6,000年前地球規模の温暖化で南極などの氷床がとけて海面が高まり、海が平野の奥まで入りこんできた時に生息していたものです。この海面上昇は縄文時代におきたので、縄文海進といいます。
 マガキは内湾で塩分のややうすい海水に生息し、マガキより上から出土したヤマトシジミやヌマコダキガイは海岸近くの塩分のかなり低い沼に生息しています。このことから、縄文海進後の海面低下にともなって、このあたりが湾から湖や沼に変わりつつあったことがわかります。
 当時の気温は、花粉化石などから現在より3度高く、海面は貝化石の生息深度から3m高かったと推定されています。現在問題になっている二酸化炭素の増加のため、温暖化し海面上昇するというシナリオは、すでに6,000年前の縄文海進が証明しています。屯田から出て来た貝化石はそのことを教えてくれています。

話のひろば
老兵は死なず

2年P

 先日義父母の古稀・喜寿の祝宴を催した。7月に64歳の父を失った私にとっては、少々複雑な思いではあったが……。
 大正から昭和、平成へと3代を経由し今に至ったお二人。幾度かの戦火をくぐり抜け、一族を率いて樺太から引き揚げて以来、この地で6人の子供を世に送った。この人生の大先輩は、現在15人の孫の守り人である。
 義父が、ポツリポツリと我人生の糧を語る時、どことなく郷愁が漂い、深い人間愛が心にしみ込んでくる。その上語りの奥には礼節を旨とする謙虚な姿勢が窺え、感銘を受ける。その間は時間も消えてしまう。
 義父は現在に至っても妻たる義母に財布を預けようとはしない。が、それでいて義母は自己流の思いやりで隣人と応対し、喜怒哀楽を共有し得る真に自立している女性である。その真摯な生き方をして多くの友と親交できる、老いて益々のお二人に心からの拍手を贈らせて戴いた。
 長男が推薦希望で願書を提出し、その旨を義父に報告した折のことだ。「昌寛はとうとう無試験で大学に行くんだね」との一言がかえってきた。「おじいちゃんは不満そうだ」とポツンと語った長男に、一瞬会話をためらった。折りに触れての交わりで、義父の心の内が彼なりに読みとれたにちがいない。私はお二人の存在が有難かった。
 これからも、“とうさん、かあさん”と気楽に声をかけ合って、生ある限り共に歩きたいものとしみじみ思う。
 かく言う義父は、半生を職人として暮らした方であるが、本校開校時の学生服考案者の一人とも聞いている。


[北陵だより第64号 3ページ]

PTAの活動から
貴重な一時 教育懇談会
2年P

 第2回目の篠路・拓北地域懇談会は9月14日に、篠路福祉会館で行われ、大勢の皆様の参加のもとに充実した2時間半でした。昨年は20周年ビデオで高校生活を観てからの話し合いでしたが、今年は更に工夫をし、先生にご自身の体験をまじえてお話を伺いました。「子供にとって、家庭とは反発の場でもあり、安らぎの場でもある、という矛盾した舞台。」等、心身の発達から学習、進路のあり方について、とても身近なお話として聞かせていただきました。更に各学年毎に分かれ、子供の服装、教科の勉強法等最近感じ、考えている事について話し合いました。
 この様な機会に参加する事により、先生方の熱心なご指導が伝わってくると同時に、子供達からは聞かれない学校の様子等がわかり、貴重な一時を過ごすことができ感謝しております。校長先生はじめ諸先生、お忙しい中本当にどうもありがとうございました。

北陵祭“プチバザール”に参加して
3年P

 「いらっしゃいませ」。北陵祭の1日、お母さん達のプチバザールが開催されました。
 手づくりのクッキー、パン、皮製品、野菜などなど……。
 準備に集まった十数人のお母さん達と、毎日材料をそろえたり、皮製品を習ったり、学年をこえた交流に口も手も足も、忙しく又、楽しく過ごさせていただきました。
 当日も1時間足らずの間に、すべての品物が売れるという、うれしい成果でした。
 親が、学校祭で生徒と一緒に活動出来た事は、学校側の御理解と父母の皆様の協力があったからこそと思われます。本当に有難うございました。
 売上金は、生徒の皆さんの活動への支援として使っていただこうと考えております。
 今年は、ある一部の方々の提案で、「有志の会」としての活動でしたが、来年も再来年も続いて、親も子も楽しい学校祭になる事を願っております。

マラソン大会を終えて
3年P

 10月20日、くもり空の中でマラソン大会が始まりました。前日は子供達以上に、私達全員が給水係をうまく出来るかどうか、不安な1日を過ごし当日を迎えました。
 この日は前日からの寒さが厳しく、ランナー達もさぞかし筋肉が固くなっているだろうと思いながら、私達は第1給水ポイント地点で、レモン入りのスペシャルドリンクを作っておりました。
 走って来た子供達にホッとし、そして歓声を上げ、子供一人一人が水を取る度に、給水をしながら私も一緒に参加している錯覚を覚えた程です。ランナー達の顔は真剣そのもので美しく輝いており、盛大なイベントで自分に勝つ姿にとても感動しました。今回のマラソン大会は、初めて父兄のお手伝いという事で参加した訳ですが、タイミング良く出来たかどうか、反省会の中で色々話が出ました。次回のお手伝いの時は今回以上に生徒に喜ばれる様、頑張りたいと思います。


*雪中体育大会
 今年の総会で学校行事に参加支援するという父母有志の活動が承認され、北陵祭でのバザー、マラソン大会での給水が行われました。3月の雪中体育大会でも手伝いが予定されています。ご一緒に参加しませんか。

PTA研修報告
 高P連石狩支部研修会が、10月16日、小樽で行われ、本校から10名が参加しました。
 小樽博物館、小樽運河工芸館を見学、運河を散策後、天狗山で交流会がもたれました。

授業を大切に
3期生

 私の入学は昭和49年。校舎は南1条の旧校舎でした。開校間もない頃であり、学校全体に「新しい北陵高校の伝統を共に築いてゆこう」という活気に満ちた雰囲気がありました。先生方は、生徒一人ひとりを尊重し、目先のころよりも、遠く10年、20年後に大きく花開くような教育をされていたと思います。
 最も鮮烈な印象を残しているのが、年に一度の社会科のテーマ学習です。「アパルトヘイト」「敗者たちの明治維新」などのテーマにそい、社会科の先生方が約1日を費やして、様々な角度からリレー形式で講義されるおちうそれこそ夢のような企画です。内容の素晴らしさもさることながら、先生方が熱っぽく語り尽くすその迫力に圧倒されました。この時の興奮と感動が醒めやらず、私は社会科の教員になりました。
 数年前、社会科の先生に無理にお願いし、当時の膨大な資料を貸し出していただいたことがあります。先生方が、いかに真剣に授業に取り組んでいたか、その丹念に整理された資料から実感しました。「人は人によって変えられる」。生徒の皆さんは今の出会いを大切にしてほしいと思います。


[北陵だより第64号 4ページ]

ゆりの木
美しい音

教員

 音楽とは、文字通り音を楽しむと書く。自然の音にはじまり、生活の中の音などは、人間の生活のうるおいとして重要な存在である。風の音、水の音、波の音、木の葉のすれあう音、虫の鳴く声など、生活の中では包丁を使う音、食器を扱う音など、数限りがない。しかし、昨今では社会状況や生活の激変によって、いわゆる騒音、雑音などの不快な音がいたるところに氾濫している。
 音楽は、何々のための音楽というように音楽本来の楽しさを味わうのではなく、他の目的で乱用されることが多くなった。このような環境の中にいる限り、音に関心を持ち、音を大切にする気持ちは育ちにくいと思われる。音楽会で時々経験することだが、開演前に購入したのか、客席にジュースの缶を持ちこみ、開ける音の賑やかさ、地下鉄やバスの中でのウォークマンのカシャカシャ音など、マナーに欠けるといえばそれまでだが、これも音に関しての無神経の表れではなかろうか。
 私は音楽の授業を担当している。そして、美しい音やハーモニーを楽しんでいる。子供達が将来、生きていくうえで、音楽の楽しさが心の支えになるような人間であってほしいと常々考えている。そのためには、ますます美的な感情や、情操を深め、何よりも音に関心を持ち、大切にする心を持ち続けてほしいと念願している。人間の生活や社会においても、さまざまな調和、ハーモニーのよさが求められる。一人ひとりがそれぞれの音を大切にし、美しい音を奏でなくては社会の秩序は保たれまい。美しい音が人間の生活や社会をどれだけ豊かにするか計り知れない。

高文連に活躍
書道部・美術部 全国大会へ

書道部
2年生女子


 高文連主催の全道書道展が10月に稚内で開催され、630点の中から奨励賞・全国大会推薦作に選ばれました。
 私の作品は「空海・灌頂記」の臨書で、大字の重厚な線と小字のバランス、全体の構成など随分と苦労しましたが、努力した甲斐があったと、心から喜んでいます。全国大会は来年の8月、埼玉です。
 なお、1・2年生の書道選択者全員の作品が全道朝日書道展の団体賞として優秀校に選ばれ、この13日に表彰されています。

美術部
1年生女子

 10月の高文連全道美術展で私たちの共同制作のデザイン作品が470点の中の8点に選ばれ、来年8月、埼玉の全国大会に出品することになりました。初めは地区大会が通過できればいいなあと思っていただけに、とても驚き、そして喜んでいます。
 あの作品は資料集めなどに手間取ってスタートが遅れたため、毎日夜遅くまで残って共同で描き上げたのです。顧問の先生の指導あっての成果です。
 私たちは美術部が大好きです。これからも描き続けますので、応援をよろしくお願いします。

*1学期末に全道大会出場を決めた吹奏楽局はさらに演奏にみがきをかけて健闘し、全道の銀賞を受賞、また新聞局は日常のワープロによる紙面づくりが評価され、全道大会のB部門で優秀賞に輝きました。

編集後記
▼北陵祭でのプチバザール、マラソン大会での給水の手伝いに参加しました。子供たちのがんばっている様子を見る事ができて、学校との距離がせばまった様に思います。
▼今年もあと数日となりました。皆さま良いお年をお迎え下さい。