北陵だより第71号/平成7年3月1日発行


[北陵だより第71号 1ページ]

3年間の思い出
3学年委員長

 ブラスバンドの演奏に迎えられて娘が入学したのが3年前の春。希望と不安の学校生活に落ち着き始めた冬にアメリカにホームステイの話があり、勝手に申し込んだ娘。そしてアメリカに3週間のホームステイ。これは我が家にとって大変な出来事で、廻りは「大丈夫なのかな」の連発。そんな他人の心配をよそに本人は至って冷静。なにしろ親でさえ外国の“が”にもお目にかかったこともないのに、ましては女の子がという思いはあったのですが、何事も経験という親の太っ腹で貴重な体験をした様です。それ以来すっかりアメリカ病に罹ってしまい社会人になったらいざアメリカへと意気盛んな今日此の頃であります。その時引率して戴いた先生には大変御世話になりました。あと懐かしい思い出としてマラソン大会の給水があります。どういう訳か男は私ひとりで、当初はお母さん達の勢いに圧倒されていたのですが、そこは男の力自慢で沽券が保てた様です(?)
 3年間という短い北陵高校での学校生活ではあったと思いますが、勉学、部活を通して色々と人生の何かを教えてくれた先生への恩と、巡り会えた友達の友情を大切に今後の卒業生の皆さんの御活躍を祈っております。“北陵は燃えている”
 アメリカも良いけれど美瑛の丘も素晴らしいです。辛い事、嫌な事があったら美瑛の丘と、山々と白い雲に会いにいってください。

帰宅部の人達へ
3年生女子

 私は、高校を選ぶ時、担任が「この点数だと北陵だな」と言ったので、素直に北陵に決めました。だから、北陵がどんな学校なのかは全く知らずに入学しました。その為に自分の想像していた高校とのギャップがありすぎて、もう辞めたいと思ったこともありました。でも、3年間通えたのは、勉強以外に打ち込めるものを見つけたからです。それは、部活と生徒会活動です。毎日放課後が一番楽しみだったし、実際楽しかったです。「今日は、英語のテストだから休もう」と思っても、「部活があるから行かなきゃ」とか、「数学の宿題終わってないから行きたくないな」と思っても、「今日は生徒会の会議だから休めない」とか、そんなふうに辛い(?)ことを乗り越えてきました。部・執行部活動のおかげだと思います。
 これからも高校生活を続ける1・2年生の皆さんで、ただ学校に来て、授業が終わったらすぐ帰るという、自分のクラスという世界しか持ってない人は、勉強につまずいた時、友達とケンカした時、何をよりどころに学校に来るのでしょうか? そういういう理由だけではないのですが、帰宅部ではなく、高校生の時にこれをしたんだ!という何かを見つけると、きっと毎日を楽しく過ごせるのではないかな?と、私は思います。
 3年間は、アッという間に終わってしまいます。意義のある期間にして下さい。


[北陵だより第71号 2ページ]

人生の並木路
校長

 卒業生を送る予餞会がしらけてはと思い、あれこれ思案の末あいさつに代えて歌を1曲をと心に決めました。
 生まれてはじめてカラオケボックスに入り、若者向きの曲を見つけて挑戦してみたのだが調子はずれもいいところ、悪戦苦闘の甲斐もなく早々に退散し、昔の歌を探すことになった。
 ♪生きてゆこうよ希望に燃えて 愛の口笛高らかに この人生の並木路♪
 それにしても、新しいものをどんどん吸収していく青年の知性や感性と行動力に感心させられ、生徒と同じ土俵で相撲が取れなくなっている自分に一抹の寂しさを感じるのである。
 親は自分の期待する方向へ進ませようとして子供を追い立て、子供はもっともらしい親の意見に納得いかないことがある。
 親の自信のなさやとまどいもあって、お互いにいらだたしい。
 「子供は親の言う通りにならぬものだが、親のする通りになるものだ」といわれているが、ここに親と子の結び付きや真の愛情があるのではないだろうか。
 親の誠意や地道な人生の営みの努力こそが家庭教育の基本であるといつも思っている。
 同時に、子供に学ぶことや、子供の個性とすばらしい能力を伸ばしてやることの大切さを痛感している。
 卒業生が大きな夢と希望をもって、その人生の並木路を力強く歩んでいくものと信じている。

アメリカの文化思想
2年生男子

 僕は、今年の冬休み、北陵の姉妹校でポートランドにあるリンカーン高校に、1週間ホームステイをしてきた。
 リンカーンと北陵をくらべてみると、違う点が数多くあった。たとえば、授業中に物を食べたりする。見習うべき点もいくつもあった。一例をあげると、授業中生徒が進んで発言する。笑いが絶えることがない。こういう所は日本の学校にも欲しいと思った。生徒が教室を移動して回る形で時間割が展開する。授業の終わりも早かったり遅かったり、日本ほどはっきりしてはいなかった。
 日常生活についてだが、朝起きてすぐシャワーを浴び、朝食はめいめい勝手に冷蔵庫を開けて、コーンフレーク、ジュースなどをとる、という感じだった。朝食後すぐ学校へ。学校が終わると、部活動で残る人は少なく、ほとんどは下校してしまう。帰宅し、少し休んで夕食をとる。朝食は軽く、夕食は豪華に、というのがアメリカ風らしい。ステーキを焼いたりするのは専らお父さんの仕事だった。
 夕食を食べ終わってもすぐに席を立つ人はなく、たとえば家族会議のような会話の場になる。
 日本でもいつもこういう場を設けられるといいなあと思った。
 今夏のホームステイを通して、文化・思想を始め、さまざまな面について貴重な体験ができた。今後の生活に、少しでも役立てたいと思っている。


[北陵だより第71号 2〜3ページ]

卒業おめでとう
・「挑戦」
 卒業おめでとう。「北陵」に学んで良かったという思いで、君達が新しい挑戦へ向かって出発しようとしているものと確信しています。自分を大切に、仲間を大切にしながら、人間社会の理想に向かって人生をかけた挑戦を期待しています。
(1組担任)

・卒業おめでとう。さて、これからが大切です。進学する者、就職する者、浪人する者等進路はさまざまですが、進路が決定したことが、みんなの人生を幸福にしたり、その人の価値を決めたりするものではありません。置かれた環境の中で、どう努力し、自分を研くかが最も大切です。日々努力し、輝く人になって下さい。頑張れ!
(2組担任)

・人生70年から80年へ。長くなってゆく一生の中で、高校の卒業なんて、ほんの小さな出来事でしかないけれど、何故か心に残っています。きっとそれは、子供が大人に変わる一歩目だからでしょう。何年か後に立派になった子供達の姿を想像しながら、お父さん、お母さん、ご卒業おめでとうございます。
(3組担任)

・「感動」
 「感動」を3年生と共に味わえたことのひとつは、野球の全校応援でした。私は選手と共にグランドで戦い、スタンドの声援を耳にしながら「やっぱり、これだ!」と感じていました。全校生徒の連帯感と感動。ベンチに入れなかった3年生の応援。卒業生諸君、是非「感動」のある人生を送り、「感動」を与える人であってほしい。
(4組担任)

・卒業おめでとう。万感の意をこめて私はこういう。人生は旅である。諸君は3年前入学という駅から卒業という駅に向かって3-5号で旅立った。旅立ちに際しては、すべての者が希望に胸をふくらませ、多くの人の祝福を受けたことだろう。
 さて、その後の目的地は諸君自身の努力次第である。君たちの10年後、20年後…いや50年後が大変楽しみである。
(5組担任)

・高校3年間が終わりました。生徒達にとってはどのような記憶として残るのでしょうか。たぶん勉強のことよりも、部活や行事等のことの方が多いと思いますが、そんなものかなとも思います。
 これからいろんなことを経験していくことになると思いますが、高校でできた友人を大切に頑張って欲しいと思っています。
(6組担任)

・教師になって初めての卒業担任でした。何もがすべて初の体験、1日が大変短く、あっという間の1年でした。ただし、自分では精一杯やってきたつもりです。反省する点もありますが、教師として一皮むけたかなと思っています。この経験を生かし、教師として、さらなる課題をもち、始まったばかりの教職の道を歩んでいこうと思います。
(7組担任)

・明るくのびのびして向学心溢れる21期生を担当して良かったです。授業態度が真剣で感心しました。担任した8組の生徒ともいつの間にか慣れ体育大会で優勝する喜びを初めて味わさせてもらいました。クラスの皆も一番の思い出でしょうね。いよいよ卒業ですが未知の世界に入っても一歩ずつ努力する姿勢を失わず大成されるよう祈ります。
(8組担任)

・「人生楽ありゃ苦もあるさ」「なんで」と嘆き、「どうして」と怒り、「こいつが」と驚き、「さすが」と喜び、とにかく3年間は早かった。嘆き悲しみは明日への糧、喜びは明日への希望である。順風満帆の人生があれば、荒れた海への船出もある。突然の雷雨にずぶ濡れになっても心は後退するな。とにかく一歩、また一歩、踏み出せ、前へ!
(9組担任)

・卒業おめでとうございます。これから新たな一歩を踏み出すわけですが、生きてゆく上で今まで以上に「責任」と「義務」が求められます。自己を見失わず、心身ともに健康に過ごして下さい。
 ♪人生、楽ありゃ苦もあるさ♪
 「21期生」の「21世紀」へ向けて大いなる飛躍を期待しています。
(10組担任)


[北陵だより第71号 3ページ]

話のひろば
娘へ

3年P

 18才、人生で一番輝いている時ですね。
 高校生活3年間で、友人と思いきりおしゃべりをし、見つめあいましたか。自分の成長が見えましたか。下品に流されず、女としての人間らしさ身につきましたか。人を思いやり、役に立とうという心育ちましたか。くやしさ、悲しみに思い切り泣いたことありますか。不正に怒り、正義を押し通す勇気ありますか。社会の矛盾、厳しさに自分の未熟さを知り、豊かに強い心で受けとめられますか。
 柔軟で独創的な冒険しましたか。旺盛な遊び心は満たされましたか。かけがいのない大切なもの見つけましたか。信頼し、尊敬できる大人に会えましたか。
 大人が負うべき課題の多い世相ではあるけれど、みずみずしく、若々しい自主的な未来への熱意ある設計見つけましたか。
 掃除、洗濯、料理できますね。生活のルール守ることできますね。自分の大切な時間、健康の管理できますね。
 すべての人がそなえている、生へのひたむきさ、人としての美しさを洞察し、差別、偏見なく接することのできる大人となるよう、自戒をこめてのぞみます。

マルチメディアと北陵高校
教職員

 世の中マルチメディアが盛んに叫ばれている。また、今日の高度情報化社会ではコンピュータなしで日々溢れる情報を処理しきれない。本校では生徒向けにコンピュータ指導室が設置され、進路指導においては福武書店とオンラインが結ばれている。まさしく学校教育においてもマルチメディアの波が押し寄せてきている。
 授業は昔から教師が板書しながら声を高らかに解説し、生徒との受け答えをする。ただし、近年ではビデオなど視聴覚教材を多く取り入れている教師も多い。このように授業における様々な手段(文字、音声、通信、画像など)の統合を可能とするのがマルチメディアである。
 たしかにパソコンを中心とした授業形態も可能である。しかし、パソコンは所詮授業を行う一手段でしかない。教材を創意工夫し、生徒にわかりやすい授業をするのは教師である。結局パソコンを授業に導入するには、パソコンで何ができるのかできないのかを教師がしっかり把握した上で、実践しなければならない。それには学校全体での取り組みが必要で、到底一個人で行うことは不可能である。本校では環境設備は整っているので、あとは実際に試行錯誤を繰り返し、よりよいソフト(教材)を作りだすのみである。
 最後にコンピュータ指導室ならびにファインシステムが形骸化されないことを祈りつつペンを置く。


[北陵だより第71号 4ページ]


シリーズ屯田の四季・歴史
森の恵み

教職員

 屯田防風林は、かつてこの地に繁茂していた天然林の一部であり、開拓者が入植する以前はハルニレ・ミズナラなどが茂る見事な森林だったろう。
 古代の人々は暗くて広い、ときに踏み入った者を二度と返すことをしない森を恐れ崇めた。グリム童話などの魔女たちは森の奥深くに住んでおり、日本の神々の背後にも森がある。
 農耕が盛んになると森林は開墾されて次第に減り、人々から森への敬虔な心は薄れていった。
 近年は機械によって森林の破壊は加速され、食糧生産よりはレジャーの場を造成する目的の場合が多いようだ。
 北海道・東北の海岸で、数十年前から海底に石灰藻が繁茂し、コンブ・ワカメなど海藻の激減とこれに伴うウニ・アワビや魚の減少は漁家に大きな打撃を与えている。この磯焼けの原因は森林荒廃にあるらしい。
 植物の生育に微量の鉄分が必要で、森林の腐葉土中で生じたフルボン酸鉄という化合物が水に溶けて川から海に供給されている。森林の荒廃によるこの物質の減少で、コンブ・ワカメなどが衰微し、代わって石灰藻が繁茂するのである。森林は大気中へ酸素も供給しており、地球全生命体に関わる存在である。この森林が現在も減少しつつあることに恐れを感じる。
 最近屯田防風林にリスのための木道が設けられた。近隣の市民がこの防風林に常に関心を寄せていることの表れだろう。
 たたずまいが四季折々の変化をみせる防風林は、この地域の人々への恵みとして後代に受け継がれていくに違いない。

ソフトテニス部全道3位
 1月13・14日、北見市で開催された新人大会で、本校ソフトテニス部女子は、全道第3位という好成績を上げました。私立の強豪校がひしめく中での全道3位は大健闘です。主将以下2年7名、1年2名の選手たちは、過去最高の成果に頬を染めていました。

水泳ニュージーランド遠征 井上さんNZに泳ぐ
 本校水泳同好会の井上さん(2年)は、日本水泳連盟主催のジュニアブロック・ニュージーランド遠征の中・高生25人の一人に選ばれ、2月13日ニュージーランドのジュニアとの試合行脚に出発しました。本道からの参加は5人だそうで、その選に入った井上さんは、自己ベストを出したいと抱負を語ってくれました。

卒業記念品の紹介
 第21回卒業生一同より卒業記念品として次の品が学校に寄贈されました。
  展示用パネル
  教室用時計 30個

編集後記
▼春の訪れを待つ季節、木々はまだ少し寒そうですが、目を凝らすと、とがっていた小枝の先々がチョッピリ丸みを帯び、春はそこまで…の気配が感じられます。
▼3年生の皆様、御卒業おめでとうございます。新たな門出。これからもそれぞれの道で力一杯頑張って欲しいものです。編集にあたりまして、お忙しい中、原稿をお寄せ下さった方々、御協力頂きましたこと、委員一同心よりお礼申し上げます。